土木施設管理の新技術を担当している本省の担当者が北海道の現場視察に来てくれました。
今回は、トンネル内部の老朽化診断をするロボット技術を公募しているのだそうで、応募された試作ロボットを実証実験するためのフィールドとして国内いくつかの実際のトンネルを使うということになっています。
今回は道内の積丹半島方面にあって、建設から20年程度が経過した国道のトンネルを候補として提案してあり、その現状を見に来たというわけです。
トンネル内部はコンクリートで覆われているのですが、そこに亀裂が入っていたり、背面が空洞化していたりするなどの老朽化・劣化症状があると修繕が必要になります。
そしてその適切なタイミングを計る上で、現在の状況を自動的に効率的に安価に把握できる技術が求められているのです。
実際の亀裂や空洞化をどのように正確にとらえ診断ができるかは、募集に応募してくるメーカーのアイディア次第。
例えばまずは写真を撮影して亀裂の有無やその大きさを把握することや、超音波などで見えない奥の状況を把握する方法、さらにはハンマーでポコポコ叩いてその打音を解析して空洞の有無を知るなどという方法が考えられます。
実際に調査するとなるとトンネル内を通行止めや片側通行にしなければいけないので、交通に与える影響を少なくするために、できるだけ短時間で検査できることが望ましいと言えます。
どのような知恵とアイディアが集まるのか、そして北海道のトンネルがフィールドとして採用されるのかが楽しみです。
昨日現場を見てもらった感想を伺うと、「適度に年数が経過しているのと、交通量が少ないことが魅力ですね。あれだけ少ない交通量は関東地域ではありえないので、交通規制もしやすいと思います」という評価でした。
交通量が少ないことが評価されるというのもちょっと悔しいですが、それはそれとして受け止めて、技術発展に貢献したいものです。
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さて、コンクリートの検査を打音で行うと言うことは、かつては熟練の技術者の耳に頼るところが大きく、記録にも残らないという難しさがありました。
それを、テストハンマーの衝撃をコンピューターで記録し解析することで把握するという『高精度非破壊検査装置』を開発したのが、オホーツクの雄武町という小さな町にある日東建設株式会社。
ここの久保社長は、先細りする建設業の将来を憂いつつ本業に近いところでの異業種参入を目指してこの技術開発に取り組み、ついに簡便で正確にコンクリートの状態を捉えることが出来てしかもそれを記録することが出来ます。
今やこの製品は日本ものづくり大賞も受賞して、世界に羽ばたきつつあります。
アイディアを形にして未来社会に貢献する。そしてそれが経済として自分たちに跳ね返ってくるという素晴らしい成果。
小さな町である雄武町から世界に向かって羽ばたくアイディアと製品が出ていることは道民の心に勇気を与えてくれますね。
【ものづくり日本大賞に雄武町の日東建設】
http://jmf.or.jp/monodzukuri03/article/p20/index.html