陽気の良い五月晴れの一日。
釣り好きの大人たちが集まって、新しくフライフィッシングを始めた仲間への手ほどきです。
世界中を釣りして歩いた名人から、釣竿を作ってしまう人、大会上位の常連など、この世界の猛者が集まってまずはキャストの練習だというので、これ幸いと参加して一緒に教えてもらいました。
「小松さんは川幅の広い道東の川で長く釣っているから、見ていると魚に向かって攻めるような釣りをしているように見えますね」とは指導をしてくれたZさんの弁。
「全ての川がそうではないし、小さな川に対しては攻めるのとちょっと違って柔らかくフライを落とすような技術を身に着けると、魚の出方が変わると思いますよ」
今日はそんなことで、柔らかく上からフライを落とすようなキャストについてじっくり教えてもらえて、引き出しが一つ増えました。
"フォール"と呼ばれる、ラインを手で引っ張ってフライを遠くへ飛ばす技術も、場面を選んで上手に使えば有効だということも分かり、引き出しが一つ増えました。
いくら本を読んでもこればかりはわかりません。実践こそ力です。
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ゴルフでも蕎麦打ちでも習い事はみなそうですが、新しく何かを始めるときには先達に教えを乞うものです。
まず一人の人にみっちりと教えてもらうと、そこそこに何とかなるものですが、そこで留まっているとそれから先の自分なりの工夫の段階にはなかなか到達しません。
大事なことは多くの先輩に教えを乞うて、たくさんの視点や考え方を教えてもらうこと。
ただ、一人一人の考え方や技術はその人の中では完結しているものなので、それらすべてを自分に取り入れることはできません。中には矛盾した考え方もあったりするからです。
何を重視し、何を捨てるかも、人それぞれ。
多くの人に教わって、一度できた自分の型を壊し、新しいものを取り入れて自分なりの工夫を凝らして一段上の高みに到達するには考えて実践して得たものを自分のモノにしてゆく過程が欠かせません。
まさに「守・破・離」の成長の段階がここにもありますね。
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そしてなんだかんだいいながら、最後は道具の品評会。
「このリールのドラグの強さはいいね」
「これは癖のあるロッドだなあ」
「ラインもこういうものの方がいいんじゃないかな」
何気ない会話から、道具を選ぶときの視点やら良い道具とは何かということに考えが及びます。
今回新しく入手した新しいロッドも周りでは好評でした。もっとも、「釣りは道具じゃないよ(笑)」という人もいて、この価値観もまた十人十色。
自分なりの哲学が固まるのはまだまだ先のようです。