今月号の致知のテーマは「繁栄の法則」。
企業や組織が顧客に愛されて長続きするための原理原則はいったい何なのでしょうか。
記事の中に、陶芸家の北川八郎さんと、オークス社長の佐藤俊之さん、鎌倉投信社長の鎌田恭幸さんの鼎談記事がありました。
このなかに「いいなあ」と思う下りがありました。
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鎌田「…私の場合も、母親が町に一軒しかない小さなよろず屋をやっていましたが、わずかお菓子一個の買い物をしたお客様にも「ありがたい」という感謝の気持ちを忘れることがなかったし、支払期限など約束は絶対に守る人でした。
母は365日、店を開けていました。お客様が来ない日も当然あったと思うんですが、「なぜ365日、休まずに店を開けるの」と質問したら「この小さな町で、誰か一人でも買い物に来たら困るだろう」と。儲けのことなんか全然考えていないわけです。今にして思えば、私のお金や商いに対する考え方の原点は、そんな母の姿勢だったと思います」
北川「おっしゃるように、経営者にとっては幼少期の両親との関係が事業に大きく影響してくれるようですね。駄目になっていく経営者の中には、幼少期に両親からきちんとした愛情をもらっていなかったり、倫理観を教えてもらっていなかったり、する人たちが多くいらっしゃいます。
その点、鎌田社長も佐藤社長もそうですが、両親からたっぷり愛情を注がれ、幼少期に人生の法則を教えてもらっている人たちは全く違います。その一番の違いはやはり個人欲の深さなんですね。倒産する会社を何千と見てきた私の知人も、倒産する企業と、しない企業の違いは何かと言ったら個人欲の深さだと言っていました。
つまり会社を倒産させる社長の多くが自分と自分の家族は大切にするけれども、周りは一切信用しない、とにかくお金が大好き、という人たちです。そして、そういう人たちは不安感も人一倍強い」
佐藤「不安感ですか」
北川「お金や物をたくさん持てば持つほど失うのが怖いわけです。分かち合うことを知っている人は、人の徳といいますか、社徳をつちかえば、収入や売り上げは途絶えないという法則を知っています。それを知らない人は今持っているものをあげたら、もう入ってこない、失うと思ってしまう。でも、そうではないんだ。分かち合うことを知れば清水は湧き続けるから不安に陥ることはないと私は教えているんです…」
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報徳で言えば、「推譲(すいじょう)の精神」ですね。
「倹約をして余ったら譲れ」。これこそ繁栄の法則です。
あ~、家の中も余ったものを整理しなくては。