北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

サイクリストにとっての道路とは

2017-03-14 22:39:37 | Weblog

 今日は室蘭出張。会ってきたのは、北海道サイクリング協会の村上理事長さんにお会いをして、サイクリストの立場から道路に対するご意見を伺ってきました。

 北海道サイクリング協会は昭和33年の創立で、道内に18ある支部協会を統括する組織です。

 会員は約700名ほどだそうで、サイクリングの普及奨励や指導者養成のほか、各種行事を開催しています。

 今年の夏には、「北海道一周ライド1700」というイベントが企画されているそうで、これは函館から始まって北海道の海岸沿いを連日サイクリングし、釧路までの1,700㎞を走るという壮大なツアー。


 一日の行程が平均で100㎞ほどあり、素人目には大変そうですが、「でも、サポートカーが荷物をもってくれて、食事も事前に用意されるので、結構なお年のご婦人でも完走できるものですよ」とのこと。

 今年は第4回だそうですが年々距離が伸びていて、今年の続きの釧路~函館間を再来年度にやって一周すると2,400㎞になるそうです。すごいな。 

          ◆    

 村上さんは打ち合わせの場所に、なにやら荷物を持ってきました。

「これは…、自転車ですか?」と訊くと、「いやいや、タイヤですよ」といって、高そうなタイヤを引っ張り出します。

「ここを見てくださいよ、ね?ぱっくり割れちゃってるんです」とタイヤフレームの傷を見せてくれました。

「かなりの高速で走っていたら道路に10センチくらいの穴が開いていて、そこにガンッ!とはまっちゃって、フレームにひびが入りました」
「高速で走っていたら危険だったんじゃないですか」

「ええ、タイヤが直後にふらついてしまって、もうどこに飛びだそうか、という判断です。笹やぶって柔らかく受け止めてくれるので助かりました」
「ひええ!」
 
 村上さんは、ツール・ド・北海道の市民レースに出場して、何度も優勝したほどの健脚ですが、そうでないとしても最近の自転車はスピードが出るので、ひとたびトラブルがあると、事故のリスクは高いものがあります。

 道内の道路管理者の管理瑕疵(=不手際)によって発生する損害賠償件数は、国道でも道道でも年間約百件にのぼり、そのうえ、その6~7割は道路に空いた穴が原因なのです。

「このタイヤってお幾らくらいのものなんですか?」
「前輪後輪の二本で40万円くらいかなあ」

「それって、事故を起こした時に道路管理者に申し立てたら、全額とは言わないまでも損害を賠償してもらえたかもしれませんよ」
「いやあ、そういうことって普通の人には思いつきませんよ。当時は懐が痛かったなあ(笑)」

          ◆  

 村上さんによると、自転車で道路を走っていると危険がいっぱいなんだそう。

「穴もいやだけど、もっといやなのは進行方向の段差ですね。道路って路側の方に斜めの段差がついて舗装されているでしょう。あれって細いタイヤが乗り上げられなくて転倒につながります」
「なるほど」

「あとは峠でときどきみられる、引っ掻いたような縦方向の細い溝ですね。あれは怖いです」

 こういった話を聞くと、道路の構造や工夫自身が軽い自動車から重車両、二輪のバイクや自転車など、様々な道路ユーザーのニーズ全部を満たしているものではない、と思います。

 特に自転車に関しては、ここ十年くらいの間に特に急速に需要が増してきているために、サイクリストのニーズやリスクがどのようなものなのかを道路を管理する側が的確に把握していない、と感じられることが多いように思います。

 最後に村上さんはこう言いました。「道路に文句を言うなんて、ほとんど考えたことがありませんよね。そもそもどこへ行けば良いかもわかりませんし。走っている道路が(いやだな)と思ったら、そこを走らなくなるという行動で危険を回避してしまうんじゃないでしょうか」

 急速に自転車による道路利用ニーズが増しているときに、道路管理者はどのような研究をしてどのような対策が必要と思うのでしょうか。

 道路を作る側にもサイクリストが増えているのが救いになると良いですね。 

 
  【道の駅みたら】

コメント
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