ニセコでのボランティアを終えて、せっかくここまで来たので友人夫婦とニセコのペンションにもう一泊することにしました。
泊まったペンション「吟渓」はニセコアンヌプリスキー場の下にあって、かつてポテト共和国として独立したペンション群の一つ。
今の釣り好きのオーナーが元のオーナーから譲り受けて、もう17年になるそうです。
「私の趣味ですけど、お酒と釣りが好きなので『吟醸酒』と『渓流』の二つから一文字ずつ取って『吟渓』としました。私がここを継承したころは私がこの地区で一番若かったんですけど、ということは周りのペンションのオーナーの方たちもだんだんに歳を取ってここを離れていきました」
「オーナーが離れたといいますが、今はペンションはどうなっているんですか」
「一軒は息子さんが継ぎまして、部屋数を少なくして家具や調度品も豪華にしましたね。食事も夕食をやめて周辺で食べてもらうようにして朝食だけを出すB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)形式で外国からのお客さんなんかが増えているみたいですよ」
「それ以外は?」
「ええ、外国の方が買われて外国人向けのペンションにしたり、日本人の管理人を雇って経営するかどちらかですね」
ポテト共和国を始めたころは地区の皆さんが協力して、分散して修学旅行の受け入れなどもやっていたそうですが、外国オーナーのペンションではもうそうした協力にはあまり関心が内容で、今では地区での修学旅行の受け入れもなくなってしまったそうです。
最近は日本人もあまりスキーに行かなくなったと聞いたことがあって、ペンション経営がちょっと心配になったのでその点を訊いてみました。
「最近は日本人のスキー人口が減っているようで、ペンションにくるお客さんが減っているということはないのですか?」
「はい、お客様が減っているということはありません。周辺のペンションで外国人を受け入れるようになったために、本当にペンションで日本人は自分一人だったなんてことがあるんですね。
うちは日本語でコミュニケーションが取れない方はご遠慮を願っていまして、それで外人さんの多いところを避けてうちに流れてくるお客さんが増えてきましたよ(笑)」
「最近のお客さんの傾向って何かありますか?」
「ああ、中年より上の方でもお一人で来られる方が増えていますね。時代でしょうかね」
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ペンション経営も、日本人が冬にスキーにくるという典型的なレジャースタイルが時代とともに外国人が増えるなどの変化が起きています。
その変化についていくか一歩先を行けば経営は安定しているようですが、かたやでその変化が速すぎてそれについてゆくのはなかなか大変そう。
かたくなに自分スタイルを守って、それを支持してくれるお客さんだけがいればよい、という経営スタイルもありですね。
ちなみに今年はニセコ周辺も気温が低いために渓流の魚の出が悪くて困っているとか。今年釣れないのはどうやら気温のせいですね。私の腕ではないようです。