菅内閣の支持率が下がっている。調査によっては、不支持が上回っている。最大の理由は「新型コロナウイルス」への対応だ。「後手後手」に回っている感が否めない。菅首相は1月7日に、東京・神奈川・埼玉・千葉に「緊急事態宣言」を発出した。年末までは緊急事態宣言に消極的と見られていた。その後、大阪・京都・兵庫の3府県知事が追加要請を行ったが、その時点では「数日状況を見る」と述べていた。結局12日になって3府県に加えて、愛知・岐阜・福岡・栃木に「緊急事態宣言」を出した。このような経過には「後手後手感」があるのは確かだ。
菅首相は首都圏への発出に際して記者会見を行った。その時に冒頭の首相発言が終わった時に「これで私からの挨拶を終わります」と述べたのには驚いた。それまでの発言は「挨拶」だったのか。拡大時の二度目の記者会見は見てなかった(新しい話はないだろうと見る気になれなかった)が、何でも「福岡県」を「静岡県」と言い間違えたとか。福岡県は追加指定を求めていなかったが政府側が押し切って指定したという経緯がある。それを考えると単なる「言い間違い」と過小評価することは出来ない。
どうして菅内閣の「コロナ対応」には後手後手感がつきまとうのか。「経済の落ち込み」「東京五輪」「(今年中には必ずある)衆議院選挙」などへの影響を恐れているということはあるだろう。しかし、ここではそのような「内容」面ではなく、政権の構造的な側面を考えてみたい。一つには「調整役がいない」ということだろう。よく言われるフレーズだが「菅内閣には菅官房長官がいない」ということだ。安倍政権末期には、事実上内政面では菅官房長官が仕切っていたと言われている。その時に始めた「Go To キャンペーン」などには「こだわり」があったと言われる。
(宣言拡大時の記者会見)
もう一つが菅政権の権力構造が安倍内閣と違っていることだ。「安倍=麻生」政権だったものが、「菅=二階」政権になっている。菅首相が唯一気を配らなければいけないのは、二階幹事長だろう。「与党」全体ではなく、二階派を率いる幹事長個人である。菅政権を誕生させたのが、まさに二階氏だった。二階氏が「選挙の顔」として菅首相が使えないと判断した時には「政局」になる。それが判っているから気を遣うことになる。
それらの問題もあるが、一番重大なのは「菅官房長官時代に官僚組織が萎縮してしまった」ことだと思う。今思えば首相本人も「去年秋に解散しておけば良かった」と思っているかもしれない。しかし、首相就任当時は「まず仕事がしたい」と言っていた。自己評価が高かったのである。しかし、菅首相がまずやったことは「学術会議会員の任命拒否」だった。杉田官房長官の影響力も強まっているのだろう。学術会議問題は、要するに「学問への敬意がない」から出来たことで、実際にコロナ対応でも「専門家軽視」が見られる。
かつての自民党政権では「官僚組織が支えてきた」面が強かった。選挙で国民に向きあわない官僚組織が強すぎるのはおかしい。「政治主導」自体は正しいだろうが、安倍政権では官界を完全に支配してしまった。反対意見を上げると飛ばされるかもしれない。それを恐れて「直言」をしなくなっているという。本来なら、様々なケースを想定して、いくつもの対策を準備しておくのが官僚組織というものだろう。しかし、その機能が果たせなくなっているのではないか。事前に失敗を予想しても、それは口に出さない。「上」の指示があって初めて次の対応を考える。
外国人入国禁止問題、持続化給付金受付延長問題など、批判が出てからドタバタ的に決定されている。先を見通して「当然こうなるだろう」という判断が出来ていない。多分判っている人は黙っているのだろう。あるいは辞めていくとか。この状態は改善可能性がない。もともと「未知なるもの」への対応力は日本政治は強くない。今後も同じようなことが続くだろう。しかし、政治がどうあろうとも、日本人は「民度が高い」んだそうだから、これほどの感染増大は防げなかったのだろうか。それは次回以後に考えたいと思う。
菅首相は首都圏への発出に際して記者会見を行った。その時に冒頭の首相発言が終わった時に「これで私からの挨拶を終わります」と述べたのには驚いた。それまでの発言は「挨拶」だったのか。拡大時の二度目の記者会見は見てなかった(新しい話はないだろうと見る気になれなかった)が、何でも「福岡県」を「静岡県」と言い間違えたとか。福岡県は追加指定を求めていなかったが政府側が押し切って指定したという経緯がある。それを考えると単なる「言い間違い」と過小評価することは出来ない。
どうして菅内閣の「コロナ対応」には後手後手感がつきまとうのか。「経済の落ち込み」「東京五輪」「(今年中には必ずある)衆議院選挙」などへの影響を恐れているということはあるだろう。しかし、ここではそのような「内容」面ではなく、政権の構造的な側面を考えてみたい。一つには「調整役がいない」ということだろう。よく言われるフレーズだが「菅内閣には菅官房長官がいない」ということだ。安倍政権末期には、事実上内政面では菅官房長官が仕切っていたと言われている。その時に始めた「Go To キャンペーン」などには「こだわり」があったと言われる。
(宣言拡大時の記者会見)
もう一つが菅政権の権力構造が安倍内閣と違っていることだ。「安倍=麻生」政権だったものが、「菅=二階」政権になっている。菅首相が唯一気を配らなければいけないのは、二階幹事長だろう。「与党」全体ではなく、二階派を率いる幹事長個人である。菅政権を誕生させたのが、まさに二階氏だった。二階氏が「選挙の顔」として菅首相が使えないと判断した時には「政局」になる。それが判っているから気を遣うことになる。
それらの問題もあるが、一番重大なのは「菅官房長官時代に官僚組織が萎縮してしまった」ことだと思う。今思えば首相本人も「去年秋に解散しておけば良かった」と思っているかもしれない。しかし、首相就任当時は「まず仕事がしたい」と言っていた。自己評価が高かったのである。しかし、菅首相がまずやったことは「学術会議会員の任命拒否」だった。杉田官房長官の影響力も強まっているのだろう。学術会議問題は、要するに「学問への敬意がない」から出来たことで、実際にコロナ対応でも「専門家軽視」が見られる。
かつての自民党政権では「官僚組織が支えてきた」面が強かった。選挙で国民に向きあわない官僚組織が強すぎるのはおかしい。「政治主導」自体は正しいだろうが、安倍政権では官界を完全に支配してしまった。反対意見を上げると飛ばされるかもしれない。それを恐れて「直言」をしなくなっているという。本来なら、様々なケースを想定して、いくつもの対策を準備しておくのが官僚組織というものだろう。しかし、その機能が果たせなくなっているのではないか。事前に失敗を予想しても、それは口に出さない。「上」の指示があって初めて次の対応を考える。
外国人入国禁止問題、持続化給付金受付延長問題など、批判が出てからドタバタ的に決定されている。先を見通して「当然こうなるだろう」という判断が出来ていない。多分判っている人は黙っているのだろう。あるいは辞めていくとか。この状態は改善可能性がない。もともと「未知なるもの」への対応力は日本政治は強くない。今後も同じようなことが続くだろう。しかし、政治がどうあろうとも、日本人は「民度が高い」んだそうだから、これほどの感染増大は防げなかったのだろうか。それは次回以後に考えたいと思う。