1月28日の東京は確かに夕方に雨が振るという予報だった。ところが実際にはお昼過ぎから雪が降ってきたので驚いた。まあ、ものすごく積もるほどでもなかったけれど、車の屋根や植え込みなんかはうっすらと雪化粧になっていた。それにしても、今年は寒いなあ。いや数年前も寒かった気がするけど、最近は暖冬が多い印象だ。今年は日本海側も例年を超える豪雪になっている。じゃあ、どうして今年は寒いのか。それは「ラニーニャ現象」が起きているからである。
「ラニーニャ現象」(La Niña event)というのは、「エルニーニョ現象」(El Niño event)の逆である。その内容を説明する前に、名前の由来を先に。1950年代に南米ペルー沖で、12月頃の海水温が高い状態が続く現象が注目された。いつもは寒流のペルー海流が流れているのだが、時々高温になっていつもより魚が獲れる。クリスマスの頃に大漁になるということで、「エル・ニーニョ」と呼ぶようになった。「ニーニョ」はスペイン語で「男の子」だけど、定冠詞の「エル」が付いている。だから普通の男の子ではなく、つまりイエスのことで「神の御子」現象という感じ。
ところで「エルニーニョ現象」とは逆に、「西太平洋の赤道付近の海水温が高くなる」ことも多いこともあることが判ってきた。両者は無関係なのではなく、複雑に絡み合いながら数年ごとに交互に起こっている。「エルニーニョ」の反対ということで、「女の子」という意味の「ラニーニャ現象」と呼ばれるようになった。スペイン語の定冠詞を調べてみると、男性名詞と女性名詞で違っている。「男性単数」が「el」で、「女性単数」が「la」である。
次いでに書いておくと、「男性複数」は「los」で、「ロサンゼルス」(Los Angeles)に使う。「天使」は男性名詞なのである。そう言えば、「別れても好きな人」を歌っていたロス・インディオス&シルヴィアも、「ロス・インディオス」としては男だけだった。「女性複数」は「las」で、ラスヴェガス(Las vegas)。砂漠の中のオアシスになっていて、「vega」はスペイン語で「豊かな草原」といった意味らしい。そして「中性名詞」というのもあるらしく、その場合は「lo」になるという。
ここまでで長くなってしまったけれど、次に「エルニーニョ」「ラニーニャ」の内容。なかなか難しく、根本的な原因は未だ定説がない。ただし、それぞれが単なる海水温の問題ではなく、大気の動きと密接に絡んでいることははっきりしている。ウィキペディアを見ると、そもそも「エルニーニョ・南方振動」(El Niño-Southern Oscillation、ENSO、エンソ)という項目名で載っている。南方振動という方が大気に注目した場合の呼び方になる。
(エルニーニョ現象)
大気の動きはものすごく複雑で、翌日の天気であっても各局の気象予報士の予測が微妙にずれていることがある。実験室で地球大の規模を再現することはできない。過去のケースで得られたデータをコンピュータで分析しているんだろうけど、実際は細かいところは予測不能な部分が残る。しかし、それは「局地的な正確さ」の問題で、非常に大きな目で見れば地球上の大気や大地、海洋の現象も「物理学の法則」で動いている。具体的にもっとも重要なモメントは「地球の自転」と「大気の対流」だと思う。つまり「重力」と「熱力学」である。
(ラニーニャ現象)
地球上で一番暑いのは赤道周辺だ。地球は約23.5度傾いて太陽を公転しているから、常に太陽に一番近いのは赤道上になる。暑いわけだが、そのため赤道付近では暖められた大気が常に上昇気流となっている。上空で冷やされて、毎日のように雨が降る(スコール)わけだが、それは要するに日本の夏の「雷雲」と「夕立」と同じだ。その赤道付近の上昇気流は、水分を落として乾燥した大気となって中緯度地方に降りてくる。これがサハラ砂漠など、赤道から離れた中緯度地域に「砂漠気候」が起きる原因である。
西太平洋ではこの熱帯から吹く風が「貿易風」と呼ばれる東風になる。日本では「季節風」の影響の方が強いが、もっと南の地帯では「貿易風」が強くなる。これは地球の自転の影響である。地球は北極から見た場合「反時計回り」に回転している。大地の上にいる人間は地球と一緒に回っているが、自転を自覚することはない。しかし流動体である大気は同じ速度では動けないから、慣性の法則で「時計回り」に動くわけである。その結果、赤道付近で暖められた海水は、東風によって西太平洋に集まってくる。これが普通の状態ということになる。
西太平洋上で「エルニーニョ現象」が起きるということは、つまりペルー沖が高温になる代わりに西太平洋が低温になることになる。そうなると上昇気流が弱まるので、高気圧になる。太平洋高気圧が強まると、シベリア寒気団が日本に到達しにくい。だから「暖冬」になる。「ラニーニャ現象」はその逆だから、西太平洋上の海水温が高くなり、低気圧になる。そのため偏西風も南に寄ってしまい、北からの冷たい季節風が日本に吹き込むことになる。だから「厳冬」になるし、日本海には暖かい対馬海流が流れているから寒暖差で雪雲が発達して大雪になる。
(エルニーニョとラニーニャの気象への影響)
ところでエルニーニョ、ラニーニャは1~2年は続くのが普通だ。だから今年の夏はラニーニャ中になり、西太平洋の高気圧が発達したままになるから「猛暑」になると予測できる。嫌だなあと思うけど、厳しい冬の年に厳しい夏が来るのである。以上の説明で判って貰えるかどうか。自分でもよく判らない点が多くて、どうも今ひとつ自信がない。そして、誰もが思うだろうが、そもそも「何で今年ラニーニャになったのか」が判らない。地球的規模で大気や海流が相互に関連して動いていて、エルニーニョとラニーニャも数年おきに交互に起きることが判っている。その根本的原因には、諸説があるものの定説になっていない。判らないことは多いものだ。
「ラニーニャ現象」(La Niña event)というのは、「エルニーニョ現象」(El Niño event)の逆である。その内容を説明する前に、名前の由来を先に。1950年代に南米ペルー沖で、12月頃の海水温が高い状態が続く現象が注目された。いつもは寒流のペルー海流が流れているのだが、時々高温になっていつもより魚が獲れる。クリスマスの頃に大漁になるということで、「エル・ニーニョ」と呼ぶようになった。「ニーニョ」はスペイン語で「男の子」だけど、定冠詞の「エル」が付いている。だから普通の男の子ではなく、つまりイエスのことで「神の御子」現象という感じ。
ところで「エルニーニョ現象」とは逆に、「西太平洋の赤道付近の海水温が高くなる」ことも多いこともあることが判ってきた。両者は無関係なのではなく、複雑に絡み合いながら数年ごとに交互に起こっている。「エルニーニョ」の反対ということで、「女の子」という意味の「ラニーニャ現象」と呼ばれるようになった。スペイン語の定冠詞を調べてみると、男性名詞と女性名詞で違っている。「男性単数」が「el」で、「女性単数」が「la」である。
次いでに書いておくと、「男性複数」は「los」で、「ロサンゼルス」(Los Angeles)に使う。「天使」は男性名詞なのである。そう言えば、「別れても好きな人」を歌っていたロス・インディオス&シルヴィアも、「ロス・インディオス」としては男だけだった。「女性複数」は「las」で、ラスヴェガス(Las vegas)。砂漠の中のオアシスになっていて、「vega」はスペイン語で「豊かな草原」といった意味らしい。そして「中性名詞」というのもあるらしく、その場合は「lo」になるという。
ここまでで長くなってしまったけれど、次に「エルニーニョ」「ラニーニャ」の内容。なかなか難しく、根本的な原因は未だ定説がない。ただし、それぞれが単なる海水温の問題ではなく、大気の動きと密接に絡んでいることははっきりしている。ウィキペディアを見ると、そもそも「エルニーニョ・南方振動」(El Niño-Southern Oscillation、ENSO、エンソ)という項目名で載っている。南方振動という方が大気に注目した場合の呼び方になる。
(エルニーニョ現象)
大気の動きはものすごく複雑で、翌日の天気であっても各局の気象予報士の予測が微妙にずれていることがある。実験室で地球大の規模を再現することはできない。過去のケースで得られたデータをコンピュータで分析しているんだろうけど、実際は細かいところは予測不能な部分が残る。しかし、それは「局地的な正確さ」の問題で、非常に大きな目で見れば地球上の大気や大地、海洋の現象も「物理学の法則」で動いている。具体的にもっとも重要なモメントは「地球の自転」と「大気の対流」だと思う。つまり「重力」と「熱力学」である。
(ラニーニャ現象)
地球上で一番暑いのは赤道周辺だ。地球は約23.5度傾いて太陽を公転しているから、常に太陽に一番近いのは赤道上になる。暑いわけだが、そのため赤道付近では暖められた大気が常に上昇気流となっている。上空で冷やされて、毎日のように雨が降る(スコール)わけだが、それは要するに日本の夏の「雷雲」と「夕立」と同じだ。その赤道付近の上昇気流は、水分を落として乾燥した大気となって中緯度地方に降りてくる。これがサハラ砂漠など、赤道から離れた中緯度地域に「砂漠気候」が起きる原因である。
西太平洋ではこの熱帯から吹く風が「貿易風」と呼ばれる東風になる。日本では「季節風」の影響の方が強いが、もっと南の地帯では「貿易風」が強くなる。これは地球の自転の影響である。地球は北極から見た場合「反時計回り」に回転している。大地の上にいる人間は地球と一緒に回っているが、自転を自覚することはない。しかし流動体である大気は同じ速度では動けないから、慣性の法則で「時計回り」に動くわけである。その結果、赤道付近で暖められた海水は、東風によって西太平洋に集まってくる。これが普通の状態ということになる。
西太平洋上で「エルニーニョ現象」が起きるということは、つまりペルー沖が高温になる代わりに西太平洋が低温になることになる。そうなると上昇気流が弱まるので、高気圧になる。太平洋高気圧が強まると、シベリア寒気団が日本に到達しにくい。だから「暖冬」になる。「ラニーニャ現象」はその逆だから、西太平洋上の海水温が高くなり、低気圧になる。そのため偏西風も南に寄ってしまい、北からの冷たい季節風が日本に吹き込むことになる。だから「厳冬」になるし、日本海には暖かい対馬海流が流れているから寒暖差で雪雲が発達して大雪になる。
(エルニーニョとラニーニャの気象への影響)
ところでエルニーニョ、ラニーニャは1~2年は続くのが普通だ。だから今年の夏はラニーニャ中になり、西太平洋の高気圧が発達したままになるから「猛暑」になると予測できる。嫌だなあと思うけど、厳しい冬の年に厳しい夏が来るのである。以上の説明で判って貰えるかどうか。自分でもよく判らない点が多くて、どうも今ひとつ自信がない。そして、誰もが思うだろうが、そもそも「何で今年ラニーニャになったのか」が判らない。地球的規模で大気や海流が相互に関連して動いていて、エルニーニョとラニーニャも数年おきに交互に起きることが判っている。その根本的原因には、諸説があるものの定説になっていない。判らないことは多いものだ。