立憲民主党に対して、民主党政権以来同じ顔ぶればかりが出ているという批判がある。なるほどそうも見えるだろうが、それは酷な感想だと僕は思っている。同じことは自民党にも言えて、麻生太郎、二階俊博など80代になっても選挙に出ている。05年の郵政解散、09年の民主党政権交代、12年の自民党政権復帰と大きな選挙ドラマを生き抜いた、強力な地盤を持つ西日本の議員が政界の中心を占めているのである。安倍晋三、岸田文雄、石破茂、麻生、二階など皆09年でも小選挙区を勝ち抜いた政治家だ。
民主党系の場合、09年に大量に当選した議員の多くは、12年以後に生き残れなかった。今回代表選に出馬意向が伝えられる逢坂誠二、西村智奈美もその時には落選している。泉健太、大串博志、小川淳也などは比例区で当選したが小選挙区では敗れた。この時は元首相の菅直人、衆院議長の横路孝弘、衆院副議長を2度務めた赤松広隆、今回落選した辻元清美なども比例当選だった。
2012年に小選挙区を勝ち抜いた民主党議員は、枝野幸男、安住淳、長妻昭、前原誠司、玉木雄一郎、玄葉光一郎らである。民主党内閣で閣僚を務めたほどの知名度がなければ、安倍政権下を生き延びられなかった。(付け加えれば、他にも松本剛明、山口壮(現環境相)、長島昭久、細野豪志ら今は自民党所属の議員も当選した。)2009年の総選挙では、民主党だけで143人もの新人議員が当選したが、そのうち2021年の衆院選でも当選したのは玉木雄一郎、大西健介、山岡達丸、後藤祐一、岸本周平、奥野総一郎ら(他に維新で当選した議員を入れても)14人しかいない。(玉木デニー沖縄県知事、本村賢太郎相模原市長など自治体の首長に転じた者もいる。)
名前ばかり挙げてしまったが、09年には多くの女性新人議員も民主党から当選したのだが、生き残れなかったのである。今回も立候補したものの落選した人もいる。山尾志桜里のように引退した人もいる。結局ほとんどの人は政界から遠ざかってしまった。立憲民主党には中堅の人材が少ないとか、女性議員が少ないと言っても、それは有権者が自民党男性議員を当選させてきたのである。生き残った人が中心にならざるを得ないから、立憲民主党には民主党政権時代からずっとやっている人ばかりになってしまう。だから僕はそれを批判するのは酷だと思うわけである。
しかし、それはそれとして、立憲民主党の小選挙区の候補はいつまで同じ人なんだろうか。別に同じ人でもいいんだけれど、それは「当選している限り、本人が自ら辞めない限り永遠に現職を優先して公認する」というルールがある場合である。立憲民主党は前回選挙時にバタバタと立ち上げなければならなかった。そういう事情から枝野代表など創業メンバーの個人商店的な色彩が強かった。他党にあるルールなども決まってないことが多い。例えば、自民党は「比例区は73歳定年」というルールがある。
もっとも個別事情で「例外」もあって、近畿ブロックの奥野信亮は77歳、九州ブロックの今村雅弘は74歳でそれぞれ単独1位になって当選した。福岡10区の山本幸三元地方創生相は73歳で名簿に掲載されなかったため、城井崇(無所属)に負けた後に比例で復活できなかった。惜敗率95%以上だったから、載っていたら当選だった。これでは不公平だと不満が出るのも当然だろう。甘利明の場合は、72歳なので辛うじて定年制に引っ掛からず、比例名簿に掲載されたため当選できたわけである。
それに対して立憲民主党は例外なく、小選挙区立候補者を比例名簿1位にしている。比例単独候補も少しいるが、すべて小選挙区候補の後であり、年齢制限もない。だからこそ、79歳の小沢一郎(岩手3区)、73歳の篠原孝(長野1区)が当選できたのである。高齢者の声を届ける議員も確かにあっていい。だけど、小沢一郎、菅直人、海江田万里、中村喜四郎など、「余人をもって代えがたい」のかもしれないが、いつまで議員をやるつもりなんだろうか。横路孝弘は2014年の選挙時に73歳で、17年の選挙には出ずに引退した。赤松広隆は2017年の選挙時に69歳で、今回立候補せずに引退した。
何歳までならいいかは決めがたいが、現実に小沢一郎は「政権交代より世代交代」を訴える38歳の藤原崇に小選挙区で初めて負けてしまった。藤原は2012年の選挙で29歳で比例区に当選し、小沢に挑むこと4回目で小選挙区を制した。これは(政治的立場を抜きにして考えれば)、香川1区の小川淳也以上に「快挙」なんではないだろうか。若ければ良いというものではないのは、自民党の2012年初当選組が「魔の○回生」と呼ばれ続けてきたのを思い出せば判る。だけど、旧民主党立ち上げから政権奪取、野党への転落から10年近く、ずっと同じような顔ぶれだと言われれば、全くその通りだと思う。
(小選挙区で敗れた小沢一郎)
高齢だからダメと言ってしまっては、高齢者だけではなく、障がい者や病者も議員として活動できるのかということになってしまう。社会の多様化を進める政党は、議員の多様性も具現化しなければいけない。ただし、どうしても小選挙区では日常活動や知名度が欠かせない。高齢議員は日常活動が鈍っても、知名度で長く当選してきた面が多いだろう。それでは政治が停滞するのも無理はない。ある程度高齢になったら、自分がまだ元気なうちに後進を育てることも大切だと思う。
それでもいつまでも政治に関わっていたいと思う場合は、参議院の比例区に回って貰うのはどうだろう。参議院の性格上、長い政治体験を生かした活動が期待できる。解散がなく6年間続けられるし、途中で病気、死亡などの場合も次点者が繰り上がるので問題ない。小沢一郎、菅直人レベルなら全国で数万票は期待できそうだから、当選するのではないか。高齢者にしてみれば、みんな若い人になると知らない候補者ばかりになる。長いこと知っていた人が出ていれば、全国的に党勢拡大にもつながるんじゃないか。非拘束名簿式なんだから、個人名投票が多ければ当選、少なければ落選というだけで、これならいくら高齢で立候補しても何の問題もないだろう。
民主党系の場合、09年に大量に当選した議員の多くは、12年以後に生き残れなかった。今回代表選に出馬意向が伝えられる逢坂誠二、西村智奈美もその時には落選している。泉健太、大串博志、小川淳也などは比例区で当選したが小選挙区では敗れた。この時は元首相の菅直人、衆院議長の横路孝弘、衆院副議長を2度務めた赤松広隆、今回落選した辻元清美なども比例当選だった。
2012年に小選挙区を勝ち抜いた民主党議員は、枝野幸男、安住淳、長妻昭、前原誠司、玉木雄一郎、玄葉光一郎らである。民主党内閣で閣僚を務めたほどの知名度がなければ、安倍政権下を生き延びられなかった。(付け加えれば、他にも松本剛明、山口壮(現環境相)、長島昭久、細野豪志ら今は自民党所属の議員も当選した。)2009年の総選挙では、民主党だけで143人もの新人議員が当選したが、そのうち2021年の衆院選でも当選したのは玉木雄一郎、大西健介、山岡達丸、後藤祐一、岸本周平、奥野総一郎ら(他に維新で当選した議員を入れても)14人しかいない。(玉木デニー沖縄県知事、本村賢太郎相模原市長など自治体の首長に転じた者もいる。)
名前ばかり挙げてしまったが、09年には多くの女性新人議員も民主党から当選したのだが、生き残れなかったのである。今回も立候補したものの落選した人もいる。山尾志桜里のように引退した人もいる。結局ほとんどの人は政界から遠ざかってしまった。立憲民主党には中堅の人材が少ないとか、女性議員が少ないと言っても、それは有権者が自民党男性議員を当選させてきたのである。生き残った人が中心にならざるを得ないから、立憲民主党には民主党政権時代からずっとやっている人ばかりになってしまう。だから僕はそれを批判するのは酷だと思うわけである。
しかし、それはそれとして、立憲民主党の小選挙区の候補はいつまで同じ人なんだろうか。別に同じ人でもいいんだけれど、それは「当選している限り、本人が自ら辞めない限り永遠に現職を優先して公認する」というルールがある場合である。立憲民主党は前回選挙時にバタバタと立ち上げなければならなかった。そういう事情から枝野代表など創業メンバーの個人商店的な色彩が強かった。他党にあるルールなども決まってないことが多い。例えば、自民党は「比例区は73歳定年」というルールがある。
もっとも個別事情で「例外」もあって、近畿ブロックの奥野信亮は77歳、九州ブロックの今村雅弘は74歳でそれぞれ単独1位になって当選した。福岡10区の山本幸三元地方創生相は73歳で名簿に掲載されなかったため、城井崇(無所属)に負けた後に比例で復活できなかった。惜敗率95%以上だったから、載っていたら当選だった。これでは不公平だと不満が出るのも当然だろう。甘利明の場合は、72歳なので辛うじて定年制に引っ掛からず、比例名簿に掲載されたため当選できたわけである。
それに対して立憲民主党は例外なく、小選挙区立候補者を比例名簿1位にしている。比例単独候補も少しいるが、すべて小選挙区候補の後であり、年齢制限もない。だからこそ、79歳の小沢一郎(岩手3区)、73歳の篠原孝(長野1区)が当選できたのである。高齢者の声を届ける議員も確かにあっていい。だけど、小沢一郎、菅直人、海江田万里、中村喜四郎など、「余人をもって代えがたい」のかもしれないが、いつまで議員をやるつもりなんだろうか。横路孝弘は2014年の選挙時に73歳で、17年の選挙には出ずに引退した。赤松広隆は2017年の選挙時に69歳で、今回立候補せずに引退した。
何歳までならいいかは決めがたいが、現実に小沢一郎は「政権交代より世代交代」を訴える38歳の藤原崇に小選挙区で初めて負けてしまった。藤原は2012年の選挙で29歳で比例区に当選し、小沢に挑むこと4回目で小選挙区を制した。これは(政治的立場を抜きにして考えれば)、香川1区の小川淳也以上に「快挙」なんではないだろうか。若ければ良いというものではないのは、自民党の2012年初当選組が「魔の○回生」と呼ばれ続けてきたのを思い出せば判る。だけど、旧民主党立ち上げから政権奪取、野党への転落から10年近く、ずっと同じような顔ぶれだと言われれば、全くその通りだと思う。
(小選挙区で敗れた小沢一郎)
高齢だからダメと言ってしまっては、高齢者だけではなく、障がい者や病者も議員として活動できるのかということになってしまう。社会の多様化を進める政党は、議員の多様性も具現化しなければいけない。ただし、どうしても小選挙区では日常活動や知名度が欠かせない。高齢議員は日常活動が鈍っても、知名度で長く当選してきた面が多いだろう。それでは政治が停滞するのも無理はない。ある程度高齢になったら、自分がまだ元気なうちに後進を育てることも大切だと思う。
それでもいつまでも政治に関わっていたいと思う場合は、参議院の比例区に回って貰うのはどうだろう。参議院の性格上、長い政治体験を生かした活動が期待できる。解散がなく6年間続けられるし、途中で病気、死亡などの場合も次点者が繰り上がるので問題ない。小沢一郎、菅直人レベルなら全国で数万票は期待できそうだから、当選するのではないか。高齢者にしてみれば、みんな若い人になると知らない候補者ばかりになる。長いこと知っていた人が出ていれば、全国的に党勢拡大にもつながるんじゃないか。非拘束名簿式なんだから、個人名投票が多ければ当選、少なければ落選というだけで、これならいくら高齢で立候補しても何の問題もないだろう。