衆院選で野党の議席減をめぐって、立憲民主党と共産党の選挙協力を語る人が多い。間違っていたとか、いや一定の効果もあったとか。まあ、それも考えるべきことだろうが、有権者はそれで投票先を判断したのだろうか。僕は政党の路線問題を気にする人なんて、そんなに沢山いるとは思えない。政治に強い関心を持っていた人は、左右を問わずマスコミやネットで大きな声で語る。でも、それが勝因(敗因)だと決めつけるというのもどうなんだろうと思うのである。
じゃあ、有権者は何を重視したのだろうか? 選挙後に行われた共同通信の世論調査では、「経済政策」が最多で33.5%を占めて他を圧倒している。それから「年金・医療・介護」が16.0%、「新型コロナウイルス対策」が14.9%で、この3つが10%を超えている。その次に「子育て・少子化対策」が9.4%、「政治とカネ」が8.4%、「外交や安全保障」が6.1%、「地域活性化」が3.8%、「原発・エネルギー対策」が3.5%、「憲法改正」が2.1%、「その他」が1.1%となっている。
この調査リストには何で「女性の政治進出」や「選択的夫婦別姓制度」がないのだろうか。「地球温暖化問題」は「原発・エネルギー対策」に入るのかもしれないが、はっきりと明記するべきではないか。それとも日本の選挙では全然争点にならないのか。それより何より「所属団体の推薦」とか「知人の依頼」という項目こそ必要なのではないだろうか。まあ、それはともかく、いつも日本の有権者は「経済」とか「年金」を重視すると答えている。どこまでホンネを答えているのか判らないけれど。
一応有権者は経済やコロナ対策を重視したと考えると、野党が掲げた「消費税減税」がアピールしなかったのかと思う。自民党や公明党が掲げた困窮世帯や子どもへの給付金の方が受け入れられたということではないか。消費税に関しては、アップするときに聞くと「引き上げに反対」という声が多くなる。しかし、しばらくすると慣れてしまうのか、受け入れられて来る。2021年10月の調査では「10%のまま維持する方がよい」が男女ともに多数派になっている。「一時的にでも引き下げる方がよい」は男性で38%、女性で33%である。(11月5日付朝日新聞夕刊)
(消費税に関する世論調査)
つまり、国民の中で少数しか賛成していない政策を野党は公約にしたことになる。少数派でも野党が主張して行かなければならない問題もある。与野党を分かつ基本的な問題では、多数少数に関わらず信じる政策を掲げるのが正しいだろう。しかし、経済政策などではどうなんだろうか。国民の中に消費税維持派が多ければ、それを受けて税収をいかに「再分配」していくかこそ論じた方が良かったのではないだろうか。
与党の方では公明党の「子どもに10万円給付」をめぐって、選挙が終わってから慌てて調整している。選挙で勝ったら連立を組むことは決まっていたんだから、選挙前に「与党共通公約」を発表するべきではないのか。今頃になって高市自民党政調会長が「公明党案は自民党の公約とは相容れない」などと言っているが、選挙後にそんなことを言うのはおかしい。野党はその矛盾点を選挙中に指摘して、自公両党を追及するべきではなかったのか。選挙後に与党間調整をしていることに違和感を感じる。
結局は「現金で5万円」「残り5万円はクーポン」という方向でまとまるらしい。これはギリギリ公約通りかと思うけれど、このクーポンというのは大学や専門学校への入学金や授業料に使えるのだろうか。18歳にも支給するんだから、当然そういう使い道ができなければならない。所得制限も協議されている。それは僕が「公明党の「子どもに10万円給付」公約を考える」で書いたように、児童手当の仕組みの利用を考えているからである。当然そうなると思っていたが、もともとの公明党案からは逸脱になる。ちなみに僕は「労働組合と選挙ートヨタ労組の撤退の意味するもの」も書いた。今回の選挙の焦点はその二つだと思っていたからである。終わってみれば、まさにその通りだったと思う。
何で消費税が受け入れられたのか。逆に野党はなぜ消費税にこだわる人が多いのか。恐らくは1989年の消費税導入時にさかのぼって、「だまし討ち」(中曽根元首相が大型間接税は導入しない」と公約して選挙に大勝した)で作られたこと、そして「逆進性」があるということだろう。しかし、逆進性と言っても、日本の税率はヨーロッパほど高くない。ヨーロッパでは25%ぐらいある国が多いが、その代わりに食品は5%とかゼロになったりしている。消費税を下げて、代わりに高額所得者の所得税を引き上げるなど言っているが、国民すべてからモノ・サービスの購買時に掛ける消費税分に充当できるとは思えない。
日本では高齢化が急速に進行し、高齢層も若年層も、年金や医療が現在のように保証され続けるのか不安に思っている。そのため、ただ減税すればいいという主張では国民は納得しないのではないか。アメリカでも減税を主張するのは共和党である。ただ消費税を減税すれば、高い買い物をする富裕層の方が有利になる。それより野党はきちんと「コロナ困窮者」に給付金という仕組みを提示するべきだったと思う。「子どもに10万円」という政策は、いろいろと疑問を呼びながらも、間違いなくインパクトがあった。それは公明党が700万票を回復した原動力になったのではないかと僕には思える。
じゃあ、有権者は何を重視したのだろうか? 選挙後に行われた共同通信の世論調査では、「経済政策」が最多で33.5%を占めて他を圧倒している。それから「年金・医療・介護」が16.0%、「新型コロナウイルス対策」が14.9%で、この3つが10%を超えている。その次に「子育て・少子化対策」が9.4%、「政治とカネ」が8.4%、「外交や安全保障」が6.1%、「地域活性化」が3.8%、「原発・エネルギー対策」が3.5%、「憲法改正」が2.1%、「その他」が1.1%となっている。
この調査リストには何で「女性の政治進出」や「選択的夫婦別姓制度」がないのだろうか。「地球温暖化問題」は「原発・エネルギー対策」に入るのかもしれないが、はっきりと明記するべきではないか。それとも日本の選挙では全然争点にならないのか。それより何より「所属団体の推薦」とか「知人の依頼」という項目こそ必要なのではないだろうか。まあ、それはともかく、いつも日本の有権者は「経済」とか「年金」を重視すると答えている。どこまでホンネを答えているのか判らないけれど。
一応有権者は経済やコロナ対策を重視したと考えると、野党が掲げた「消費税減税」がアピールしなかったのかと思う。自民党や公明党が掲げた困窮世帯や子どもへの給付金の方が受け入れられたということではないか。消費税に関しては、アップするときに聞くと「引き上げに反対」という声が多くなる。しかし、しばらくすると慣れてしまうのか、受け入れられて来る。2021年10月の調査では「10%のまま維持する方がよい」が男女ともに多数派になっている。「一時的にでも引き下げる方がよい」は男性で38%、女性で33%である。(11月5日付朝日新聞夕刊)
(消費税に関する世論調査)
つまり、国民の中で少数しか賛成していない政策を野党は公約にしたことになる。少数派でも野党が主張して行かなければならない問題もある。与野党を分かつ基本的な問題では、多数少数に関わらず信じる政策を掲げるのが正しいだろう。しかし、経済政策などではどうなんだろうか。国民の中に消費税維持派が多ければ、それを受けて税収をいかに「再分配」していくかこそ論じた方が良かったのではないだろうか。
与党の方では公明党の「子どもに10万円給付」をめぐって、選挙が終わってから慌てて調整している。選挙で勝ったら連立を組むことは決まっていたんだから、選挙前に「与党共通公約」を発表するべきではないのか。今頃になって高市自民党政調会長が「公明党案は自民党の公約とは相容れない」などと言っているが、選挙後にそんなことを言うのはおかしい。野党はその矛盾点を選挙中に指摘して、自公両党を追及するべきではなかったのか。選挙後に与党間調整をしていることに違和感を感じる。
結局は「現金で5万円」「残り5万円はクーポン」という方向でまとまるらしい。これはギリギリ公約通りかと思うけれど、このクーポンというのは大学や専門学校への入学金や授業料に使えるのだろうか。18歳にも支給するんだから、当然そういう使い道ができなければならない。所得制限も協議されている。それは僕が「公明党の「子どもに10万円給付」公約を考える」で書いたように、児童手当の仕組みの利用を考えているからである。当然そうなると思っていたが、もともとの公明党案からは逸脱になる。ちなみに僕は「労働組合と選挙ートヨタ労組の撤退の意味するもの」も書いた。今回の選挙の焦点はその二つだと思っていたからである。終わってみれば、まさにその通りだったと思う。
何で消費税が受け入れられたのか。逆に野党はなぜ消費税にこだわる人が多いのか。恐らくは1989年の消費税導入時にさかのぼって、「だまし討ち」(中曽根元首相が大型間接税は導入しない」と公約して選挙に大勝した)で作られたこと、そして「逆進性」があるということだろう。しかし、逆進性と言っても、日本の税率はヨーロッパほど高くない。ヨーロッパでは25%ぐらいある国が多いが、その代わりに食品は5%とかゼロになったりしている。消費税を下げて、代わりに高額所得者の所得税を引き上げるなど言っているが、国民すべてからモノ・サービスの購買時に掛ける消費税分に充当できるとは思えない。
日本では高齢化が急速に進行し、高齢層も若年層も、年金や医療が現在のように保証され続けるのか不安に思っている。そのため、ただ減税すればいいという主張では国民は納得しないのではないか。アメリカでも減税を主張するのは共和党である。ただ消費税を減税すれば、高い買い物をする富裕層の方が有利になる。それより野党はきちんと「コロナ困窮者」に給付金という仕組みを提示するべきだったと思う。「子どもに10万円」という政策は、いろいろと疑問を呼びながらも、間違いなくインパクトがあった。それは公明党が700万票を回復した原動力になったのではないかと僕には思える。