尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

最大の敵は「週刊文春」?-「日本維新の会」考①

2021年12月02日 22時55分38秒 | 政治
 2021年の衆院選で「日本維新の会」が41議席を獲得し、第3党になった。この党のことはしばらく書いてなかった。大阪で登場したときは、教育に強権的に介入する姿勢が露骨だったので、何回も書いている。また「大阪都構想」というおかしなものを強行することには、何度か反対論を書いた。(そもそも僕は戦時中に作られた「東京都」にも反対である。)しかし、「大阪都構想」は住民投票で二度に渡って否決されたから、僕はもう書く必要もないと思っていた。今回の衆院選で「政治は結果」だと松井代表が何度も演説していたが、「大阪都」が二度も否決された「結果」をどう思っているのか、実に不思議な思いがした。
(衆院選開票日の「日本維新の会」)
 今回は様々な事情が重なって、各ブロックで比例票が積み上がった。そのため近畿ブロック以外でも多くの議席を獲得することになった。議席数は小選挙区で16議席比例区で25議席。小選挙区の当選者は大阪で15、兵庫で1だった。(大阪は維新が候補を立てなかった4つ以外は全勝。その4つは公明党である。)比例では東北1、北関東2、南関東3、東京2、北陸信越1、東海2、近畿10、中国1、四国1、九州2、合計25議席となる。北海道を除く全ブロックで議席を獲得した。しかし、近畿ブロック以外をよく見てみると、惜敗率は6、7割程度が多く、小選挙区で2位につけているところも5区程度。徳島1区ではわずか20.1%の惜敗率(当選の仁木博文が約10万票で、維新の吉田知代が約2万票)で当選した例もある。

 僕は今回これほど「維新」が勢力を伸ばすとは予想していなかった。何故かといえば、石崎徹青山雅幸を直前になって公認したからである。新潟1区の石崎徹は2012年総選挙で自民党から出て西村智奈美を破った「安倍チルドレン」の一人。14年も小選挙区で当選、17年は比例復活だった。しかし、2019年に秘書に対する暴言が「週刊新潮」で報道された。秘書はそれまでに何度も暴行を受けていたとして被害届を出し、石崎は傷害罪、暴行罪で略式起訴され、罰金20万円となった。自民党を離党後も議員を続けていたが、維新の公募に応じた後で辞任した。選挙は当選した西村智奈美12万7千票に対し、わずか1万8千票で落選した。
(石崎徹前議員)
 青山雅幸は2017年に立憲民主党から静岡1区に立候補し、第3位だったものの比例区で当選した。しかし、当選直後に「週刊文春」が秘書に対するセクハラ疑惑を報道した。立憲民主党は会派への入会を認めない処分をし、無所属で議員を続けていたが、2020年に維新の会派に入った。本人は事実無根を主張して、逆に名誉毀損などで告発している。今回は維新から静岡1区に出馬し、自民、立憲、国民に続く最下位の4位。当選の上川陽子元法相10万票に対し、わずか1万7千票で落選した。青山はまあ法的には問題ないかもしれないが、石崎は罰金とはいえ有罪である。「維新の会」はスキャンダルが報じられて元の党に居られなくなった議員の救済機関なのか。全国各地で多数の候補を擁立するためには、誰でも良いのだろうか

 こういう公認をしている党が大きな支持を獲得するとは思えなかったのだが、有権者の多くは知らなかったのかもしれない。今まで「維新」の議員には問題行動、問題発言で離党した人が多い。かつての大阪市で区長、公立学校長の「公募」を行った際も、選ばれた人には多くの問題があった。はっきり言ってしまえば、「維新の公募に応じる」という段階で、何だかうさんくさい人物が寄ってくる気がする。そうでなければ、石崎、青山前議員などを公認できないはずだ。今までそれなりに地域で活動して知名度がある候補もいるが、中には突然「落下傘」で乗り込んできた新人候補もいる。それらの人が風に乗って当選してしまったが、よほど引き締めないとスキャンダルを起こすのではないか。41人が次回までに何人になっているだろうか。

 「維新」の敵は、まず「週刊文春」や「週刊新潮」だろう。どの党もスキャンダルがあれば報じるだろうが、今一番注目されそうなのは、躍進した維新議員のスキャンダルではないか。実際、もう伊東信久という衆議院議員(大阪19区で小選挙区当選)が、マルチ商法業者の講演をしていたとか、議員会館を不適切に使っていたなどと報道されている。今後もスキャンダル報道はあり得ると思っていた方が良いと思っている。まずは本筋とはちょっと違うことを書いたが、こんなことも誰も指摘していないのが不思議。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする