今年(2021年)もあと僅かになったけれど、どうも一年経って世界はますます悪くなっているのか。世界全体を数値評価する術はないが、ミャンマーや香港など東アジア、東南アジアでは明らかに悪い方に振れたとしか思えない。さて、世界を見渡せば、首脳が代わった国が多かった。日本もそうだが、アメリカ、ドイツ、イスラエル、イラン、ペルー、チリなどである。2022年はフランス、韓国、フィリピン、ブラジル、オーストラリアなどで選挙がある。またアメリカの中間選挙(下院全員と上院議員の三分の一)や日本の参議院選挙もある。しかし、問題は「恐らくはトップが変わらない中国共産党大会」の方だろう。
ところで2021年はトランプ政権からバイデン政権へと移り変わった年だった。今では遠い昔に感じられるが、1月当初には果たして正常な政権交代が可能なのかと疑われた。実際にトランプ支持者による議会乱入事件まで発生した。トランプ自身がほとんど「内乱煽動」のような言動を行っていた。しかし、共和党支持者におけるトランプ支持派は今も強力で、議会による「弾劾」(任期を過ぎた前大統領にも可能)は否決された。2024年大統領選にも出馬すると言われている。
(バイデン大統領)
バイデン政権になって、少しは世界が良くなっただろうか。当初はコロナ対策も強化し、ワクチン接種を進めて、前政権との違いが見えた感じがあった。しかし、アメリカの接種率は途中から減速していって、今では遅れた始まった日本の方が上回っている。今ではオミクロン株が広がって、一日あたりの感染者数は25万人にも達して過去最多となってしまった。死者の総数は昨年から総計で80万人を越えている。結局、バイデン政権になっても、アメリカの分断は全く解消されなかった。それはやむを得ないとしても、バイデン大統領自身もそうだし、カマラ・ハリス副大統領も存在感を示せないままになっている。
もっと存在感がないのは、アントニー・ブリンケン国務長官だ。歴代の国務長官の中でも、これほど名前も顔も世界に浸透してないケースは珍しい。もっともコロナ禍で世界の外交は2年間ほどストップしている状態で、それがなければ世界中を飛び回っていただろうから、もう少し存在感を示していたかもしれない。ブリンケン長官はオバマ政権で国務副長官を務めた人物である。それ以前はバイデン副大統領付の国家安全保障担当補佐官だった。外交官出身のバイデン側近で、オバマ時代は有力政治家が務めたのに比べて小者感が付きまとう。オンライン会談だけでは存在感を示せないままだろう。
(ブリンケン国務長官)
バイデンは高齢のため、脇に控えて若手を抜てきすると思われていたが、結局はトランプ時代と同じく大統領が前面に出る政治スタイルになっている。だから予想外に次回も出馬するのではと言われていて、2024年大統領選がバイデン対トランプになる可能性さえ相当ある。そんなバカなという感じだが。中国は習近平、ロシアはプーチンという長期政権に対峙するためには、アメリカでも高齢政治家しか出られなくなってくるのだろうか。
この間痛感させられたのは、アメリカという国家の独自性だ。移民国家だけに「理念」で創設された人口国家性が出て来る。トランプは自国中心主義だから「理念」じゃない感じだが、それは逆の意味での独特の理念だった。超大国だからこそ、自分たちは超大国だから、「敵」にも「味方」にも利用されてきたという被害妄想的な自分中心史観である。一方、バイデン政権に代わると、そのような極端な自己中心的行動は一応終わって、再びパリ協定に復帰し、WHOからの脱退も差し止めた。そうなんだけど、今度は「民主主義サミット」などという理解出来ない会議を招集した。
「民主主義的価値観」は大切だが、呼んだ国と呼ばれなかった国の差が不明である。これでは呼ばなかった国は中国やロシアと仲間になれば良いと言ってるに等しい。ブラジルのボルソナロ大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領は強権的だが、選挙という民主主義的プロセスで選ばれて、次の選挙では別の人物を選ぶことが出来る。だから呼んでも構わないとなると、ではトルコのエルドアン大統領やハンガリーのオルバン首相が呼ばれなかった意味が判らない。結局はトランプ時代と変わらず、世界を分断してしまっている。逆効果としか思えない。北京五輪外交ボイコットなども同様である。
EUを離脱したイギリスはアジア志向を強めている。アメリカと共に中国への警戒感を高めている。日本は中国とどのように向き合うべきか。政治家の人生の中で、一度も日本国内で人権問題のために闘ったことがない政治家たちが、なぜか中国の人権問題を声高に語っている。もちろん中国の人権問題は重大だが、批判すればすぐに変わるわけではない。何十年というスパンで関わっていくしかない問題だ。アメリカこそが先頭を切って、中国との軍縮交渉などに乗り出すべきなのに、今もやり方では「中ロ同盟」に意味を与えているとしか思えない。バイデン政権は中国に甘い顔を見せられず、民主党政権としては「人権」にこだわる。それは予想されたことではあるが、そのような予想を超えた「期待」はやはり外れだったんだろう。
ところで2021年はトランプ政権からバイデン政権へと移り変わった年だった。今では遠い昔に感じられるが、1月当初には果たして正常な政権交代が可能なのかと疑われた。実際にトランプ支持者による議会乱入事件まで発生した。トランプ自身がほとんど「内乱煽動」のような言動を行っていた。しかし、共和党支持者におけるトランプ支持派は今も強力で、議会による「弾劾」(任期を過ぎた前大統領にも可能)は否決された。2024年大統領選にも出馬すると言われている。

バイデン政権になって、少しは世界が良くなっただろうか。当初はコロナ対策も強化し、ワクチン接種を進めて、前政権との違いが見えた感じがあった。しかし、アメリカの接種率は途中から減速していって、今では遅れた始まった日本の方が上回っている。今ではオミクロン株が広がって、一日あたりの感染者数は25万人にも達して過去最多となってしまった。死者の総数は昨年から総計で80万人を越えている。結局、バイデン政権になっても、アメリカの分断は全く解消されなかった。それはやむを得ないとしても、バイデン大統領自身もそうだし、カマラ・ハリス副大統領も存在感を示せないままになっている。
もっと存在感がないのは、アントニー・ブリンケン国務長官だ。歴代の国務長官の中でも、これほど名前も顔も世界に浸透してないケースは珍しい。もっともコロナ禍で世界の外交は2年間ほどストップしている状態で、それがなければ世界中を飛び回っていただろうから、もう少し存在感を示していたかもしれない。ブリンケン長官はオバマ政権で国務副長官を務めた人物である。それ以前はバイデン副大統領付の国家安全保障担当補佐官だった。外交官出身のバイデン側近で、オバマ時代は有力政治家が務めたのに比べて小者感が付きまとう。オンライン会談だけでは存在感を示せないままだろう。

バイデンは高齢のため、脇に控えて若手を抜てきすると思われていたが、結局はトランプ時代と同じく大統領が前面に出る政治スタイルになっている。だから予想外に次回も出馬するのではと言われていて、2024年大統領選がバイデン対トランプになる可能性さえ相当ある。そんなバカなという感じだが。中国は習近平、ロシアはプーチンという長期政権に対峙するためには、アメリカでも高齢政治家しか出られなくなってくるのだろうか。
この間痛感させられたのは、アメリカという国家の独自性だ。移民国家だけに「理念」で創設された人口国家性が出て来る。トランプは自国中心主義だから「理念」じゃない感じだが、それは逆の意味での独特の理念だった。超大国だからこそ、自分たちは超大国だから、「敵」にも「味方」にも利用されてきたという被害妄想的な自分中心史観である。一方、バイデン政権に代わると、そのような極端な自己中心的行動は一応終わって、再びパリ協定に復帰し、WHOからの脱退も差し止めた。そうなんだけど、今度は「民主主義サミット」などという理解出来ない会議を招集した。
「民主主義的価値観」は大切だが、呼んだ国と呼ばれなかった国の差が不明である。これでは呼ばなかった国は中国やロシアと仲間になれば良いと言ってるに等しい。ブラジルのボルソナロ大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領は強権的だが、選挙という民主主義的プロセスで選ばれて、次の選挙では別の人物を選ぶことが出来る。だから呼んでも構わないとなると、ではトルコのエルドアン大統領やハンガリーのオルバン首相が呼ばれなかった意味が判らない。結局はトランプ時代と変わらず、世界を分断してしまっている。逆効果としか思えない。北京五輪外交ボイコットなども同様である。
EUを離脱したイギリスはアジア志向を強めている。アメリカと共に中国への警戒感を高めている。日本は中国とどのように向き合うべきか。政治家の人生の中で、一度も日本国内で人権問題のために闘ったことがない政治家たちが、なぜか中国の人権問題を声高に語っている。もちろん中国の人権問題は重大だが、批判すればすぐに変わるわけではない。何十年というスパンで関わっていくしかない問題だ。アメリカこそが先頭を切って、中国との軍縮交渉などに乗り出すべきなのに、今もやり方では「中ロ同盟」に意味を与えているとしか思えない。バイデン政権は中国に甘い顔を見せられず、民主党政権としては「人権」にこだわる。それは予想されたことではあるが、そのような予想を超えた「期待」はやはり外れだったんだろう。