「NHK党」をどう考えるべきだろうか。3年前に「NHKから国民を守る党」として、突然1議席を獲得して驚かせた。その時は党首の立花孝志が個人名1位で当選した。その後、立花孝志は参議院埼玉県選挙区の補欠選挙に立候補したため失職した。その後、立花氏はいろいろと「お騒がせ」があって、党名もどんどん変わっていった。7回も変わったらしいが、書くまでもないだろう。そして、立花氏が失職した後に誰かが繰り上げ当選したわけだが、その人の名前を言える人は少ないと思う。
参議院議員に繰り上がったのは、浜田聡という医者出身の議員である。一人では活動できないので、「維新」を除名された渡辺喜美議員とともに「みんなの党」という院内会派を結成していた。この間の首班指名選挙では渡辺喜美に入れている。しかし、今年度の予算案には賛成しているので、(国民民主党と同じく)「事実上の与党」として活動していたのである。
(浜田聡議員)
衆議院では「維新」を除名された丸山穗高を「副党首」に迎えた。(ちなみに丸山議員は北方領土視察時の「暴言」が問題となった。)だから、2021年10月の衆院解散までは衆参で一人ずつ議員がいたわけだが、丸山氏は立候補せず、他でも誰も当選しなかった。党首を務めて、知名度が一番高い立花氏は衆院選も参院選も立候補しなかった。2020年7月の都知事選を最後にどの選挙にも出ていないようである。その理由は何なんだろうか。
もしかしたら、多くの刑事、民事裁判に関わっていることが理由なのだろうか。立花氏は2021年4月に不正競争防止法違反や中央区議への脅迫などの罪で在宅起訴された。その事件で2022年1月20日に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、罰金30万円の有罪判決を受けた。公職選挙法違反で公民権が停止されているわけではないから、執行猶予中でも立候補出来るはずである。だが、そうすると刑事裁判で有罪になった事実が大きく取り上げられる可能性がある。それにしても、普通の党なら「刑事裁判で有罪」なら党首を辞任するのではないか。しかし、NHK党は事実上「立花氏個人の党」なんだろう。そんな議論が起きることもない。
(立花孝志党首)
僕がこの党をどうもおかしいなと思ったのは、2019年の足立区議選だ。「足立区議選、「NHKから国民を守る党」問題」を書いたけれど、「NHKから国民を守る党」から出馬した候補は得票ゼロとなった。区内に住所がなく、被選挙権がなかったのである。今までに「居住実態がない」という理由で、当選が取り消された例はかなりある。しかし、一応は住民票を移しておくものだ。足立区議選では区内に住民票がないのに、カプセルホテルを住所として届けたという。そして当選無効後に住民以外が立候補出来ないのは憲法違反だと訴えたが、最高裁で斥けられた。あまりにも区民をバカにしているのではないか。
バカにしてると言えば、「同名戦術」もある。2020年4月の衆院静岡4区補選で、野党統一候補として田中健氏が立候補した。(この田中健氏は落選したが、その後国民民主党に入党し、2021年10月の衆院選で東海ブロックから比例で当選した。)その補選に「NHKから国民を守る党」も全く同姓同名の「田中健」氏を擁立したのである。この田中氏は元江戸川区議で、今回も東京都選挙区から立候補している。だから政治家としての活動歴はあるわけだが、静岡で活動していたわけではない。立花氏は当時「同姓同名の候補者が出た場合、どのような票の割れ方をするのかテストしたい」などと述べていた。そして今回は何と比例区に「山本太郎」候補を擁立している。比例区の名簿を見て「れいわ新選組」と間違う有権者が出るのではないか。
僕が思うのは、これらは単に「バカにしている」「ふざけている」という問題ではないように思う。静岡補選も今回の参院選も、野党候補をジャマするような行動を取っているのである。今回は「年金受給者からはNHK受信料問題を取らない」などと言っている。僕もそれはその方が良いような気がしてくるが、考えてみれば電気代やガソリン代に比べて、NHK受信料の地上波月額1225円は大きくない。受信料がなくなっても、それだけでは焼け石に水ではないのか。それなのに「ワン・イシュー政党」として他の物価問題は論じない。それに何より、受信料以外のNHKをめぐる問題には口を閉ざしてきた。
この間大きく報道され問題化してきた「かんぽ生命保険の不正販売」を取り上げたNHKの番組に森下俊三経営委員長が介入した問題に対しては、何も言ってない。安倍政権下で政府とNHKとの距離が小さくなり、はっきり言えば「御用報道」化したとよく批判される。安倍政権で起きた森友学園、加計学園、桜を見る会などの問題で、NHKの報道が十分だったとは言えない。というか、長年(テレビをあえて持たなかった一時期を除き)「社会科教員として一応NHKのニュースはチェックする」ことをモットーにしていた僕も、数年前からはもう見る意味がないなと思って見てないから判らないのだが。
「NHK党」と言いつつ、報道機関としてのNHKにとって一番重大な問題に対して何も言わない。どういうことなんだろうか。そして、内閣提出の予算案に賛成する。立花氏はかつて、衆院選で多数の議席を取ったら「閣外協力」するというようなこを発言していた。しかし、それは実現しなかったし、仮にある程度の議席を取っても自民党は受け入れないだろう。現時点で過半数を大きく超えている与党にとって、問題発言・行動が多い少数党を受け入れることはデメリットしかない。もちろん、今回NHK党が仮に1議席を獲得しても、受信料問題は何も変わらない。これほど小さい党があれこれ言っても影響力がない。むしろNHKの報道内容問題から目をそらさせる意味を持つことで存在しているというのが、僕の見立てである。
参議院議員に繰り上がったのは、浜田聡という医者出身の議員である。一人では活動できないので、「維新」を除名された渡辺喜美議員とともに「みんなの党」という院内会派を結成していた。この間の首班指名選挙では渡辺喜美に入れている。しかし、今年度の予算案には賛成しているので、(国民民主党と同じく)「事実上の与党」として活動していたのである。
(浜田聡議員)
衆議院では「維新」を除名された丸山穗高を「副党首」に迎えた。(ちなみに丸山議員は北方領土視察時の「暴言」が問題となった。)だから、2021年10月の衆院解散までは衆参で一人ずつ議員がいたわけだが、丸山氏は立候補せず、他でも誰も当選しなかった。党首を務めて、知名度が一番高い立花氏は衆院選も参院選も立候補しなかった。2020年7月の都知事選を最後にどの選挙にも出ていないようである。その理由は何なんだろうか。
もしかしたら、多くの刑事、民事裁判に関わっていることが理由なのだろうか。立花氏は2021年4月に不正競争防止法違反や中央区議への脅迫などの罪で在宅起訴された。その事件で2022年1月20日に懲役2年6ヶ月、執行猶予4年、罰金30万円の有罪判決を受けた。公職選挙法違反で公民権が停止されているわけではないから、執行猶予中でも立候補出来るはずである。だが、そうすると刑事裁判で有罪になった事実が大きく取り上げられる可能性がある。それにしても、普通の党なら「刑事裁判で有罪」なら党首を辞任するのではないか。しかし、NHK党は事実上「立花氏個人の党」なんだろう。そんな議論が起きることもない。
(立花孝志党首)
僕がこの党をどうもおかしいなと思ったのは、2019年の足立区議選だ。「足立区議選、「NHKから国民を守る党」問題」を書いたけれど、「NHKから国民を守る党」から出馬した候補は得票ゼロとなった。区内に住所がなく、被選挙権がなかったのである。今までに「居住実態がない」という理由で、当選が取り消された例はかなりある。しかし、一応は住民票を移しておくものだ。足立区議選では区内に住民票がないのに、カプセルホテルを住所として届けたという。そして当選無効後に住民以外が立候補出来ないのは憲法違反だと訴えたが、最高裁で斥けられた。あまりにも区民をバカにしているのではないか。
バカにしてると言えば、「同名戦術」もある。2020年4月の衆院静岡4区補選で、野党統一候補として田中健氏が立候補した。(この田中健氏は落選したが、その後国民民主党に入党し、2021年10月の衆院選で東海ブロックから比例で当選した。)その補選に「NHKから国民を守る党」も全く同姓同名の「田中健」氏を擁立したのである。この田中氏は元江戸川区議で、今回も東京都選挙区から立候補している。だから政治家としての活動歴はあるわけだが、静岡で活動していたわけではない。立花氏は当時「同姓同名の候補者が出た場合、どのような票の割れ方をするのかテストしたい」などと述べていた。そして今回は何と比例区に「山本太郎」候補を擁立している。比例区の名簿を見て「れいわ新選組」と間違う有権者が出るのではないか。
僕が思うのは、これらは単に「バカにしている」「ふざけている」という問題ではないように思う。静岡補選も今回の参院選も、野党候補をジャマするような行動を取っているのである。今回は「年金受給者からはNHK受信料問題を取らない」などと言っている。僕もそれはその方が良いような気がしてくるが、考えてみれば電気代やガソリン代に比べて、NHK受信料の地上波月額1225円は大きくない。受信料がなくなっても、それだけでは焼け石に水ではないのか。それなのに「ワン・イシュー政党」として他の物価問題は論じない。それに何より、受信料以外のNHKをめぐる問題には口を閉ざしてきた。
この間大きく報道され問題化してきた「かんぽ生命保険の不正販売」を取り上げたNHKの番組に森下俊三経営委員長が介入した問題に対しては、何も言ってない。安倍政権下で政府とNHKとの距離が小さくなり、はっきり言えば「御用報道」化したとよく批判される。安倍政権で起きた森友学園、加計学園、桜を見る会などの問題で、NHKの報道が十分だったとは言えない。というか、長年(テレビをあえて持たなかった一時期を除き)「社会科教員として一応NHKのニュースはチェックする」ことをモットーにしていた僕も、数年前からはもう見る意味がないなと思って見てないから判らないのだが。
「NHK党」と言いつつ、報道機関としてのNHKにとって一番重大な問題に対して何も言わない。どういうことなんだろうか。そして、内閣提出の予算案に賛成する。立花氏はかつて、衆院選で多数の議席を取ったら「閣外協力」するというようなこを発言していた。しかし、それは実現しなかったし、仮にある程度の議席を取っても自民党は受け入れないだろう。現時点で過半数を大きく超えている与党にとって、問題発言・行動が多い少数党を受け入れることはデメリットしかない。もちろん、今回NHK党が仮に1議席を獲得しても、受信料問題は何も変わらない。これほど小さい党があれこれ言っても影響力がない。むしろNHKの報道内容問題から目をそらさせる意味を持つことで存在しているというのが、僕の見立てである。