「 5.14 ってどんなルートなんですかね 」 |
「 う~ん… 」 |
「 ・・・・・ 」 |
「 (そんな事聞くようなクライマーは)通り過ぎちゃうかもしれないな 」 |
「 良く分からないけど一番分かり易い説明かも 」 |
実際、湯川にクラック・スクールで行った時、移動するたびに白髪鬼(5.13d)を探したけど分からなかった。後で写真とトポを見比べてようやくそのルートの存在が分かった。そこにあったのはクラック(岩の割れ目)というより筋。そこを人が登れるなんて全く考えてなかった。
とある女性クライマーが近所の岩場にやってきた。昔登った事があるというルート、今や忘却の彼方。恐らく一撃ではなく何度も練習した末に登ったと思われる。その後そのルートよりも難しいルートを登ってるので久々で細かい事は忘れたとはいえ直ぐに登れるはず。
写真-1がそのルートの出だし。通常はこの青矢印が目に入り、ここを右手で掴んで登り始める。ちなみ始めて間もない人は縦ホールドを横に引いて使うという発想はあまり無い。
その女性が最初に手にしたのがこの小さな穴。女性でも指1本しか入らない小さな穴だ。
「 ボッケさん~ん、この穴使います~? 」 |
「 いや、そんなの使わないよ 」 |
「 でも指が奥まで入りますよ 」 |
「 いやいやいや、そういう問題じゃないよ、抜けなかったら大怪我するよ 」 |
「 そうなのぉ~ 」 |
離れて見るとこんなに小さいんだけど、それを使って登りだした。しかも次のホールドも良いホールドの隣の悪いホールドを何故かセレクトして…
別のルートでも小さな穴を見つけていた。やはりルートの出だしでそれが写真-4である。このルートを20年くらい見てるけど、俺はその穴の存在をその時まで知らなかった。もしかすると岩が欠けたりして後から出来た穴かもしれない。
問題の穴を近くで撮った写真-5である。
写真-6を見るとその小ささが分かると思う。これは指先がちょこっとかかるくらいなんだけど、これを人差し指と親指で摘んで使おうとしてた。一緒に居た男性も色々な可能性を探ってこれを弄ってた。
「出だしの登り方は色々あるだろうけど、今はこうこうこうやるんだけどね」と話した。最終的にその方法でやっていた。やっぱりそうだよなぁ。だけどまるで使えないホールドが見えるってのもあながちダメとも思えないモヤモヤ感。