「子どもの脳死、臓器提供」という難しいテーマを、ドラマを見ているような感じで読ませてくれた本でした。
(大好きな東野 圭吾 氏~~さすが、うらぎらない~~!)
「人魚の眠る家」 東野 圭吾 著
『 娘の小学校入学が決まったら離婚する,と決めていた仮面夫婦の元に「娘がプールで溺れた」という連絡があった。
病院へ駆けつけた二人に医師が告げたのは・・・残酷な現実・・・そして思いもよらなかった選択もせまられます。
脳死・・・両親の目の前にいるのは、ただ眠ったような娘・・・、
心臓が動いているのだからと、「死」として認めることはできないという母親。
夫を説得して、臓器の提供を断り、娘を家に連れて帰ります。
彼女は、夫に、彼の会社の若手技術者に「娘の脳の代わりになる装置」を、つけるようにお願いし、電気によって手を動かしたりさせます。
機械によって運動をすることで、筋肉もつき娘の体の成長にもつながりました。母親は、新しい洋服を着せ替えたり、小学校にも入学させます。
(車イスでお散歩に連れ出したりした時に、出逢った一人の少年が「眠っているだけで歩けないんだから、人魚みたい」~~と、想ったことが、この本のタイトルです)
娘の目は一度も開かないのに・・・、三年と数か月・・・、
その狂気のような母親の姿は、次第に周囲から気味悪がられていきます。
少女の弟の誕生日パーティーの日、事件が起きます。
そして、母親は「つきが落ちた」ように、娘の死を認めることになり、臓器提供を申し出るのでした。』
「脳死」という現実を突きつけられても、母として娘の死を認めたくない気持ち・・・すごくよく分かります!
臓器提供をすることで、病気で苦しんでいる何人かの人を救えること・・・知識として理解していても、いざ肉親が・・・となったら、どうなんでしょうね・・・。
大人は、生前に「臓器提供カード」とかで意志を表明しておくことができますが、子どもはまだそれがない、なので、親の決断ということになるんですね!
きちんと考えなけらばならない問題を突きつけられた本でした。