prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

本の白子

2005年12月30日 | Weblog
大掃除で出てきたレイ・ブラッドベリの「黒いカーニバル」の文庫本。ごらんの通り、本来あるべき黒インキの印刷部分がそっくり落ちています。当然、裏表紙にあるべき解説の文字もまったくなし。


「ディック&ジェーン 復讐は最高!」

2005年12月30日 | 映画
1976年のジョージ・シーガルとジェーン・フォンダ主演の「おかしな泥棒 ディック&ジェーン」のリメーク。
旧作だと夫が会社をクビになるのだが、ここではCEOが一人で会社の金なんと四億ドルを独り占めにして逃げてしまうため会社全体がぽしゃってしまうという設定。従業員全員が職を失う上、退職金も出ないのだから、なお悪い。そしてこのアレック・ボールドウィン扮する金の亡者のCEOにいかに命より大事な金を吐き出させるか、という復讐がメイン・ストーリーになる。現代の貧富の格差の拡大と、トップの無責任ぶりをうまく取り入れた。

劇中のテレビ番組にラルフ・ネーダーが当人の役で出てくるのにびっくり。1960年代にアメリカ、というより世界で初めて消費者運動を始めて、自動車業界のビッグ3に欠陥車の発売停止と被害者への賠償金を認めさせた人であり、最近でもブッシュとゴアが争った大統領選挙(!)に出馬した人、という程度の知識はあったが、実物の動く映像は初めて見た。いかにもうるさそうな顔してるなあ。貧富の格差そのものに異議を唱え続けてビル・ゲイツに噛み付いたりしている人なのだから、ぴったりといえる。

わざわざ時代設定を2000年にして、主人公の仲間がエンロン(!)に再就職するというオチがつく。さらにエンドタイトルにワールドコムの誰それの協力を得ましたとか出るのだから、企業の無責任な利潤追求至上主義を批判している姿勢はかなりマジメなもの。

キャリーはここでプロデュースも兼ね、基本は得意のドタバタだが(身体がまだ動く)、一箇所だけ金持ちの勝手さに対する悔しさを露にするシーンだけマジでやってみせている。
もっとも、やはりエンドタイトルにジム・キャリーつきのスタッフの名前がずらっと十人近く並ぶのだから、皮肉。
(☆☆☆★)