大国に翻弄された小国につきもののさまざまな悲劇や残酷な出来事が起こるのだが、語り口のユーモアと政治状況よりビールと色事、といった描き方が作り手の人間的な余裕を感じさせる。
背の低さ、という一点が民族や政治的立場を越えて複数の人間を共鳴させてしまうことがあるのが人を食っている。
ユダヤ人たちが財産を運びやすい切手に変えておく、というのが面白い。やたら高価な切手、というのは政治的に不安定な地域でごく短い期間発行されただけなので希少価値で高くなった、ということが多いので、ユダヤ人と親和性があるのではないか。
ナチスによる「優秀な」血の交配施設が、ドイツが敗勢になるに従って、手足を失った兵士たちの収容施設にそのまま転用されるあたり、たまたま「優性」な位置を占めているに過ぎない集団の傲慢を着いて衝いて辛辣をきわめる。同じ建物が持ち主が変わるに従って意味づけがころころ変わる、というのは、持ち主は建物を支配しているつもりでも、見方を変えたらたまたま主人の地位を占めているに過ぎないことがありありとわかる。
そして、最終的に主人公が主人になったかと思うと、社会主義政権に全部取り上げられて刑務所送り、というのが最大の皮肉。それでもインインメツメツにならず、女好きは変わらないのがいい。
(☆☆☆★★★)
本ホームページ
英国王 給仕人に乾杯! - goo 映画
背の低さ、という一点が民族や政治的立場を越えて複数の人間を共鳴させてしまうことがあるのが人を食っている。
ユダヤ人たちが財産を運びやすい切手に変えておく、というのが面白い。やたら高価な切手、というのは政治的に不安定な地域でごく短い期間発行されただけなので希少価値で高くなった、ということが多いので、ユダヤ人と親和性があるのではないか。
ナチスによる「優秀な」血の交配施設が、ドイツが敗勢になるに従って、手足を失った兵士たちの収容施設にそのまま転用されるあたり、たまたま「優性」な位置を占めているに過ぎない集団の傲慢を着いて衝いて辛辣をきわめる。同じ建物が持ち主が変わるに従って意味づけがころころ変わる、というのは、持ち主は建物を支配しているつもりでも、見方を変えたらたまたま主人の地位を占めているに過ぎないことがありありとわかる。
そして、最終的に主人公が主人になったかと思うと、社会主義政権に全部取り上げられて刑務所送り、というのが最大の皮肉。それでもインインメツメツにならず、女好きは変わらないのがいい。
(☆☆☆★★★)
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