オープニングで人類初の月面着陸を果たした宇宙飛行士たちが、なんと月面でユニオンジャックの切れっぱしを見つけるという、「星を継ぐひと」ばりの壮大なつかみがあるのだが、その後は古式ゆかしい初期SFのテイストにまとまる。
反重力物質というのを塗ると重力の影響を受けなくなり、地球から飛び立てるという空想的なガジェットを使うわけだが、なんだかディズニー映画の「フラバー」みたい。というか、フラバーの方がウェルズよりもちろんずっと後だが。
後半に昆虫型の月人や月牛が出てくるあたりはレイ・ハリーハウゼンの特撮の見せ場になるが、月を舞台にするともっと奇想天外なクリーチャーが出てきそうで、空想的な楽しさがかえって薄れた。
月牛は「ラドン」のメガヌロンみたい、月人が住む地下空間の入口はこの映画の四年後(意外と製作時期が離れていない)に作られた「2001年宇宙の旅」の月面基地のように天蓋が放射状に開く。