prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝」

2020年04月25日 | 映画
ツイ・ハークとジェット・リー(組んでいた当時はリー・リン・チェイ)というと「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズのコンビの18年ぶりの再現なわけだが、その間の両者の状況の変化は良くも悪くも大きい。

1963年北京生まれのリーはもともと並外れた武道家として「少林寺」でデビューし、単純素朴な役と共に体技の凄さひとつで見せきる素材そのものの魅力で売ったわけだが、タレントとして商業的に売っていくにはそれ以上の味付けが必要になってきて、ワンチャイシリーズ(1990~97)では香港で商業映画精神の塊のようなハークと組むことで体技をワイヤーワークなどの派手な仕掛け、大セット、めぐるましい編集などで増幅し、かつてないスペクタクルとして大いに楽しませてもらった。
一方でこのシリーズは中国ナショナリズムの色も濃かったのだが、当時は今のように中国が帝国化するとは想像しておらず、気にしないで楽しんでいた。

香港返還、リーとハークのアメリカ映画進出、中国映画の大資本化と世界進出と勢力分布はめぐるましく変わった後とあって、3D、CGを取り入れてアトラクション化は一段と進んだわけだが、正直進みすぎて初期に見られた体技の凄さは映像技術と資本力アピールの飾りに埋もれてよくわからなくなった感が強い。
ずいぶん変わったものだし、いい方に変わったとは思えない。