東京国際女性映画祭第15回の記念作品。
女性監督第1号は、戦前の坂根田鶴子(さかね・たづこ)で、さかねた・つること読んでいたので気づかなかったことがある。つまり、村上もとかのコミック「龍RON」に「たづ」という女性キャラクターが出てくるのだが、彼女は満州映画協会で監督デビューする設定なのです
貧しい生まれ育ちだったたづを女学校に進学させてくれた恩人であり愛する人でもあった押小路龍を主演に監督作品を作るという、村上もとからしい虚実ないまぜた(もちろん満映理事長の甘粕正彦も大々的に絡む)根も葉もあるウソ。
坂根田鶴子は劇映画の演出は「初姿」一本だけで、満映ではドキュメンタリーを演出していた。
国際女性映画祭が始まった1985年は日本に劇映画の監督はひとりもいなかったものだから、羽田澄子監督のドキュメンタリー「AKIKO あるダンサーの肖像」が完成を急がされたという。
ただし、このエピソードにはピンク映画を何百本も量産していた浜野佐知監督の存在が欠落している。最初の一般映画(とは、しかし何か)「第七官界彷徨 尾崎翠をさがして」を作ったのは1998年。
もっぱらフィルム時代の製作で、羽田澄子監督が操作しているのがスタインベック。
おしまいの方で河瀨直美が顔を出すのになんだか複雑な気分になる。
去年から今年にかけて塚原あゆ子監督が「ラストマイル」「グランメゾン・パリ」「ファースト・キス」と立て続けにヒットを飛ばしていて、新しいフェーズに入ったかな、と思わせる。
そういえば、羽田澄子氏はどうしただろうと調べたら、99歳で存命中。1926年1月6日生。