スタッフ・キャストの中で一番違和感があるのは監督メル・ギブソンのクレジットで、「ブレイブハート」「パッション」「アポカリプト」「ハクソー・リッジ」など暴力色が強いスター俳優兼作家監督のイメージがあり、新作は「ワイルドバンチ」のリメイクと伝えられたこともあった(コロナでぽしゃったか)のも無理からぬところと思えたのだが、どういう事情でこういうコックピットに閉じこもった職人的な作りを要求する小品を作ることになったのだろう。
つまらなくはないのだが、脚本演出とも隙間風が吹き込んでいて、たとえば、操縦席のミシェル・ドッカリーとトファー・グレイスが機体後方で拘束されているウォルバーグに背中を向けていて、ウォルバーグがかなり堂々と拘束を解こうとしているのに気づかない。背中に目がついているわけではないし、自動車と違ってバックミラーがあるわけでもないから不思議はないといえばないのだが観客には見えてますからね。志村、後ろ後ろという感じ。
あと操縦席の下に落ちたナイフに気づかないのは大ポカ。
飛行機のフライトの映像と狭いコックピットのカットバックがいかにも別に撮ってつなぎましたという感じ。
ウォルバーグの禿っぷりがかなりおかしい。カツラがとれるところといい、なんですか、アレは。
