悪役が佐藤慶と小池朝雄という爬虫類型と暑苦しいのと違うタイプで強力なのを二人揃えたのがよかった。
二人をそれぞれやっつけるのを順番ではなく同時進行のカットバックでかなりの長丁場で描くのは劇場用を意識した作りなのだろう。
林与一の浪人が梅安と全然知らない仲というのはテレビ版とはとりあえず無関係ということですか。
緒形拳の梅安は愛嬌いい笑みを浮かべていると同時に凄みを覗かせる。これが藤田まことの中村主水だと普段は昼行灯で仕事になると凄みを出すという具合に変身するようになるのだなと思う。
後年のような光と影の交錯はこの時点では特に見られない。監督の渡辺祐介は劇場用第一作(’73)から撮っているけれど、テレビ版は74.09.28放映の「暗闇仕留人」第14話「切なくて候」が初とある。つまり劇場版の方が先。
(☆☆☆)