満たされない欲望を満たすために現れたみたいな分身、がその欲望自体がどういうものなのかわからないものだからあさっての方に暴走していくというプロセスの芯はつかめるのだけれど、何しろ暴走ぶりの方を面白がるようにしむけている作りなものだから、面白いところとわけのわからないところとがごっちゃになって、挨拶に困る。
中盤、役所広司のニ役をロバート・アルドリッチ(ロンゲスト・ヤード」「合衆国最後の日)ばりのマルチ・スクリーンで描くくだりが、同一画面で二人同じ人間がいないところを見せねば、といった思い込みを裏切る格好になって面白い。
(☆☆☆)