prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ワールド・トレード・センター」

2006年10月31日 | 映画
仮にこれを9.11のことを全然知らない人(十分ありうることだ)が見たら、どういう風に見えるだろう。
地味なタッチのデザスター・フィルムにしか見えないのではないか。

テロそのものの持つ意味に関しては、表面的にすら触れていない。どう扱っていいかわからないので避けたとも見えるし、アメリカ人にとってはわかりきったこととして済ませている感じでもある。

日本人であるこちらの意識は9.11以降大きく変わったとは思うが、しかし全世界的・歴史的な観点からしたら、歴史の転回点みたいに特別視するのには疑問がある。
「9.11は確かに悲惨な出来事でしたが、しかしアフリカではあそこで亡くなった以上の数の子供が、毎日エイズで死んでいるのですよ」とは、元国連高等弁務官・緒方貞子氏の言葉だ。

9.11が特別に見えるのは、それがテレビに映ったからだ、と言ったら言いすぎだろうか。

ここで省略されている部分を、所与のものとして受け取ることはできない。
「見えない人間」、無視されている人間(テロリストを生み出した土壌はそれが確実にある)の方こそ見たい。
(☆☆☆)


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