人を平然と殺す不良が、たまたま縁を持ってしまった赤ん坊を助ける、というドラマは最初見ていて甘いのではないか、と思えた。
チャップリンの「キッド」みたいに別に人殺しではない浮浪者でも赤ん坊を自分で育てるようになるまで非常に丹念にプロセスを積み重ねていたのに対して、いやにあっさり車から赤ん坊を連れていく。身代金をゆすりとるためにさらったのか、と思ったくらい。
もっとも、ずっと見ていくと赤ん坊を救うヒューマニズムより、ツォツィ(不良)が「自分を大切にすること」を学んでいくドラマとすると筋が通っていてラストがぴしっと決まることがわかる。だからといって、そこで冒頭のひっかかりが解消されたかというと、微妙なところ。
(☆☆☆★)