《 軽井沢高原バス 廃線バス停の旅・10 》
今回の旅では省略した路線と従来からの西区線が再び合流するのが、“蜩の里”(ひぐらしのさと)である。
このバス停の名前は許してやってもよい。
今でも、毎年8月になると、軽井沢には早くも秋の気配が感じられるようになり、それと同時に、夕暮れ時には、ひぐらしの物悲しげな鳴き声を聞くことができる。
ひぐらしの鳴く声だけは、40年来変わることがない。トンボなどはめっきりその数を減らしたのに・・・。
このバス停の南側に、森永の保養所があり(今もあるのだろうか?)、その少し西に、かつては“西武百貨店軽井沢店”の支店があった。今はNECの立派な保養所の道を挟んだ向かい側である。
その北西の角に小さな郵便ポストがあり、よく祖父が散歩をかねてここに郵便を出しに行っていた。
4月4日の夕方、BSの日本映画チャンネルで成瀬巳喜男監督の“杏っ子”をやっていたが、山村聡扮する和服姿の室生犀星に、亡き祖父を思い出した。
“白い巨塔”の万俵大作(だったか?)のイメージが強すぎて、祖父は山村聡に似ているといわれるのを嫌がっていたが、和服で散歩する姿や顔の輪郭に祖父の面影がが浮かぶ。
亡くなってもう20年以上経つが、つい昨日のことのようにも思える。
“蜩の里”を過ぎると、かなり急な下り坂になる。ところどころで、離山が見えたりする。
* 写真は、“蜩の里”バス停の看板。
2009/4/6