山中湖のゼミ合宿の初日の夜、持っていった“パラダイン夫人の恋”を山中湖で見た。
テレビのオリンピック中継も終わり、学生たちは誰かの部屋で酒を飲みながらゲームをしたり、喋ったりしているのだろう。
いつも飲酒のことを口うるさく言っているので、ぼくには学生からお呼びがかからない。その方が助かるので、自分の部屋でDVDを見ることにした。
イギリスの裁判の法廷シーンを見ることができるという以外には、何の取柄もない映画だった。
かつて見た同じくヒチコックの“汚名”は、セルズニクが口を出しすぎたために、ヒチコックの「汚名」となってしまったと、キネマ旬報『アメリカ映画作品全集』に酷評されていたが、この映画も“汚名”と同程度の不作である。
わがグレゴリー・ペックが情けないほど洞察力のない弁護士の役を演じている。
いくら何でも、グレゴリー・ペックにこんなアホな弁護士役を演じさせることはないだろうと思って、どんでん返しを予想していたが、、呆っ気ない結末・・・。
どうもセルズニック+ヒチコックには駄作が多い。
* 写真は、キープ社版“水野晴郎のDVDで観る世界名作映画[青9] パラダイン夫人の恋”から、イギリスの法廷シーン。弁護士役のグレゴリー・ペック(右下のうつむき加減の後ろ姿)は、法曹用のかつらをかぶっている。被告人席右側の女性がアリダ・ヴァリ。