チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

くろの死

2011年07月11日 | 

曇り、29度、86%

 私が毎朝走る、ボーエンドー。香港島の北の中腹を東西に走る4キロの道です。西の端から1キロは車が入れます。公園が2つあり、山沿いに曲がった道です。人家も両端にあるだけ。この道には、6、7匹の野良猫がいます。くろは、その中でも一番の年寄りだと思います。10歳ほどです。この道は、朝早くから、走る人、散歩する人が多く、野良猫にわざわざえさを持ってくる人もいます。それで、猫たちは、野良なのに意外に穏やかです。

 昨日の朝の事、いつものように、明けやらぬ前から走りに出ました。ボーエンドーに入り、1キロにさしかかる前に、道に真一文字に黒い物が横たわっているのが、遠目に見えます。もしかして、くろ?気持ちを殺して、近づくと、やはりくろの遺体です。車にはねられた様子はありません。ただ、このままにしておくと間違いなく車にひかれます。車の離合するための空き地がすぐ横にあります。そこに運んでやらなくては。あたりを見ると、段ボール箱の切れ端がありました。久しぶりに触れるくろの体です。すっかり冷たく、固くなっています。持ち上げると、あまりにも軽い。そおっと、空き地の隅に置きました。

 私も不定期にえさを持ってくる一人です。夕飯が魚の日の次の朝、残り物を持って行きます。でも、ここの猫たちは、キャットフードをもらう事が多いので、あまり喜んではくれません。えさを持っているときは、「くろちゃん、くろちゃん。」と呼ぶと、そおっと姿を現します。野良猫たちは縄張りがあるようです。いつも決まった場所に、決まった猫がいます。くろは、すーっと寄ってきて、私の足に体をすり寄せます。道の真ん中で、丁寧に毛繕いをしているときは、私と並んで、15メーターほど走ってくれます。ここが縄張りの境なのです。くろの体をくるぶしのあたりに感じながら走ったとき、なんて幸せだったんでしょう。

 朝日が上り始め、明るくなってくろの遺体のところに戻ってきました。ここ3、4年は、朝姿を見る事が少なくなってきていました。それでも、「いつ見てもきれいな毛並みだね。」と声をかけたのが、去年の秋です。この冬は、香港も寒さが強く、寒い日が長く続きました。久しぶりにくろに会ったのは4月頃でした。お腹の肉が落ちて、毛艶がなくぼさぼさです。あの日から、くろに会えなくなる日が近い事は、解っていました。

 くろは、地元の人からは、「ハクチャイ。」と呼ばれていました。くろちゃんの意味です。遺体を見ると、苦しんだ様子はありません。傷もありません。このまま、明るい中、遺体を曝すのに忍びなく、近くにあった芋の葉っぱを手折って、遺体にかけてやりました。いよいよ、お別れです。野良猫の10年は大変だったでしょう。ゆっくり、休んでください。

  この春、別れが近い事を思って、急に撮った写真です。うまく撮れませんでした。まさか、野良猫の死に、こういう形で向き合う事ができるとは、思ってもいませんでした。ありがとう、くろちゃん。

コメント (4)
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