晴、4度、68%
台所の窓際にテラコッタの「にんにくポット」を置いています。30年以上前に香港のスーパーで買った小ぶりな「にんにくポット」です。よく見ると蓋の取っ手部分も、穴あき胴体も黒ずんでいます。振り返り考えると、このポットを30年以上洗ったことがありません。引越しの荷物に入れた時ですら洗っていません。黒ずみは私の「手垢」です。たわしを使って、ゴシゴシ。
身近にあるもの、毎日目に入っているもの、意外に本当はよく見ていないんだと気づきます。30年積み重なった私の「手垢」で黒ずんでしまった「にんにくポット」。少しづつ少しづつ垢を身につけてしまっていました。
洗ってすっきりとした「にんにくポット」を窓辺に返しました。物が綺麗になると嬉しいので幾度も見ます。「スッキリしたわね。」テラコッタですが長年の手垢で艶が出ています。
「垢抜ける」って言葉普通に使っていましたが、この「にんにくポット」を洗ってこの言葉の意味を実感しました。「垢」という言葉を調べると「汚れに粘液質が混じった物」だそうです。汚れの方はすっかり片付きましたが、私の手指の油分が染み込んだ「にんにくポット」です。「にんにくポット」を洗って、「垢抜ける」という言葉を目の当たりにしました。この歳にして初めて「垢抜ける」という言葉を知ったように思います。