気ままに

大船での気ままな生活日誌

六国見山を歩く

2007-10-31 06:39:38 | Weblog
六国見山は鎌倉を囲む一番外側のやまなみで、大船側の我が家(マンション)のベランダからよく見えます。昨日は朝からよい天気でしたので、この山にノボルことにしました。ワイフは11時から歯医者さんの予約があるので、ひとりで出掛けました。山頂(147Mです、恥ずかしくて登るとは言えません)の展望台が最近整備されたと聞きましたので、近い内、ぜひにと思っていたのでした。

我が家から20分ほど歩くと多門院の前に出ます。その横の道をさらに進むと、六国見山方面に向かう小径が現われます。そして、永井路子さんが著書「私のかまくら道」の中で”鎌倉で最も美しい情緒に満ちた”とおほめになった、切り通しがすぐ目の前に現われてきます。でも、すぐに住宅街に出てしまいます。永井さんが歩いた頃はまだのどかな田園風景だったようです。その住宅街を抜けると、六国見山森林公園の標識が見えてきます。

その入り口からは、正真正銘の山道です。急に小鳥の鳴き声が大きくなってきました。案内標識には、コジュケイやコゲラが生息しているとありましたので、そういう小鳥たちのさえずりでしょうか。顔を上げると、トンビがゆうゆうと空に舞っているのが目に入りました。”山道を登りながら、こう考えた・・”と、漱石の草枕の一節を口ずさみながら、気分よく歩いていきました。すると、アッというまに頂上につきました、なにせ147メートルの"高い"山ですからね、汗ひとつかきません(汗)。

展望台はたしかにきれいになっていました。そしてそこには先客が二人おりました。一人の方は、ボクのマンションの近くに40年ほどお住いの(ボクは2.5年ほどの新米)地元の方でした。よく、ここに来られるそうで、”今日は遠くが霞んでいるが、一昨日は富士山も、伊豆の大島も、神津島も、丹沢のやまなみもみえたよ”と話していました。低い山とはいえ、たしかに見晴らしがいいです。鎌倉の山々が一望でき、源氏山も、鎌倉山も、稲村ヶ崎もよく分かります、鎌倉は本当に緑が多いです。江ノ島の展望台もはっきりみえますし、その右側には藤沢の町が拡がっています。そして、後ろを振り向くと、横浜のみなとみらいのビル群まで目に入ります。

ここから、相模、武蔵、伊豆、上総、下総、安芸の六つの国が見渡せるいうことで、六国見山なのです。空気が澄んでさえいれば、富士山はもちろんのこと、ボクが20数年間、間近にみていた筑波山も遠く望めるそうです。

ボクより年齢が上の、そのおじさんとしばらく話をしました。”寺院の銅瓦葺の職人をやっていたんだが、肝臓をこわして目もきかなくなったので引退した、現役時代は、この下の円覚寺や鎌倉のいろんな寺で仕事をさせてもらった、銅板の下にこっそりオレの名前を彫って入れてあるんだぜ、自分の作品だからな、へたな仕事は出来ないから引退したのさ、でも道具は今も毎日みがいているよ”。いいですね、職人さんは。一番、”人生”にしっくりいく職業だと思います。でも、職人さんが腕をふるえる職場が最近少なくなってきているのは残念なことです。このおじさん、ときどき、ここに来て、以前の仕事場を見下ろして、感慨にふけっているのでしょうか。

そのとき、突然、子供達の話し声が聞こえてきました。先生に連れられお散歩している、近くの幼稚園生たちでした。よく、登ってきました。ここは、幼稚園生でも登れる山なのです(汗)。それで、ボクは、おじさんと、ではまた(近所なので会う可能性が高いので)と、あいさつをして、おじさんのムカシの仕事場だった、たき火の煙のあがっている円覚寺の方に向かって、山道を降りて行ったのでした。



コメント
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