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気ままに

大船での気ままな生活日誌

美しき日本の原風景/川合玉堂・奥田元宋・東山魁夷

2011-06-23 06:27:08 | Weblog

前日のNHKテレビ”極上美の饗宴/東山魁夷の旅「第2回 挑戦の京都」”をみて、どうしても山種美術館に行きたくなった。放送では当美術館所蔵の、”年暮る”がとくに詳しく解析されていたのだ。”風景画の巨匠にして国民的画家”と呼ばれる東山魁夷、ぼくも若いときから大好きな画家だ。毎年、東山魁夷カレンダーがリビングを飾る、今月の絵は”沼”。

魁夷の絵は7点、展示されていた。うち4点が京洛四季。春は、”春静”、鷹ヶ峰の深い緑に満開の桜。夏は、”緑潤う”、修学院離宮の庭園。秋は、”秋彩”、小倉山を背景に黄色、赤の紅葉の木が二本。そして、冬は”年暮る”だ。魁夷が定宿としていた京都ホテル(現オークラ)の屋上からの家々の屋根のスケッチを元に制作したものだ。

放送で、青は心に染みる色だというような説明があった。たしかにそう思う。京都の四季(ここでは冬)と深く結びつきながら、町屋に住む人々の心までが伝わってくるようだ。屋根と屋根の隙間に青緑が意識的に配されている、と技術的な説明もあったが、なるほどと思って観た。しんしんと降り続く雪のさまが、雪の白点でリズミカルに配されているのもいい。手前の家の窓には室内の明りがもれている。

京都は今、描いておかないと、なくなりますよ、と言う川端康成の言葉に動かされ、京洛四季の連作へと導かれたという。こんな言葉もあった。けばけばしい大きな造花の花束より卓上の小瓶の一本の生きた花を部屋に飾る方が、どなたも豊かな気持ちになるのでは。同じように、澄んだ大気、清らかな水、美しい山野をもつことが豊かな国の条件ではないだろうか。変容する日本、とくに今の状況、ぼくらの胸にずしりと重くのしかかる言葉だ。

川合玉堂も子供の頃から祖父に連れられ、故郷のうつくしい自然の中を歩き、この美しさは何にも変えられない、と思った。奥田元宋も子供時代から自然のうつろいに不思議な感情を抱いていた。川も日の光にうつくしく輝くときもあれば、大雨ではげしい濁流になるときもある、こういうのをみて、自然そのものが巨大な生命のように感じていた。 

玉堂の田植え姿を描いた”早乙女”。ほかに、雨にけぶる景色などの自然が”玉堂タッチ”で描かれ、快くぼくらの脳を刺激する。奥田元宋の大作”奥入瀬(春)も数年前訪ねた渓流を思い出させてくれた。横山操の”越後十景”も墨絵風で、良かった。今月末、越後に遊ぶ予定なので参考になった(汗)。

”日本の原風景”ということで、広重や池大雅も観ることができた。加えて、第二展示室では、ぼくの好きな富士山。著名な画家の描く富士山が八つほど並んでいた。伊東深水のもあった。でもぼくは富士山だけは本物には適わないと思う。ただ、北斎だけが本物に肉薄していると思う。

楽しい展覧会だった。次回は”日本画どうぶつえん展”、らしい。これもはずせない(汗)。

・・・・・・

やっぱり掛川に行くことにしました。ついでに旧東海道宿場町シリーズも復活させ、一泊する予定。

 

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