おはようございます。
国立新美術館で開催中の”ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち”展も、もう、そろそろ終わろうとしている。だいぶ前に行っているのだが、まだ記事にしていなかった。取り急ぎ、記録しておこうと思う。
ヴェネツィアのアカデミア美術館所蔵のものということだが、もう、20年も前に、その美術館に寄ったことがある。現役時代で、フィレンツェで集会があり、そのあと年休をとって遊びにきたときだ。その頃は、今ほどは美術に関心はなく、ざっと、見た程度で、今回、来日した作品でも覚えているものはない(汗)。だから、新鮮な気持ちで楽しむことができた(笑)。特別出展のティツィアーノの巨大祭壇画、”受胎告知”は圧巻だったし、ほかの作品も楽しく鑑賞することができた。ちらしにもたくさんの作品の写真が載っているので、それらを転載しながら、ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たちの足跡を辿ってみようと思う。
第1章 ルネサンスの黎明/15世紀の画家たち
フィレンツェよりも少し遅れて1440年頃に始まったヴェネツィアの初期ルネサンス。その中心的な画家が、ジョヴァンニ・ベッリーニ。詩情豊かな聖母子像を多く描いた。本展にもすばらしい聖母子像が。
ジョヴァンニ・ベッリーニ”聖母子(赤い智天使の聖母)” 赤い天使もかわいいこと。

写真はないが、ヴィットーレ・カルパッチョ、七宝のような艶やかな色彩で独創的な宗教画を数多く描いたカルロ・クリヴェッリなどの作品もよかった。
第2章 黄金時代の幕開け/ティツィアーノとその周辺
16世紀の初頭、いよいよ、ティツィアーノ(1485-1576)の登場です。先輩画家ジョヴァンニ・ベッリーニの豊かな色彩表現に、フィレンツェ派の画風も取り入れ、真にヴェネツィア・ルネサンスがここにはじまる。ここでも、3点のティツィアーノ作品が来日している。ジョルジョーネ(展示はないが、ティツィアーノと並ぶヴェネツィア・ルネサンスの旗手)の影響を色濃く示すアンドレア・プレヴィターリの”キリストの降誕”やサヴォルドの”受胎告知”、”横たわる裸婦”の系譜となるパリス・ボルドーネの作品等が並ぶ。
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ”受胎告知” 410×240 cm サン・サルバドール聖堂の祭壇画。

ティツィアーノ ”アルベルティ―ニの聖母”

パリス・ボルドーネ ”眠るヴィーナス”

第3章 三人の巨匠たち/ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノ
ティツィアーノのあとを継いだのは、ミケランジェロのマニエリスムを取り入れ、劇的な明暗表現を特徴の宗教画を描いたティントレット(1518 - 1594)と、華麗な色彩のヴェロネーゼ(1528-1588)。そして、ジョルジョーネの流れを汲んだ、情緒豊かな田園風景のバッサーノ。
ヤコポ・ティントレット ”聖母被昇天” 240x136cm

パオロ・ヴェロネーゼ "レパントの海戦の寓意"

バッサーノ ”天上に顕現する聖母子と聖ヒエロニムス”

第4章 ルネサンスの終焉/巨匠たちの後継者
これら三巨匠が亡くなり、彼らのスタイルを受け継ぐ後継者たち。ティントレットの息子のドメニコ・ティントレット、パルマ・イル・ジョーヴァネが、ヴェネツィアのルネサンス絵画の最後を飾った。さらに世代が変わり、ティツィアーノの画風を模倣し、官能的な神話画をえがいたパドヴァニーノなど。
第5章 ヴェネツィアの肖像画
ルネサンス時代全般にわたる質の高い典型的なヴェネツィア肖像画で、本展のフィナーレとなる。
ベルナルディーノ・リチーニオ”バルツォ帽をかぶった女性の肖像”

ヤコポ・ティントレット ”サン・マルコ財務官ヤコポ・ソランツォの肖像”

素晴らしいアカデミア美術館所蔵のベネチア・ルネサンス展でした。


もう一度、ベネチアに行きたくなった。

(柳沢正人)
それでは、みなさん、今日も一日、ゴンドラの唄でも歌って(?)、お元気で!