まろねふの廊下からの呟き

中年オヂさんの呟き転じて、人生備忘録となる…

M-15A制御装置

2012年06月12日 | ひろでん
電車まつりの後、糸目姐さんから

『マスコンのターヘル・アナトミアをしなかったのは残念…』

と、あとはヨロシク的なコメントを頂き、これを無視すると“あんなコト”や“こんなコト”のお仕置きをされそうなので、昭和30年代の『車両構造』の教本より簡単に解説してみようと思います。


M‐15主幹制御器外観

鏡蓋の刻印

M‐15A形は1053号及び1054号に装備され、4基の主電動機を制御する装置です。断流器は電磁石とカムによる方式を採用し、併せて電磁弁で操作される自動遮断器を直列に接続しています。
接触器はカム軸電動式で逆転器は電磁石とカム軸の組み合わせで行い主電動機の渡りは橋絡式であり、ノッチ段数は直列5段、並列4段の計9段です。

【機器個数】
主幹制御器 ・・2

過負荷継電器 ・1

断流器 ・・・・1

自動遮断器 ・・1

カム接触器 ・・?
 主電動機切替用・3
 主抵抗器短絡用・?

制御円筒 ・・・1

逆転器 ・・・・1

限流継電器 ・・1

制御円筒継電器・1

主電動機(50馬力)・4(2個永久並列)



1.直列1ノッチ

逆転ハンドルを前進にして、制御ハンドルを1ノッチに進めると前進用電磁石コイルに励磁電流を流して『前進』に切替え、断流器電磁石コイルに励磁電流を流すので断流器連動は『入』となる。但し主回路電流はまだ流れない。
断流器連動が『入』となると接地回路を構成し、また短絡継電器の電磁コイルの回路が構成され、制御円筒によって接地される。
このため短絡継電器の励磁コイルに電流が流れ電磁子を吸引するのでカム電動機電機子回路が構成されカム電動機が回転する。
カム軸の回転により断流器、接触器共に接触し主回路に電流が流れ電車が起動する。


制御ハンドルの接触子

2.直列2ノッチ

制御ハンドルを2ノッチに進めると、№2制御円筒継電器が励磁され、制御円筒継電器連動によって短絡継電器電磁コイル回路が構成され励磁電流が流れ、電磁子が吸引されカム電動機電機子に電流が流れカム電動機が回転する。
これ以降は限流継電器によってノッチが進み直列最終段まで進段する。

3.並列3ノッチ

制御ハンドルを3ノッチに進めると、前回路に加え更に回路が構成され№3制御円筒継電器に電流が流れ、前回路と同様な動作を繰り返しカム電動機が回転しノッチを進段し、並列最終段まで進段する。

回路図は割愛し文章を整理しましたが、ちょっと判りにくい内容かと思いますがご容赦ください。

なお、参考までに1051号及び1052号の制御器は電空カム軸式のPR‐100形制御装置を装備しており、断流器、逆転器も電磁空気式だそうです。
また、カム軸電動機式の短絡継電器の代わりに、ノッチ進め器を設けて電磁弁回路の入切を行わせノッチ進段を行います。
主電動機の渡り方式は短絡式で、ノッチ段数は直列5段並列4段です。
主幹制御器の型式は不明ですが、取扱方法と構造図から国鉄の旧型国電と同様の物と推測されます。

1050形はジャンパ連結器は共通のようで、低圧用のものは制御回路、補助回路共に7芯のものを使用しているとの事です。但し、併結の可否については不明です。

つづく