4年前の統一自治体選挙の半年前に、
『市民派議員になるための本 立候補から再選まで』(学陽書房)を書いてから、
地方自治や選挙についての発言を求められることが増えました。
以下のコラムは、4年前の4月15日から3日間、朝日新聞に連載したもの。
辛口でけっこう評判になった(物議もかもした・笑)記事です。
先日(下)を載せたら、全部読みたいとのリクエストがありましたので
あらためて紹介します。
私流せんきょ心得(上) 「無党派」候補増えたが・・・
寺町みどり
4年に一度の選挙の春がやってきました。今回は4年前と様変わりしました。有権者の政党離れに合わせて、一気に無党派候補が増え、何がなんだかよく分かりません。
「無党派」とは、読んで字のごとく「党派性」が「無い」ということ。私の考える無党派候補とは、選挙でも議会でも特定の政党や既存の利益団体とのつながりや利害関係がない人です。でも巷(ちまた)ではもっと拡大解釈して使われています。
選挙のとき、特定の政党の公認を受けない候補者はすべて、新聞に「無所属」とかかれます。四角い囲みは、政党の「推薦」や「支持」を表します。まずこういう人は政党の応援を受けているので無所属であっても、無党派とはいえないでしょう。
無党派もいろいろで大きく分けると四つに分かれます。
(1)「選挙だけ無党派」は、最近まで政党に入っていたけれど、それを隠して立候補する人です。無党派と信じて投票しても、当選後は政党に舞い戻る可能性が高いのです。
(2)「保守系無所属」の人は、確かに政党の公認は受けていませんが、政党や利益団体、地元自治体などとのつながりが深いものです。応援してくれた支持者のために働くことになるでしょう。
(3)自称「無党派」の人もいます。無党派と名乗ればよいのですから、これは簡単になれます。でも政策も議員になってやりたいこともない人は、議員になりたいだけの人でしょう。
(4)本当の「無党派」の人は、当選しても政党や団体に所属せず、フリーハンドで働く議員になる人です。
これらの違いをどうして見分けるのか?
次回は候補氏のメッセージを読み取るコツを種明かししましょう。
寺町みどり
52年、岐阜県大垣市生まれ。91~95年高富町議。
自らの経験元に執筆した『市民派議員になるための本』(学陽書房)が評判になっている。
(2003.4.15 朝日新聞)
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私流せんきょ心得(中) 候補者を見分けるには
候補者の考えは、告示前ならリーフレットで、告示後は選挙公報やポスター、選挙はがきで知ることができます。選挙カーからの連呼や演説でもメッセージを聞き比べてみましょう。
候補者を知るには、まず「政策」。実現可能で具体的かどうかが大切です。政策が無ければリーフレットも作れないし、街頭演説もできません。議会で一般質問もできないでしょう。だから、政策を明らかにしない候補者は論外です。
でも、地縁血縁型選挙をする候補者は政策を必要としません。地元の利益さえ訴えれば、支持を得られるからです。「地域ぐるみ選挙」になると、有権者個人の自由な意思を制限することになり、問題があります。
政党所属の候補者は、党議拘束を受けますから政党の政策などが重要な判断基準になります。2期目以上の候補者なら、選挙で言っていることより、今までやってきたことを知るほうが、より正確に判断できます。
政策と同じくらい大切なのがスタンス。4年間何を足場にするのかということです。市民の視点で、市民のために働く人であるかがポイントです。利益誘導や口利きを優先する候補者は、「投票してくれた人のために働きます」というメッセージを発しています。
また、演説もしないで「○○です」と名前だけを連呼している選挙カーや、それに候補者が乗っていない場合は、有権者にメッセージを伝える努力を放棄しているのではないでしょうか。「無党派」「市民派」をかたるだけの人も許せません。
候補者に、最低限必要な資質は、正直で誠実であることです。あなた自身の受信能力で見極めましょう。 (寺町みどり)
(2003.4.16 朝日新聞)
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私流せんきょ心得(下) 希望のまち描く第一歩
議員や首長は「特別職の公務員」。市民のために働き、「住民の福祉を増進させる」ことは当然の責務です。今までこの責務が果たされなかったからこそ、有権者の政治不信を招いたのです。
選挙は、有権者と候補者の「契約の場」。候補者は選挙で当選したら、市議なら年750~1500万円、町議なら約500万円の報酬を4年間、税金から受け取ります。だから、議員はあなた自身の意思で慎重に選びましょう。
たとえば高価な買い物をしたとき、誇大広告や虚偽表示の商品なら交換や中途解約ができますが、議員や首長は、いねむりばかりしている人でも「返品」はできません。
まちの条例や政策、税金の使い方を決める議員は、有権者の一票一票の積み重ねで選ばれます。その一票は、有権者自身のもの。組織や自治会が割り当てをしたり、支援を強要することは「選挙の自由」を妨害することになります。
まちの未来は、白地のキャンバスです。多くの人が希望の絵を描きたいと思って一票を投じれば、まちは人々の望む姿に変わります。でも多くの人が変える希望をおきらめれば、まちは正直に腐敗していくでしょう。
「自治」とは「みずから自由意思で自由に行為を行うこと」。「自治体」とは、ものごとを決めるシステムのある地域社会のこと、そこで日々くらす人々の集団です。
「みずから」とは、あなたのことであり、わたしのことです。「役所は自治体の事務所」にすぎません。あなたのまちを、あなたが望む姿に変えることができるのは、そこに住むあなた自身です。
「わたしのまちのことはわたしが決める」。投票はその第一歩です。
(寺町みどり)
(2003.4.17 朝日新聞)
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わが家の源平花桃、最初は白なんだけど、不思議なことに
開くにつれて、木の全体の桃色が濃くなります。
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おまけに。白花スイセンの変わり咲き3種。
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