長崎市長襲撃事件には、やりきれない思いで、
家に帰っても、けっこう落ち込んでいた。
気を取り直して庭の草むしりなどやっていたのだけど、
けっきょく、ブログにも手がつかず・・・・
たまったメールのお返事を書いて、とりあえず、
関連の中日新聞と朝日新聞の社説を紹介したい。
長崎市長襲撃 テロに毅然たる姿勢で
【社説】中日新聞 2007年4月19日
◆ 平和憲法の改定、戦後体制からの脱却が論じられるなか、非戦と核廃絶の象徴である長崎市長が殺害されたのは衝撃的だ。国民一人ひとりが卑劣な犯行を憎み、テロにひるまない社会を築きたい。
多くの日本人は、米バージニア州の大学での銃乱射事件を、銃器があふれる米国で起きた特異事件と受け止めていたのではないか。だが、長崎市の伊藤一長市長が暴力団幹部に銃撃されて死亡した事件は、日本社会も病んでいることを示した。
長崎市では一九九〇年、天皇の戦争責任に言及した当時の本島等市長が、右翼団体幹部に銃撃され重傷を負っており、市長襲撃は二度目だ。暴力団組員や過激な右翼活動家が当たり前のように短銃を持ち、人前で政治家を襲撃できる現状では、米国の事件を人ごととは思えない。
戦前、戦中、暴力で政治、行政がねじ曲げられたさまざまな経験を持ちながら、私たちはいまだにテロを根絶できないでいる。政治家の襲撃が後を絶たず、昨年八月には、加藤紘一・元自民党幹事長の実家が右翼団体幹部の放火で全焼した。
伊藤市長を襲撃した男の供述によれば、自動車事故の処理、公共事業受注をめぐる不満が動機のようだ。政治的、思想的テロには当たらないとしても、自分と意見の異なる者、気に入らない相手を圧殺しようとする無法行為の本質は変わらない。
これで暴力にひるむような雰囲気が社会に広がると、襲撃者の思うつぼであり、民主主義が崩壊するおそれがある。政治家はもちろん国民もテロには毅然(きぜん)たる姿勢で立ち向かわなければならない。
安倍晋三首相や各党幹部らが憂慮や怒りを表明したのは重大な結果に照らし当然だが、それらすべてが心底からの怒りだったろうか。真相究明だけを期待した、事件発生直後の首相コメントには、民主主義に対する危機意識を感じ取れなかった。
加藤元幹事長宅の放火の際は、政府や自民党内部からテロに対する厳しい非難の声が上がらなかった。そうした姿勢が新たなテロが生まれる背景になっていないだろうか。
たけなわの統一地方選、それに続く参院選では、事件への候補者の反応も有権者の判断要素になり得ることに留意したい。
それにしても、銃器を持つ男が野放しにされ、繁華街でやすやすと殺害行為が実行できたのだから、社会の安全を守るべき警察が役割を果たせなかったことは明らかだ。
全国の警察は深く反省し、銃器の取り締まりや、警備情報の収集、体制強化を急ぐべきだ。
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長崎市長殺害―テロへの怒り共有しよう
【社説】朝日新聞 2007年4月19日
暴力団の凶弾に倒れた伊藤一長・長崎市長が、帰らぬ人となった。
何とか一命をとりとめてもらいたいと願っていたが、かなわなかった。心から哀悼の意を表したい。
今回の事件が意味するものは何なのか。あらためて考えておきたい。
逮捕された山口組系暴力団幹部の男は、動機について市発注工事の現場での交通事故の補償をめぐる恨みなどを供述しているという。いまのところ、政治的、思想的な背景をうかがわせるものは出ていないようだ。
しかし、容疑者の挙げる動機がなんであれ、この凶行が民主主義に対するテロであることに変わりはない。
首長や議員は国民に選ばれ、その代表として行動する。そうした政治家が暴力にさらされ、自由に活動できないようでは、民主社会は成り立たない。
まして、今回は有権者に選択を問う選挙の真っ最中だった。核廃絶運動の強化などを公約した伊藤氏から政治活動の機会を奪い、伊藤氏を支持する有権者から選択肢を奪った。
民主主義の根幹である選挙を暴力で破壊する。その罪は、いくら批判しても批判しきれない。
伊藤氏は1995年、右翼に銃撃された本島等市長の5選を阻んで、初当選した。この保守政治家を反核の「平和市長」に育てたのは、被爆者や市民、市幹部らだった。伊藤氏を狙った凶弾は、結果として、そうした人々にも向けられたものであることを忘れてはならない。
政治家や経済人、言論人を狙ったテロは戦前から枚挙にいとまがない。
戦後も、浅沼稲次郎・社会党委員長が刺殺され、中央公論社の社長宅が襲われ、お手伝いさんらが死傷した。右翼だけでなく、左翼の過激派によるテロもあった。
朝日新聞社も阪神支局が襲われ、記者が殺された。靖国神社へのA級戦犯合祀(ごうし)をめぐる昭和天皇発言を報じた日経新聞本社に火炎瓶が投げつけられた事件では、右翼活動家の男性が逮捕された。
テロがなくならないからといって、絶望したり、ひるんだりしてはいけない。それは暴力で相手を黙らせ、社会に恐怖心を植えつけて、自らの主張を通そうとする勢力の思うつぼだからだ。
実家と事務所に放火された加藤紘一・元自民党幹事長は、今回の事件を聞いて「暴力で発言や行動をとめることがあってはならないという怒りをもっと強く共有しないと、こういう事件は続発する」と述べた。その通りだと思う。
その意味で、安倍首相の事件発生直後のコメントには首をかしげざるを得ない。「真相が究明されることを望む」というひとごとのような言葉からは、怒りが感じられなかったからだ。
政治家や経済人、言論人が先頭に立って、テロへの怒りを持ち、テロを追いつめる。それが今こそ求められている。
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テロと暴力とは関係なく、野の花はかれんに咲いている。
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カキドオシ
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ムラサキケマンソウ
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レンゲとタンポポ
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種がこぼれたその場所で、争うことなく咲くやさしい花たち。
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最後まで読んでくださってありがとう
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「一期一会」に
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