うれしくて写真を撮って、今日のブログに載せようと思っていたけど・・・・
朝刊を開いたら、毎日新聞に衝撃的な記事。
東京・国分寺市議が集合住宅に「議会報告ビラ」を投函したら、
マンション住民とトラブルになり、書類送検されたというのだ。
ビラ配布問題では、市民グループが「イラク派遣反対のビラ」を自衛隊官舎に配って、
今年4月に最高裁で有罪が確定している。
市民運動の活動が制限されると危機感を感じていたが、
まさか議員の政治運動(広報活動)まで制限されるとは。
この事件は、後に不起訴処分となったようだけど、
市民派議員に「議会報告」を作って配ることをすすめているわたしとしては、
どんな経緯だったのか、にとても関心があるので、記事を紹介したい。
東京・国分寺市議の住居侵入:議会報告ビラ投函で書類送検に波紋 毎日新聞 2008年7月21日 ◇住居侵入か、表現の自由か 東京都国分寺市で5月、市議が議会報告ビラをマンション敷地内の1階の集合ポストに投函し、住居侵入に問われ書類送検(後に不起訴処分)された。市議は、オートロックの扉の内側には立ち入らなかった。政治活動の一つであるビラ配布。過剰反応だとして疑問を呈する住民もおり、「表現の自由」の観点からも波紋を投げかけた。【内橋寿明】 5月18日午後5時ごろ、JR国分寺駅近くにあるマンション入り口のオートロック扉の外側でトラブルは起きた。集合ポストにビラを投函中の幸野統(こうのおさむ)国分寺市議(共産)は帰宅した住人と鉢合わせした。 「何やってるんだ」「党の市議会報告を配っています」「ビラ配布禁止、関係者以外立ち入り禁止と張り紙があるだろう」「市議会議員として市民にお知らせする義務があります」「必要ないと住民が明記しているのだから配る権利はない」 幸野市議や、後に警察へ被害届を出したマンション管理組合副理事長を務める新海栄一国分寺市議(自民)、この住人らの証言によると、やり取りは長時間続いた。インターホンの上には、「チラシ、一切、禁止。悪質なチラシ配布は警察に通報する」との「警告」が掲げられている。 3年前に管理組合で決議したもので、住人は決議を根拠に「議会の動きを知りたいと思えば、インターネットで議事録を確認できる。ビラを受け取りたくない自由も認められるべきだ」と主張する。 ビラは共産党市議団の3月議会報告。幸野市議は昨夏の参院選前、ビラ配布で数回出入りしたが、抗議はなかったという。 住人はこのマンションに暮らす大家の新海市議を呼び出した。幸野市議は二人に「二度と配らない」と約束。新海市議は「丸く収まった」と思って外出した。だが、住人の怒りは収まらず、午後6時ごろ、幸野市議と駅前の交番へ行った。幸野市議は警視庁小金井署で事情聴取され、写真も撮られた。 集合ポストがある場所は共有スペース。「住居侵入事件とするには管理組合としての被害届が必要」と説明された住人は新海市議に提出を求めた。 新海市議は「住人の強い希望は管理責任者として無視できない」と思った。同調する住民も数人おり、4日後に被害届を提出。小金井署は6月9日に住居侵入容疑で東京地検八王子支部に書類送検した。一方で新海市議は7月3日、「騒ぎを大きくしたくない」と被害届を取り下げ、地検支部も17日、不起訴処分とした。 一方、住人の中には管理組合の「過剰反応」に批判的な意見もある。男性住民は「郵便物が大量のビラに紛れるのは迷惑」としながらも、「ピンクチラシでもないのに配っただけで犯罪とされるのは怖い」と話す。 幸野市議の送検後、弁護士らでつくる自由法曹団東京支部(文京区)は国分寺市議会に不起訴を求めるよう文書で要請し、「今回のビラ配布が犯罪なら、議員活動に大変な障害となる。党派にかかわらず議員全体の問題だ」と訴えた。 3万部の国会報告を選挙区内で定期的に配布する民主党の河村たかし衆院議員は「オートロックの外側の集合ポストで配っただけなら、違法性はないと言える。市民への報告は議会での発言と並ぶ重要な議員活動だ。議員の考えを広く伝えるのはまさに表現の自由に当たる」と指摘する。 表現の自由に詳しい奥平康弘東京大名誉教授(憲法学)は「立川でのビラ配布を巡る有罪判決の影響を懸念していたさなかに国分寺の件が起こった。表現の自由として最も保護されるべきものの一つは、今回のような政治的な文書の配布。住居侵入罪で取り締まるべき害悪は何かを考え直すべきだ」と批判する。 ◇司法判断なく--集合ポストにビラ ビラ配布を巡っては、東京都立川市の防衛庁(当時)官舎で04年1月に自衛隊イラク派遣反対のビラを各戸の玄関ドア新聞受けに投函した市民団体メンバー3人が後に住居侵入罪で逮捕・起訴された。 1審の東京地裁八王子支部は無罪を言い渡したが、東京高裁では有罪。今年4月に最高裁で有罪が確定した。 最高裁判決は「表現の自由も無制限ではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を受ける」と指摘したうえで、「管理者の意思に反して官舎に立ち入るのは、住民の私生活の平穏を害する」と結論づけた。ただし今回の国分寺市のマンションのように、オートロック扉の外にある共有スペースの集合ポストにビラを投函した場合の司法判断は示されていない。 ◇まさか犯罪扱いとは--書類送検された、幸野統市議 新聞やテレビは通常、市議会の詳細な議論まで報道しないから、ビラは議論の経過を簡単に伝えられる手段の一つだ。住民税を払っている市民にとって、市議会は身近な国会に当たる。ビラは議題や各議員の主張を知るために必要不可欠な情報ではないか。 管理組合が一律にビラ配布を禁止し、それが犯罪になるのなら、議員としての表現活動だけでなく、市民の知る権利も大きく制限されてしまう。しかも今回の配布場所はオートロックの外側の誰でも立ち入れる集合ポストだった。「関係者以外立ち入り禁止」という張り紙は目に入っていた。しかし、市民に市議会での活動を報告する立場にあり、自分自身は「関係者」だと考えている。 もちろん、住人にはビラを受け取らない自由、読まない自由もある。だから住人に強くやめろと言われたら、「はいやめます」と答え、そこで終わる話だ。警察に行った時も事情を説明しているという認識で、まさか犯罪として扱われるとは思ってもみなかった。 ◇自由にも限度がある--被害届を出した、新海栄一市議 表現の自由にも限度がある。幸野市議は「立ち入り禁止」の張り紙を認識しており、住居侵入に当たるだろう。被害届を出すことで、自身や同僚議員の活動を制限すると思ったが、住人の強い希望を受け、管理責任者としてやむなく提出した。 同じ議員の立場からすると、立ち入り禁止とあっても、気にはしながら配ってしまうのは分かる。このマンションにも自民党の都議や国会議員のチラシは入っている。だが、捕まったらその人の責任だ。立ち入り禁止は住人の総意で決めたことで、市民が嫌がることを議員がするわけにはいかない。幸野市議は配るのは当然の権利だという姿勢を改めてほしい。 さらに今回のビラの内容も議会報告というより、党の意見が多いような気がする。それでは住民の理解を得られないのではないか。今後、私の活動報告のビラ配りに対する市民の目は厳しくなるだろう。これまでもトラブルを考え集合住宅には配っていないが、その決まりを徹底する。 ============== ◆ビラ配りを巡る最近の主な事件◆ 04年 2月 東京都立川市の防衛庁官舎で自衛隊イラク派遣反対のビラを配った 男女3人を住居侵入容疑で逮捕 3月 東京都中央区のマンションなどに共産党機関紙「しんぶん赤旗号外」を 配布した社会保険庁職員を国家公務員法(政治的行為の制限)違反容疑で逮捕 12月 立川市の事件で東京地裁八王子支部が無罪判決▽東京都葛飾区の マンションで共産党のビラを配った僧侶を住居侵入容疑で逮捕 05年 3月 都立高2校で日の丸・君が代強制反対のビラを配った男性計3人を 建造物侵入容疑で逮捕 9月 東京都世田谷区の警視庁職員官舎で「しんぶん赤旗号外」を配った 厚生労働省課長補佐を住居侵入容疑で逮捕(後に起訴猶予。 追送検の国家公務員法違反罪で在宅起訴) 10月 沖縄・米軍嘉手納基地前で憲法9条に関するビラを配った僧侶を 警察官への公務執行妨害容疑で逮捕(後に起訴猶予) 12月 立川市の事件で東京高裁が逆転有罪判決。 「ビラによる政治的意見の表明が保障されるとしても、管理者の 意思に反して立ち入ってよいということにはならない」と指摘 06年 6月 東京地裁が社保庁職員に有罪判決(控訴) 8月 葛飾区の事件で東京地裁が無罪判決 07年12月 東京高裁が葛飾区の事件で逆転の有罪判決。 「住民は住居の平穏を守るため部外者の立ち入りを禁止できる」と指摘 08年 4月 立川市の事件で最高裁第2小法廷が男女3人の上告棄却。 「表現の自由は公共の福祉のために制限を受ける」と述べた (毎日新聞 2008年7月21日 東京朝刊) |
東京・国分寺市議の住居侵入:不起訴処分に 東京都国分寺市の幸野統(こうのおさむ)市議が、所属する共産党市議団の「市議会報告」を集合ポストに投函(とうかん)するため、マンションに立ち入ったとして住居侵入容疑で書類送検された問題で、東京地検八王子支部は17日、不起訴処分とした。マンション管理組合が「地元で事を荒立てたくない」と、警視庁小金井署に提出した被害届を取り下げていた。幸野市議は「ビラの配布は憲法が保障する表現の自由の一環であり、当然の結論だ」と話した。【佐藤浩】 (毎日新聞 2008年7月17日 東京夕刊) -------------------------------------------------------------------- 東京・国分寺市議の住居侵入:マンション管理組合、被害届取り下げ ◇市議会報告投函 東京都国分寺市の幸野統(おさむ)市議が、所属する共産党市議団の「市議会報告」を集合ポストに投函(とうかん)するために市内のマンションに立ち入ったとして、住居侵入容疑で書類送検された問題で、被害届を出していたマンションの管理組合が「地元でことを荒立てたくない」として、被害届の取り下げを警視庁小金井署に求めた。同署は4日、東京地検八王子支部にこの意向を伝えた。 管理組合役員は「本人は反省しておらず、取り下げたくないが、幸野市議は地元の町会長を兼任しており、地域に与える影響が大きい」とした。「集合ポストでも、チラシやビラは生活に必要のないものとして総会で決まったため、これらを配布する人はすべて被害届の対象」とも話した。【内橋寿明】 (毎日新聞 2008年7月5日 東京朝刊) |
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一面の左上にあった社告と、両面見開きの検証記事。
わが家では新聞を5紙(4紙は夕刊も)とっているが、
読み比べても、毎日新聞は良い記事が多いし、
webで記事を検索しても早く多くの記事をアップしているので、
ITの情報発信を積極的にすすめていると思っていたので、ショックだ。
英文サイト出直します 経緯を報告 2008年7月20日 毎日新聞社は英文サイト「毎日デイリーニューズ」上のコラム「WaiWai」に、極めて不適切な記事を掲載し続けていました。内部調査の結果を22、23面で報告します。日本についての誤った情報、品性を欠く性的な話題など国内外に発信すべきではない記事が長期にわたり、ほとんどチェックなしで掲載されていました。多くの方々にご迷惑をおかけしたこと、毎日新聞への信頼を裏切ったことを深くおわびいたします。監督責任を問い、総合メディア事業局長だった渡辺良行常務らを20日付で追加処分しました。 皆様からいただいた多くのご批判、ご意見や内部調査で分かった問題点、有識者による「開かれた新聞」委員会の指摘を踏まえて再発防止のために次の措置を講じることにしました。 8月1日付で「毎日デイリーニューズ」を新体制に組み替え、新編集長の下で9月1日からニュース中心のサイトに刷新します。新たに社説や「時代の風」など著名人による評論を翻訳して掲載し、海外の日本理解を深めるべく努めます。同時に西川恵専門編集委員を中心にベテラン国際記者らによるアドバイザリーグループを新設し、企画や記事の内容をチェックする体制をとります。 今回の問題で失われた信頼を取り戻し、日本の情報を的確に海外に発信する英文サイトを再建するため、全力を尽くす決意です。 毎日新聞社 ------------------------------------------------------------------------ 再発防止へ体制強化 深刻な失態 教訓にします 毎日新聞社が英文サイト「毎日デイリーニューズ」(MDN)上のコラム「WaiWai」に不適切な記事を掲載し続けたことは報道機関として許されないことでした。日本についての誤った情報、品性を欠く性的な話題など、国内外に発信するにはふさわしくない内容でした。多くの方々に不快感を与え、名誉を傷つけ、大変なご迷惑をおかけしたこと、同時に毎日新聞への信頼を裏切ったことについて、深くおわびいたします。まことに申しわけありませんでした。 内部調査の結果、問題のコラムは掲載の際にほとんどチェックを受けず、社内でも問題の大きさに気づかずにいたことがわかりました。何度もあった外部からの警告も放置していました。いずれも深刻な失態であり、痛恨の極みです。これに関連して関係者を内規に従い、厳正に処分しました。 毎日新聞社は紙面の品質を維持するため社内に紙面審査部門を置き、有識者による第三者機関「開かれた新聞」委員会を設置して紙面の質向上に努めてきました。しかし、英文サイトで起きた今回の問題には目が届きませんでした。品質管理の仕組みが不十分でした。海外にニュースを発信する英文サイトの役割について十分な位置付けができていませんでした。 今回、内部調査の結果や皆様からのご意見も踏まえて再発防止のための措置を決めました。 MDNを刷新するのは、海外に向け正しい日本理解の素材を発信するサイトとして立て直すためです。また、今回のような配慮のないコラムが掲載され続けたのは、チェック体制の欠陥に加え、女性の視点がなかったことも一因という反省から、新たな編集長には女性を置くことにしました。アドバイザリーグループの新設も記事内容に対する適切な助言を得るためです。 「WaiWai」は既に閉鎖しておりますが、過去の記事を転載しているサイトなどが判明すれば、事情を説明し、訂正や削除の要請を続けていきたいと思います。 今回、初めて英文サイトについての見解を求めた「開かれた新聞」委員会の委員の方々には貴重なご意見をいただきました。今後も、英文も含めたウェブサイトについて目配りしていただきます。同時に社外からのご意見に対処する仕組みも強化します。 今回、毎日新聞社は、英文サイトをジャーナリズムとしてきちんと位置づけていたのかという姿勢が問われました。この問題で失われた信頼を取り戻すため、全力を尽くす決意です。 毎日新聞社 |
この問題は5月からネット上で騒がれていたので関心を持っていて、
問題の英文コラムを何度も批判記事により目にしていた。
事実としたら不愉快な記事、と思っていたが、対応が遅すぎる感がある。
字数が上限に近づいているので、
詳細は、毎日のwebか、連れ合いのブログを読むのがはやい。
◆「英文サイト出直します・経緯を報告」
/今朝の毎日新聞一面(7.20てらまち・ねっと)
批判のサイトはゴマンとあるので、あえて書かない。
長年、毎日新聞を愛読している一読者として、言いたい。
ジャーナリストの初心に帰って、出直してほしい、
と切にねがう!
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