東京地裁の判決は、障害児の性教育に介入した都議たちの行為を
「不当な支配」と認定したうえで、
都教育委員会に不当な支配から教員を保護する義務があるとの判断を示し、
3都議と都に慰謝料計210万円の支払いを命じた。
裁判所が、教育現場への政治家の不当介入を認定したことは画期的。
バックラッシュ派の議員による公立図書館の図書排除問題でも、
蔵書に対する介入や圧力は、「図書館の自由」を侵害する「不当な支配」。
バックラッシュ派の議員たちは、教育現場への介入が
「不当な支配」にあたることを認識して、反省して欲しいものだ。
都議に同調して教員を迫害した都教委の責任も重い。
バックラッシュで萎縮している教育現場は、議員の介入や圧力に屈せず、
法にしたがった毅然とした対応をしてほしい。
以下、関連の記事を紹介します。
![]() 朝日新聞 2009年3月13日 東京都内の養護学校の元教諭らが都議3人と都などに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(矢尾渉裁判長)は12日、慰謝料計210万円の支払いを3都議と都に命じる判決を言い渡した。03年に学校を視察した都議らが性教育を実践していた教諭を非難したことが教育への「不当な支配」にあたると指摘。都教委が教諭らを厳重注意したことも裁量権の乱用と判断した。 「不当な支配」は教育基本法で禁じられており、教育現場への介入をめぐって不当な支配があったと認める司法判断は極めて異例。 訴えていたのは、日野市にある都立七生(ななお)養護学校=現七生特別支援学校=に視察当時勤務し、03年9月以降に都教委から「厳重注意」を受けた教諭や保護者ら31人。田代博嗣、土屋敬之、古賀俊昭の3都議と都などに計約3千万円の慰謝料などを求めていた。 判決は、都議らが同校を視察した際の発言について「一方的な批判で侮辱」と認定。「単なる議論の範囲だ」とする都議側の主張を退けた。 そのうえで「学校の性教育に介入、干渉するもので、教育の自主性を阻害してゆがめる危険のある行為だ」として「不当な支配」にあたると判断。同行した都教委職員が都議を制止しなかったことも「不当な支配」から教育を保護するよう定めた改正前の教育基本法の教育条件整備義務に反して違法だと述べた。 同校では、知的障害がある子どもは体の部位の認識が難しいために人形などを使った性教育をしてきたが、都教委側は「学習指導要領に反する」として教諭らを厳重注意とした。判決は「同要領に反し、同校の児童生徒の発達段階を踏まえないものであることが明らかだったとはいえない」として「著しく妥当性を欠き、裁量権の乱用だ」と結論づけた。(向井宏樹) ◇ ■不当な支配 旧教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定めていた。教育現場の自主性を保ち、権力の介入を防ぐための規定とされたが、行政側の行為がどこまで許されるのかは教科書検定訴訟や卒業式での日の丸掲揚・君が代斉唱をめぐる訴訟などで繰り返し争われてきた。06年の同法改正では「不当な支配に服することなく」の表現は残ったものの、直後に続く文言は「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と改められた。行政側の権限が旧法より強められたとみる識者は多いが、判例はまだ確立されていない。 (朝日新聞 2009年3月13日) |
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【社会】都議介入『不当な支配』 性教育授業 七生養護学校訴訟 地裁が賠償命令 東京新聞 2009年3月13日 東京都立七生(ななお)養護学校(日野市、現・七生特別支援学校)の元教師ら三十一人が、性教育の授業や教材を視察した都議から批判を受け、精神的苦痛を受けたなどとして、都議三人と都などに計約二千九百万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は十二日、都議の行為を「教育の不当な支配」と認定、都議三人と都に計二百十万円の支払いを命じた。 原告側の代理人弁護士によると、政治家が教育現場に介入し、「不当な支配」と認定した判決は、極めて異例だという。 訴えられた都議は土屋敬之(民主)、田代博嗣、古賀俊昭(ともに自民)の三氏。 同校は一九九〇年代後半に生徒の性的な問題行動が発覚したことから、性器のついた人形などの教材を使い、全校を挙げて性教育に取り組んでいた。 判決で、矢尾渉裁判長は「都議は政治的な主義、信条に基づいて性教育に介入した。教育の自主性を阻害し、ゆがめる危険行為で、旧教育基本法上の『不当な支配』にあたる」と、原告側の主張を全面的に認めた。 同行した都教育委員会職員についても「教員を保護する義務があったのに、都議が非難をするのに任せたのは違法」と指摘した。都教委は二〇〇三年九月、学習指導要領を踏まえない不適切な性教育をしたとして七生養護学校の教員十八人を厳重注意した。判決は「都教委は、教員に性教育の助言や指導をしないまま注意した。都教委の行為は裁量権の乱用」と認定した。 都議の視察をめぐり産経新聞が同年七月五日付の紙面で「過激性教育」などと報じ、名誉を傷つけられたとして原告が訴えた訴訟は請求を棄却した。 判決によると、都議らは〇三年七月、同校の性教育を視察した際に、教員に「こういう教材を使うのは、おかしいとは思わないのか」などと教員の人格を否定するような発言をした。 ◆「違法性はない」3都議 古賀俊昭、田代博嗣、土屋敬之の三都議は連名で「なんら違法性はないものと、確信している。私たちの視察と指摘によって、東京都の過激性教育が大きく改善された意義は大きい」とのコメントを出した。東京都の大原正行教育長は「原告の一部の主張が認められたのは、大変遺憾なこと。判決内容を確認して、対応を検討していく」とした。 (東京新聞 2009年3月13日) ---------------------------------------------------------------------- 『都教委は教員守れ』 性教育訴訟判決 地裁、見て見ぬふりに警鐘 中日新聞 2009年3月13日 東京都立七生養護学校の性教育をめぐる十二日の東京地裁判決は、障害児の性教育に介入した都議たちの行為を「不当な支配」と認定する一方で、都教育委員会に不当な支配から教員を保護する義務があるとの判断を示した。 (荒井六貴) 問題の発端は、土屋敬之都議が二〇〇三年七月、都議会で「世間の常識と懸け離れた性教育だ」として毅然(きぜん)とした対処を都教委に求めたことだ。 石原慎太郎知事も「異常な信念を持って、異常な指示をする先生というのは、どこかで大きな勘違いをしているんじゃないか」と応じた。視察はこのやりとりの二日後だった。 同校の教育方法は当時、教育界で高く評価する意見もあったという。判決は「性教育は歴史が浅く、教育内容の適否を短期間のうちに判定するのは容易ではない」と指摘した。 「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」(旧教育基本法一〇条)。本来、障害児の性教育の難しさを説明すべきだった都教委は、石原知事や都議の意をくんだのか、見て見ぬふりをし、同校を含めた養護学校の教員百人超を厳重注意とした。 「都教委の処分は社会通念上、著しく妥当性を欠く」と警鐘を鳴らした判決の意味を都教委は正面から受け止めるべきだ。 ◆原告側『現場理解し指導を』 「一方的な都教育委員会のやり方で当時、教育の現場が壊れていくのを実感していた。今日の判決は本当にうれしい」。東京都立七生養護学校の性教育をめぐり、現場の教員を非難した都議の行為を「教育の不当な支配」と認定した十二日の東京地裁判決を受け、原告団長の同校元教諭日暮かをるさん(60)は感慨深げに語った。 会見で日暮さんは「教育委員会の指導・助言は現場の状況を理解した上で行われるべきだ」と訴えた。しかし、当時そんなやりとりは一切なく、試行錯誤の中で生まれた教材を持ち去られたという。日暮さんは「質問の機会もなかった」と都教委の対応を批判した。 同校の教員だった内山裕子さん(45)は「私たちの立場に立ってくれる人はなく、都議の言いなりだった」と振り返る。同校での性教育が問題視された後、特別支援学校に対する都教委の調査で大量の処分者が出たため、性教育ができない状態が続いているという。 同校からの教材の没収は二百点を超えた。内山さんは「教材を取り返して、いろんな形で性教育を広げていければ」と、判決が及ぼす影響に期待を寄せた。 (東京新聞 2009年3月13日) |
七生養護:都議らの介入は不当 独自の性教育巡り賠償命令 毎日新聞 2009年3月13日 障害がある児童・生徒向けの性教育を巡って厳重注意を受けた東京都立七生(ななお)養護学校(日野市、現七生特別支援学校)の元教員ら31人が、教育への不当な介入だとして、都や都議3人らに約3000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(矢尾渉裁判長)は12日、210万円の支払いを命じた。 判決によると、同校は性器の名称など体の部位を歌詞にした「からだうた」を歌うなど独自の性教育を実践していた。都議らは03年7月に学校を視察し「感覚がまひしている」と批判、都教委は「不適切な性教育」として教員を厳重注意した。 矢尾裁判長は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と指摘。さらに「教育内容の適否を短期間で判定するのは容易ではなく、いったん制裁的な取り扱いがされれば教員を萎縮(いしゅく)させて性教育の発展が阻害されかねない」と述べ、都教委が事前の指導や研修などをしないまま教員を厳重注意したのは裁量権の乱用に当たると判断した。 訴えられた都議は田代博嗣、古賀俊昭、土屋敬之の3氏。「過激性教育」と報じた産経新聞社に対する請求は棄却された。【銭場裕司】 3都議の話 私たちの調査は違法性がないと確信している。視察で都の過激性教育が改善された意義は大きい。 大原正行・都教育長の話 主張が認められず大変遺憾。内容を確認して対応を検討したい。 ◇試行錯誤の教材非難は現場無視 「教育が壊れていくと感じていたので、今日の判決はとてもうれしい」。原告団長の日暮かをる教諭(60)らは判決後、東京都内で会見し判決を評価。「血のにじむような試行錯誤で教育を発展させてきたのに突然『異常な教育』と言われた」と振り返り、都の対応を改めるよう訴えた。 学校を挙げて性教育に取り組んだのは、児童・生徒の性的な問題行動が発覚した97年から。性器がついた人形を使った授業が非難されたが、「障害がある子供は具体的にイメージできる教材でなければ理解できない。現場をあまりに無視している」と訴えてきた。 判決は都議らの教育への不当な介入を認定したものの、教材は没収されたままで、従来の教育はできなくなっているという。【銭場裕司】 (毎日新聞 2009年3月13日) |
性教育批判は「不当介入」 東京地裁、都議らに賠償命令 2009/03/12 【共同通信】 東京都日野市の都立七生養護学校(現・七生特別支援学校)で実施されていた性教育をめぐり、「視察した都議らが教員を威圧的に批判し、教育内容に不当に介入した」などとして、教員ら計31人が約3000万円の慰謝料などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日、教員12人に計210万円を賠償するよう都と都議3人に命じた。 矢尾渉裁判長は、不適切な性教育が行われたとして都教育委員会が教員を厳重注意処分にしたことは「社会通念上、著しく妥当性を欠く」と判断。教員12人のうち10人に1人当たり20万円の慰謝料を認めた。 都議が学校を視察した際、教育内容を一方的に批判した点について「侮辱により教員の名誉を侵害した。都議の行為は教育の不当支配に当たり、都教委は教員を保護する義務を怠った」として、別の教員2人に1人当たり5万円の支払いを命じた。 2009/03/12 【共同通信】 |
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「一期一会」に
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