みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

七生養護学校「こころとからだの学習」裁判/勝訴判決のつづき

2009-03-14 14:40:06 | ジェンダー/上野千鶴子
昨夜、名古屋市内で「ウイメンズ・アクション・ネットワーク」の
説明会があったので参加し、上野さんを見送ったあと、
友人とJR名古屋高島屋の11Fの鼎泰豊(ディンタイフォン)で小籠包を食べ、
駅前のホテルに泊まりました。

 

ダイワロイネットホテル名古屋駅前の禁煙スタンダードシングルを予約してたのですが、
同じ金額で「レディスルーム」にランクアップしてもらえました。
広くてきれいで、とても素敵なお部屋で大満足(部屋を撮るのを忘れた)。



帰宅してたまった二日分の新聞を読んでいたら、
朝日新聞の社説に、七生養護学校の性教育判決の社説が載っていました。


【社説】性教育判決―創意つぶす「不当な支配」 
教育は、不当な支配に服してはならない。

朝日新聞 2009.3.14

 教育基本法にこう、うたわれているのは「忠君愛国」でゆがめられた戦前の教育への反省からだ。その意味を改めてかみしめる司法判断が示された。
 東京都内の養護学校で、性教育を視察した都議3人が教員を非難した。教員らが起こした訴訟で東京地裁は、その内容が「不当な支配」にあたると認め、都とともに賠償を命じた。
 3都議は03年、都教育委員会職員らとともに学校を訪れた。性器がついた人形などの教材を見て、性教育の方法が不適切だと決めつけた。女性教員2人に高圧的な態度で「こういう教材を使うのはおかしいと思いませんか」「感覚が麻痺(まひ)している」と難じた。
 これは穏当な視察ではない。都議らは「政治的な主義、信条」にもとづいて学校教育に介入、干渉しようとした。教育の自主性を害する危険な行為で「不当な支配」にあたる。判決の言うところは、そういうことだ。
 きわめて妥当な判断である。教育に対する政治の介入への大きな警鐘といえる。都議らだけでなく、すべての政治家が教訓とすべきだ。
 傍観していた都教委の職員らについては、判決は「不当な支配」から教師を守る義務に反した、と指摘した。都教委が「学習指導要領に反する」として教諭らを厳重注意としたことも、「裁量権の乱用だ」と批判した。
 外部の不当な介入から教育の現場を守るべき教育委員会が、逆に介入の共犯だと指摘されたに等しい。
 知的障害をもつ子どもたちが、性犯罪の被害者にも加害者にもならないためにどうしたらいいか。現場の教員らは日々悩みながら工夫を重ねていた。やり玉にあげられた人形は、自分のからだの部位を把握することも難しい子どもたちに、わかりやすいようにと考えた末の結果だ。
 都教委自体、問題視される前はこの学校の教員を講師に招く研修会を共催していたほどだ。議会で追及された途端に手のひらを返すとはあきれる。
 都教委からの厳重注意の後、性教育への取り組みが各地で低調になるなど、現場への影響も小さくなかった。
 これだけでなく、日の丸・君が代をめぐる起立と斉唱を義務づけ、大量の教職員を処分してきた石原都政下の都教委では、現場の自主性を害するような政策が続いてきた。
 教育基本法は06年に改正された。「不当な支配に服することなく」の後の「国民全体に対し直接に責任を負う」というくだりが、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」と変わった。
 行政の権限が強まった感は否めない。それだけに、管理強化で教育現場の萎縮(いしゅく)を招いてはならない。
(朝日新聞 2009.3.14 )


教育に対する干渉が、東京都では石原都政になって目に余るのですが、
それが地方にも及んでいる気がします。

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判決は、一見「負け」のように読めるのですが、
原告代理人の解説によると「原告勝訴」の画期的な中身とのこと。

弁護団の声明、janjanの記事に、その詳報が整理されています。

七生養護学校「こころとからだの学習」裁判
東京地裁判決についての声明


判決要旨
 判決の一部
 ・・原告らに対する厳重注意の理由とされた授業がされた当時、それらの授業が学校指導要領等に反するものであり、本件養護学校の児童生徒の発達段階を踏まえないものであることがあったとはいえず、むしろ、被告都教委が作成した「性教育の手引き」の記載には、それらが学習指導要領に反するものではないとの誤解を生じさせる部分もあった。

 被告都教委は、平成14年11月ころ以降に被告都議らから指摘を受けるまでは、本件養護学校等における性教育を学習指導要領等に違反するとして問題視した形跡がなく、本件養護学校の養護教諭らを講師に招いて開かれた校長会及び教頭会の研修会を共催するなど、評価をしていた。

 本件厳重注意は、本件性教育という授業内容そのものが不適切であることを理由とするものであるところ、性教育は、教授法に関する研究の歴史も浅く、創意工夫を重ねながら、実践実例が蓄積されて教授法が発展していくという面があり、教育内容の適否を短期間のうちに判定するのは、容易ではない。しかも、いったん、性教育の内容が不適切であるとして教員に対する制裁的扱いがされれば、それらの教員を萎縮させ、創意工夫による教育実践の開発がされなくなり、性教育の発展が阻害されることにもなりかねない。

 性教育の内容の不適切を理由に制裁的取り扱いをする場合にはこのような点についての配慮が求められる。
      (略)
 被告都議らによる指摘を受ける前には、抽象的に学習指導要領及び児童・生徒の発達段階に即した指導を行うべきことなどを通知するにとどまり、「性教育の手引き」を改訂するなどして上記機会を与えることをしないまま、原告教員らに対して
厳重注意をするに至ったものであり、そのような被告都教委の行為は、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとして、国家賠償法上違法であり、被告東京都には、それによって名誉感情を侵害された上記原告らに生じた損害を賠償する責任がある。



 「ここから裁判」 原告 勝訴 (ひらのゆきこ)
janjan 2009/03/13  
東京・日野市にある都立七生(ななお)養護学校(現・七生特別支援学校)の元教諭と保護者ら計31人が同校での性教育授業の視察を受けた際、教材の没収や威圧的な批判など精神的苦痛を受けたとして都議3人と都に損害賠償を求めた訴訟で12日判決が言い渡された。東京地裁は都議らの行為を「教育の不当な支配」と認め、都議3人と都に計210万円の支払いを命じた。



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