みどりの一期一会

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「政治とカネ」捜査も自浄も望み薄~閉そくする政局/第三極を考えてみる時期/西松建設献金事件

2009-03-25 15:39:25 | 市民運動/市民自治/政治
春が駆け足でやってきて、お花の記事が続くなか、
とつぜんですが、堅い政治のお話です。

昨日、西松建設献金事件でゆれる民主党の小沢一郎代表が、
第一秘書の起訴を受けて、代表続投の意志を記者会見で発表した。

ちまたでは、イチローの話題のほうが沸騰しているけれど、
小沢一郎の記者会見のほうを紹介します。

 西松建設献金事件:小沢・民主代表続投 小沢代表の会見要旨 
毎日新聞 2009年3月25日

 小沢一郎民主党代表の24日夜の記者会見の要旨は次の通り。
 <冒頭発言>
 皆様に心配と迷惑をかけたことを心からおわび申し上げる。3日に秘書が逮捕されて以来、私自身が犯罪を犯したような印象を与える中、皆さんの激励がなかったら耐えることはできなかった。大勢の方々の「負けるな」「頑張れ」という声に励まされてきた。心から感謝を申し上げる。
 機会あるたびに申し上げてきたが、私自身が収賄等犯罪に手を染めていたということならば、どのような捜査でも、どのような処罰でも甘んじて受ける。しかし、自分にはそういう事実はないということを繰り返し申し上げてきた。しかし、秘書が結果として逮捕され、起訴された。このことについての自分の責任は非常に大きい。
 起訴の理由を聞くと、収支報告書の記載の仕方についての問題とされている。献金を受けた事実は報告しており、献金の相手方をそのまま記載するのが法の趣旨であると理解しており、認識の差が起訴という事実になったと思う。
 過去の例を見てもこの種の問題で強制捜査という事例は記憶にない。私としては合点がいかない。特に総選挙を秒読みの段階に控えている今日であり、私の責任の重大さを感じると同時に、納得できないという思いだ。
 代表の地位、あるいは政権を取って総理うんぬんというたぐいのことに何の未練も執着もない。思いは日本に議会制民主主義を定着させる。それが自民党を離党して以来の大目標で、これが最後の機会。官僚機構の上に立った自公政権を覆し、国民主導の、国民の側に立った政治を実現させる。それが私の最後の政治家としての仕事だと思っている。
 理解をいただき、この目的を一緒に力を合わせて今後も頑張っていきたいという趣旨の話を役員会、常任幹事会で行った。自分の、民主党の、国民の皆さんの期待に応えるよう今後も頑張ってまいりたいと決意を新たにしたところだ。

 <質疑>
 --続投が民主党にプラスになると判断したのか。
 小沢氏 私の目標、政治家としての夢は、日本に本当の議会制民主主義を定着させること。本格的な政権交代を定着させることで、主権者の皆さんの議会制民主主義への理解を深めることができる。総選挙勝利ということを前提に何事も考えていきたいと思う。私が代表を続けることがプラスかマイナスか、私に判断することはできない。すべて国民の皆さんの受け取り方次第だと思っている。

 --総選挙に勝利した場合、首相に就任する考えはあるか。
 小沢氏 私が代表として民主党が過半数をいただいた時は、その責任を果たすのは当然だと思っている。私たちの戦い、選挙戦の相手は検察ではない。検察は検察の職責を果たしたということだろうと思うが、対決するのは自公政権だ。

 --代議士会で批判意見も出た。
 小沢氏 そういう意見もあると思う。したがって、自分一人で続けていくということを決めるには大きな問題であると思い、幹事長にお願いし、党の機関の皆さんの意見や判断をいただき、一緒に頑張っていこうという結論になった。

 --会見中に涙ぐんでいたが、理由は。
 小沢氏 つらかったからというわけではない。本当に多くの励ましの言葉をいただき、そのことを申し上げる時に胸が詰まって不覚の涙ということだ。

 --辞任を考えたことはあるのか。
 小沢氏 辞任しなければならないというふうに考えたことはない。ただ、結果として起訴ということになり、皆さんのご判断をいただいた。

【関連記事】
違法献金:小沢代表の大久保秘書ら起訴 東京地検  
小沢代表:「剛腕」捨て去り涙 公設秘書起訴受け会見
 
(毎日新聞 2009年3月25日)


この継投会見を受けて、賛否両論が巻き起こっているが、
ほんとのところはどうなのか、わたしにもよく分からない。

とはいえ、政治家には「政治とカネ」の黒いウワサがつきもの、
だれでもやっている、という見方には、市民派であるわたしは同意できない。

小沢氏続投表明 地元の意見二分 
朝日新聞 2009年03月25日

 「日本に議会制民主主義を定着させるため、今後も政権交代を目指す」。西松建設の違法献金事件で公設第1秘書が政治資金規正法違反(虚偽記載など)の罪で起訴された小沢一郎・民主党代表(衆院岩手4区)が24日、党代表の続投を表明した。政権奪取を目標に掲げる小沢氏が正面突破を図ったかたちだ。党関係者らに安堵(あんど)が広がる一方、「政治とカネ」のあり方に厳しい視線を向ける有権者は多い。
    ◇
 24日午後9時半すぎ。奥州市水沢区の居酒屋「山歩」店主の千倉一朗さん(66)は、小沢氏が涙を浮かべながら民主党の代表続投を表明した記者会見の生中継を、腕組みして見入った。小沢氏の小、中学時代の同級生という千倉さんは「潔いところがあるから、すぱっと辞めてしまうのではと心配していた。ほっとしました。今、首相の器があるのは小沢だけでしょう。支持者みんなで支えたい」。
 支持者からは小沢氏をかばう声が相次いだ。
 同市江刺区の後援会幹部の男性(67)は、一連の捜査に不信感を募らせる。「同じ献金をもらった自民党側は潔白だと言うのか。小沢が打ちひしがれるほど、逆に票は伸
ばす。小沢をここまで育てた後援会の意地だ」と強気だ。
 小沢一郎後援会連合会の伊藤久雄会長は「これからも支援は変わらない。最後まで支える。後援会の人たちにも大丈夫と言っている」。
 一方、義弟が小沢氏と中学の同級生だという同区の無職男性(74)は「小沢さんが代表を辞めなければ、古い自民党の体質と同じ。このままでは民主党は選挙に勝てない。もし秘書の有罪が確定すれば、議員も辞めるべきだ」と言う。
 北上市に住む詩人の斎藤彰吾さん(76)は「今回の事件で政治資金規正法に抜け穴が多いことが明らかになった。だから、小沢さんは企業献金の全廃など、めざす政治改革を前進させて」と注文をつけた。
 小沢代表の秘書の起訴をテレビのニュースを見て知ったという建設会社長は「遅かれ早かれやめないといけない。説明責任を果たしていない。次の選挙ではイメージダウンになる。党のためにも早く辞任した方がいいと思う」と心配する。
 次期総選挙で岩手4区から立候補予定の小沢氏の元秘書、高橋嘉信氏は「小沢先生、あなたは間違っている」とコメントした。
    ◇
 小沢代表の元秘書でもある民主党県連の佐々木順一幹事長は24日、大久保秘書の起訴をテレビの速報ニュースで知った。「(大久保秘書は)容疑を否認しているとのことだ。起訴は残念だが、公判の審理の中で事実関係が明らかになると思うので、当面は見守りたい」と話す。
 起訴が次期衆院選に与える影響は「今の段階では測りかねる」。一方で、小沢代表については「岩手4区で公認申請しているので、県連としては出馬を前提に取り組んできた。その考えに変わりはない」とした。さらに、「代表続投の件も今は否定することはない。今の段階では、そのまま継続してもらいたい」と述べるにとどめた。
 達増知事はこの日夕、起訴を受けて報道陣に「ここは総理になれるように小沢代表に頑張っていただきたい」と語った。総選挙に言及し「本当の改革が日本に実現していくかどうかは、今後、真実が明らかになって、国民がしっかりした判断を下していくかによる」と述べた。
 自民党県連の千葉伝幹事長は「あれだけ多額の献金を受けていたのだから、小沢代表は受け取った献金の使い道を国民に明らかにするべきだ。『一切関知しない』では済まない」と批判した。
 自民と連立する公明党の小野寺好・県本部代表は、投票率の低下を懸念する。「政治と金の問題をきちっと監視していかなければ、有権者の政治離れにつながるおそれがある。今後の推移を注視していきたい」とした。
 「細川政権時代の政治改革の中心にいたのが小沢氏だっただけに、残念だ」。社民党県連合の伊沢昌弘幹事長はこう話す。
 企業や団体からの献金に制限を加える改正政治資金規正法が成立した当時、小沢代表は細川政権の中枢を占める新生党の代表幹事だった。その小沢氏の秘書が起訴されたことについて「容疑の軽重が問題なのではない。政治とカネについては一点の曇りもあってはならない。国民の政治不信を一掃する説明責任こそが問われている」と批判した。
 共産党県委員会の菅原則勝委員長は「民主党は自浄能力を発揮してカネの流れの全容を解明すべきだ」と注文。同時に「西松建設からは自民党にもカネがいっている。自民党も(カネの流れを)明らかにすべきだ」と求めた。
朝日新聞 2009年03月25日


政治とカネの問題をクリアにするのは、政治家の基本のきだけど、
この問題で政党や政治に不信感を持つ市民が多くなるのを心配している。

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この問題に関しては、東北にある河北新報が社説など、
とてもよい記事を精力的に発信しているので紹介したい。

今日の河北新報の社説「小沢代表秘書起訴/捜査も自浄も望み薄では」。


【社説】小沢代表秘書起訴/捜査も自浄も望み薄では 
河北新報 2009年03月25日

 捜査の新たな展開は結局、何もなかった。雇い主も管理監督責任を引き受けることなく、職にとどまることになった。
 この落胆は、どこから来るのだろう? 目覚ましい変化は起きなかったという、ただそれだけの失望感のせいではない。
 「政治とカネ」の厄介な課題が相も変わらずに、うっとうしく横たわっているからである。
 東京地検特捜部という組織の強制力にも、まして政治の側の自浄力にも、解決の望みを今、託し得ないのだという現実を見せつけられたからである。
 西松建設の巨額献金事件で東京地検はきのう、政治資金規正法違反の罪で小沢一郎民主党代表の公設第一秘書を起訴した。不当捜査だと検察批判を展開してきた小沢代表はなお代表の座にとどまり、政権交代を目指す姿勢をあらためて明確にした。
 今後の公判で対立は一層激しくなるだろう。しかし、問いただしたい疑問が幾つも付きまとうという点は、双方に共通している。
 「特定の建設業者から長年にわたり金銭の提供を受け、見過ごすことのできない重大、悪質な事案」。起訴を発表した会見で地検はそう言った。
 重大さ、悪質性の立証は法廷に委ねられるとして、では、ほかの事案に比べてどこがどう違うのか。この説明だけでは、よくのみ込めない。
 西松からの政治献金を受け取った政治家は、二階俊博経済産業相ら与野党問わずほかにもいる。強制捜査の対象になぜ、小沢代表の秘書だけが絞り込まれたのか。
 言い換えれば、小沢代表側への現金授受以外は現行法で容認されるものなのかどうか。民主党内からの「国策捜査」批判はいったん別にするとしても、違法性の線引きは不透明なまま残されてしまった。
 政界捜査にほとんど唯一の実績を残してきた組織にしては、捜査対象の側からの批判、攻撃に対する警戒が足りなすぎたのではないか。
 政治の自浄力への不信が、捜査への過度な期待となって膨らんでしまうのは健全な社会現象でないことは確かである。それにしても、今回の捜査の結末は物足りない印象をぬぐえない。きのう、多くの人がそう感じたのではないか。
 政治資金規正法は、政治家の醜聞の歴史とほぼ一体となって改正を重ねてきた。そしてその都度、抜け道があると指摘されてきた。立法府が自らの手をしばる法をつくれるわけがない。有権者の不信は根強い。
 小沢代表は秘書逮捕後に、企業献金を全面禁止するべきだとの考えを表明した。民主党内で岡田克也副代表を中心に改正案の検討が始まっている。
 しかし、政治とカネの問題で自民党よりも一歩先んじた姿勢を打ち出そうとはしても、小沢代表の影響力から離れた独自の動きにはとても見えない。
 カネにまつわる悪弊一掃の課題に、小沢代表の下で民主党はどう取り組んでいくのか。しっかり見つめたい。
(河北新報 2009年03月25日) 


自民/民主の二大政党制、民主への政権交代への期待感が強まるなか
その他もろもろの存在は消されていたけれど、
河北新報は3月20日の社説で、すでに「第三極を」との対案を提案している。


【社説】閉そくする政局/第三極を考えてみる時期だ
河北新報 2009年03月20日

 追加経済対策のための2009年度補正予算案編成が大事なので「5、6月の衆院解散と言える状況ではない」というのが麻生太郎首相の現状認識だ。
 「こうなったら9月の衆院任期満了まで行けばいい」(森喜朗元首相)。西松建設の献金事件で揺れる民主党の足元を見透かすように、こんな空気が自民党内でじわりと広がってきた。
 西松と自民党側の関係も取りざたされているが、風当たりが強いのは小沢一郎代表の公設秘書が逮捕された民主党の方。
 こんな情勢判断もあるのだろうか。麻生首相は「解散政局」の主導権をようやく取り戻したと思っているのかもしれない。
 仮にそうだとしても、国民の支持率が極めて低い内閣の弱々しい政治主導に未曾有の国家的危機を突破していく力を期待する世論はそう多くはあるまい。
 今、解散・総選挙が行われれば、自民党と民主党の「負け比べ」にならざるを得ない。マイナスイメージの小さい側が勝者となり、圧倒的な支持の裏付けがなくても政権を担当できる。
 「政治はゲーム」などと言える余裕のない時代だ。国民の投票行動が政治の収縮に動員されかねないなら現局面は危うい。
 自民党への不満と政権取りを約束した民主党への不安が増殖している現状は、自民党的でも民主党的でもない政治の第三極の登場を求めることになろう。
 1996年に衆院に導入された小選挙区制は「二大政党が政策論争を通じて政権交代できる制度」という触れ込みだった。
 政策論争が活発化したとは言えないが、自民、民主両党の二大政党化は実現した。実現はしたのだが、二大政党化は小選挙区制という仕掛けを通して作られた「半人工的な政治状況」との見方がないわけではない。
 第三極待望論はこうした二大政党化に疑問を呈するものだ。
 第三極といっても、自民、民主両党より格段に所帯が小さい共産、社民、国民新の各党が単独で極になるには困難が伴う。
 党や派閥を超え政治の現状を変えたい勢力が集まったり、再編で生まれる新党と既成政党が政策的結合を重ねたりして第三極づくりを目指せないものか。
 第三極の政治勢力に求めたい一つは、眼前の不況に限らず、既に突入した人口減少社会に適応できる国の形を示すことだ。
 そのためには伝統的な政策手法や税財政政策などにおいて根本的な路線転換が必要になる。
 オバマ政権の誕生を機に米国の覇権主義に追随してきた外交路線を転換することが二つ目。
 そして三つ目は、西松献金事件のように「政治とカネ」にまつわる温床を完全に排除し、高い政治モラルを掲げることだ。
 戦後政治はGHQ(連合国軍総司令部)の関与があったとはいえ、軍国主義を除く多様な政治思想を認めてスタートした。その多様性は自民、社会両党の「55年体制」から自民、民主両党の二大政党化に収束し壁にぶつかった。
 政治の多様化が国民の政治参加の幅を広げて問題解決を目指すと言えるのなら、第三極づくりはその入り口にならないか。
(河北新報 2009年03月20日) 



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