名古屋市で、「名古屋市議会VS河村市長」の攻防が激しさを増している。
11月定例市議会に、河村たかし市長が議会改革や市民税減税を提案、
「政治ボランティア条例案」は議会改革部分の大半を削除する形で骨抜きで修正され、
市民税を10%減額する条例案の修正案可決に対して、市長は拒否権を発動させて「再議」に付すという。
再議とは~地方自治法第百七十六条
地方自治法
第百七十六条 普通地方公共団体の議会における条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定があるものを除く外、その送付を受けた日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
○2 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
○3 前項の規定による議決については、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。
ここへきて、泥沼状態になってきた感もあるけれど、
前半の、市長の攻勢と議会の守勢がけっこうおもしろかった。
市議会と市長の対立を、わかりやすく、かつおもしろくまとめていた、
市民自治に焦点をあてた中日新聞の【河村vs市議会】を紹介して、
そもそもの問題点をふりかえってみたい。
【河村vs市議会】台本なし真剣勝負 11月議会の陣<1>(2009.11.28中日新聞)
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河村市長は、右よりの問題発言も多いので、もろ手を挙げて賛成ということはできないけれど、
名古屋市議会も、この地方ではワースト1というほどひどすぎる。
名古屋市の今後の動きを注目したい。
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11月定例市議会に、河村たかし市長が議会改革や市民税減税を提案、
「政治ボランティア条例案」は議会改革部分の大半を削除する形で骨抜きで修正され、
市民税を10%減額する条例案の修正案可決に対して、市長は拒否権を発動させて「再議」に付すという。
【河村vs市議会】河村市長が再議を要請 減税修正案可決に 2009年12月12日 中日新聞 名古屋市議会の議会運営委員会が11日開かれ、自民・公明による市民税10%減税の修正案可決に対して、河村たかし市長が再議を求めた。同委員会は、臨時会を18日に招集することを決めた。 同市議会で、議会側の修正可決に対して、市長が再議を求めるのは、1972年以来、37年ぶり。当時の杉戸清市長が提案した乳児医療費助成条例案を議会が修正可決したため再議を要求した。 ================================================================= 【河村vs市議会】減税修正案、再議で廃案濃厚 原案成立の見通し 2009.12.10 中日新聞 河村たかし市長と議会の対立が続いた名古屋市議会の11月定例会は9日午後、閉会した。自民、公明、社民で修正可決した「市民税10%減税」について、河村市長は閉会後「(修正条例では)責任ある税体系と言えない」と述べ、拒否権に当たる再議に付し、臨時会を招集する考えを明らかにした。 臨時会は今月中旬の3日間開かれる見通し。再可決には3分の2以上(定数75)の賛成が必要だが、自公社3会派は計38議席にとどまり、廃案となる可能性が高い。自民幹部は「廃案になったら、原案に賛成する」と話しており、市の原案が成立する見通しだ。市民税の減税は全国で初めて。 市の原案は、すべての納税者が納めている均等割(現在は3000円)を2700円に引き下げるとしたが、可決された修正案は低所得者への配慮を重視し100円に大幅減額。所得に応じて課される所得割(現行6%)は、原案が5・4%、修正案は5・55%にカットする。 減税と並び、「地域委員会」のモデル実施を盛り込んだ補正予算案も可決した。 一方、議員の定数や報酬の半減などの議会改革案を盛り込んだ「政治ボランティア条例」は継続審査に。市長は年明けの2月定例会に定数半減を前提とする「区割り」条例を提案する方針で、再び、議会との全面対決が予想される。政務秘書の設置は否決された。 河村市長は減税、地域委、議会改革の三本柱の一つでも否決されたら、支援者による議会の解散請求(リコール)に向けた署名集めに入る方針で臨んだが、事実上、減税も地域委も来年4月からの実施が決まった。 市長は「まだ減税がどうなるか分からない」と慎重な構えを崩さなかったが、「減税も地域委も、よくここまで来たなという感じはある」とも話した。 (2009.12.10 中日新聞) |
再議とは~地方自治法第百七十六条
地方自治法
第百七十六条 普通地方公共団体の議会における条例の制定若しくは改廃又は予算に関する議決について異議があるときは、当該普通地方公共団体の長は、この法律に特別の定があるものを除く外、その送付を受けた日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。
○2 前項の規定による議会の議決が再議に付された議決と同じ議決であるときは、その議決は、確定する。
○3 前項の規定による議決については、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければならない。
ここへきて、泥沼状態になってきた感もあるけれど、
前半の、市長の攻勢と議会の守勢がけっこうおもしろかった。
市議会と市長の対立を、わかりやすく、かつおもしろくまとめていた、
市民自治に焦点をあてた中日新聞の【河村vs市議会】を紹介して、
そもそもの問題点をふりかえってみたい。
【河村vs市議会】台本なし真剣勝負 11月議会の陣<1>(2009.11.28中日新聞)
【河村vs市議会】仕事に見合う報酬とは 11月議会の陣<2> 2009.11.29 中日新聞 「年収2400万円ですよ。明らかに、もらいすぎでしょ。税金でこれだけ、身分保障されとったら、誰も辞めたがりませんわ」。27日の名古屋市議会定例会。河村たかし市長が、いつものように市議の“厚遇ぶり”を指摘すると、傍聴席から「そうだ」「そうだ」の声があがる。 市議の懐具合の内訳を見る。報酬は月89万円、ボーナス445万円で、計1513万円。別に「第二の報酬」ともいわれる政務調査費が月50万円。さらに本会議などで登庁するたびに交通費代わりの費用弁償が1日1万円。平均で年82万円となる。 締めて2195万円。市税収入の落ち込みを受けて今年は報酬と政調費を1割ほどカットしたが、市長は削減前の2400万円を引き合いに出すことが多い。 ある市議は、自身のブログで「税金や年金、党費や事務所の家賃や光熱水費、事務員の給料などを引いたら、手元に残るのは10万円そこそこ。同年のサラリーマンと比較しても高いと思えたことはない」と説明する。 2400万円が多いか少ないかはさておき、対する市長。就任直後に条例を改正し、報酬2500万円を800万円に引き下げた。自らの退職金(4年で4225万円)も廃止した。 市長の持論は「議員をやって、お金が残るのは日本だけ。海外では議員はボランティア」。政治活動費は、個人献金でまかなうべきだとも主張する。 市長自身の懐はどうだろう。事務所によると個人献金は月40万円ほど。市長が豪語する割には、「事務所の維持費やスタッフの給与だけでも赤字」(事務所)が実情だ。 知名度のある市長でもそうなら、市議はより厳しい。「今みたいに(議員が専業の)職業議員で、高給イメージでは誰も議員に寄付してくれない。全国的に『議員はボランティア』が定着しないと」と河村市長。その市長が「これぞボランティア型」と絶賛する町がある。 かつては「合併しない宣言」で全国に名をはせ、昨年3月から全国で初めて、議員報酬を日当制にした福島県矢祭町だ。 本会議や委員会に出席した時だけ、1日3万円が支給される。昨年度、町議10人に支給された報酬は平均で年120万円余。いずれも農業や材木業、自営業などを兼ねているからこそ、できる。 「議員の報酬は、議員活動への対価であり、生活給ではない。議員活動は成人式や入学式に出席することではない。議員バッジを着けるのは議場だけ」。推進役を担った菊池清文町議(64)は言う。 「ずっと農林業をやってきた私は、くわやなたを手にした立場で町政に参加する。生業を持ったいろんな立場の人が参加し、議会を運営できるのが、地方自治本来の姿では」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【議会VS市長第2ラウンド】6月定例会で、市は市民税10%減税案を提案したが、「財源が不透明」と採決は見送り。市長は「本来、減税は議会が要求し、役所が嫌がる話なのに」とため息。同案は今定例会にも提出しており、再び可決が見送られれば、来年4月からの実施に黄ランプがともる。 (2009.11.29 中日新聞) |
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【河村vs市議会】議員の賛否隠す党議拘束 11月議会の陣<3> 2009年11月30日 中日新聞 名古屋市議会が開会した20日。河村たかし市長が“諸悪の根源”と決めつける「党議(会派)拘束」をめぐり、議場で、つばぜり合いが演じられた。 市長が「今は党議拘束や党派の交渉で、数人の議員により議会の意思を決定している」と発言すると、自民市議が憤然と立ち上がり「(会派内の)自由な議論で意思を決めている」と、議事録からの削除を求めたのだ。 党議拘束とは何か。市議は所属政党別に会派を組んでおり、民主27、自民23、公明14、共産8など。議案は多数決で成否が決まるが、会派は事前に内部の議論で賛成か、反対かの方針を決め、議場では同一歩調をとる。これが党議拘束だ。決定に従わないと注意や除名もある。 2007年4月の名古屋市議選は、政務調査費が一大争点となった。若手議員を中心に政調費の使途の全面公開を公約の柱に掲げた“政調費チルドレン”も生まれた。しかし、政調費の全面公開はいまだに実現していない。 彼らは「会派内で全面公開を訴えた」と口をそろえる。会派内の議論は非公開のため、彼らが実際にどれだけ強く主張したのかは分からない。ただ、議場はじめ公開の場で議論は聞かれず、市民の耳に届いていないのは事実だ。 議会と市長の対決が続いた27日。議場には、愛知1区で河村市長の地盤を引き継いで初当選した佐藤夕子衆院議員の姿もあった。愛知県議時代に、会派の方針に反して政調費の全面公開を貫き、厳重注意を受けた。「会派は便利。公約を守れない言い訳にできてしまう。有権者は議員に一票を投じたのであり、会派に入れたわけではないのに」。佐藤議員は、そう言う。 会派内で意見が分かれた場合、通常、ベテラン議員が調整役を担う。そして各会派の代表が集まる、ヤミ団幹(団長幹事長会)と呼ばれる非公式の会合で意見を調整し合う。こうしたボス支配的な構図が、議員個人の政策能力の低下をもたらしたと嘆く声もある。 ある市議は、かつての有力市議らの実名を挙げながら言う。「自民、公明、民主の4、5人が集まり、物事をパパッと決めていた。彼らの顔色を見ないと、本会議でも委員会でも怖くてモノが言えんかった」。ほんの数年前の話である。 「当時と比べれば今は民主的」と多くの市議は言う。確かに、政治信条や理念を同じくする議員が会派を組み、かんかんがくがくの議論を繰り広げて方針を決めることは、政策実現のため「数が力」となる民主主義の基本だ。だが、実のある議論ができているかどうかには疑問もある。 「議会改革」の先行例である北海道栗山町や福島県矢祭町には党議拘束どころか、そもそも会派がない。栗山町では、予算や条例案に対する各議員の賛否をホームページで議員別に公開している。 名古屋市議会はどうか。「各会派の意向は(委員会で)事前に分かるし、議会運営上は半数を超えたか否かが分かれば良い」(議会事務局)との理由で、議員個人の賛否は、公開されるどころか、記録にも残っていない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【議会VS市長第3ラウンド】9月定例会では、市内の大手塾理事長を市教育委員に登用する人事案が、73対1で否決。市長が議場で「議会の暴挙だ」と議長に詰め寄る場面も。議員一人一人の考えでは同案に賛同者もいたと明かし、以後、党議拘束が問題だと強く主張し始める。 (2009.11.30 中日新聞) |
【河村vs市議会】議員の議論市民の前で 11月議会の陣<4> 2009年12月1日 中日新聞 本紙も加盟する名古屋市政記者クラブは11月9日、名古屋市議会に常任委員会のテレビ撮影を認めるよう申し入れた。議会と市長の全面対立で、市民の注目がより高まっているからだ。 しかし議会は同月24日、民主、自民、公明の“反対多数”でノー。「カメラがあると議論が進まない可能性もある」と煮え切らない説明の吉田隆一議長。「カメラがあると緊張する?」と水を向けると天を仰いだ。 なぜ市民に開かれた議論ができないのだろうか。ガチンコ議論には慣れていない背景を指摘する声もある。 市長と議会はともに市民に選ばれた「二元代表」と言われる。三重県の議会改革を主導した岩名秀樹元議長(69)は、だからこそ「与党も野党もなく、地方議会はオール議会で首長と対峙(たいじ)すべきだ」と話す。 一方で昇秀樹名城大教授は「河村市長の前は議会の多数が相乗りで市長候補を担ぎ出しその人が当選してきた。これまではあらかじめ市長と議会の対立の芽は摘まれていた」と長年続いた相乗り体制の弊害を指摘する。 市長から「議会改革」を突きつけられ、市議会も黙っているわけではない。議会のあり方を定める「議会基本条例」の制定を目指す動きがある。ただ、その議論を公開するか否かについても、入り口で、すったもんだが続いているのが実態だ。 2000年の地方分権一括法施行を機に、議会改革は全国で取り組まれるが、有識者から聞いた冗談かと思うような話がある。最大の改革目標は「議会で議員が討論する」というのだ。これが当たり前ではないのか。 定例会の流れはこうだ。市長が条例や予算を提案し、その理由を説明。これに対し、各議員が質問し、市が答弁する。その後、各案は委員会に振られ、各議員はより詳細に再び市側にただし、委員会の結論を出す。本会議では各委員長の報告も踏まえ、採決する。 つまり、傍聴に来た市民の目の前では、議員と市側のやりとりだけで、議員同士が議論を戦わす場面はないのだ。「どのような議論を経て、結論が出たのか分かりにくい」との声もよく耳にする。 全国で初めて「議会基本条例」を施行した北海道栗山町は本会議で採決をする前に、議員同士の「自由討議」を導入している。 昨年6月、町は公用車の買い替え費用として560万円の予算を提案した。自由討議では、中古車や軽乗用車で代用できないか、タクシーの借り上げ契約ではだめなのか、など議員が互いの意見を言い合った。その上で安全面や機能性などにも考慮し、結局は提案通りに採決した。 「議会とはそもそも合議制。執行側に質問するだけでなく、議員同士の議論が大事ではないか。(公用車の議論では)傍聴している人も、なぜ各議員が必要だと考えたのか、理解できたと思う」。橋場利勝議長(64)は、住民に開かれた議会の重要性を、強調する。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 【議会VS市長第4ラウンド】 市民税10%減税で、市議会財政福祉委員会の正副委員長が10月中旬、「委員会の了承なしに減税案を情報提供しないよう」申し入れ。「議会は市民より上か。びっくりする感覚」と市長。その後も、あらゆる場で盛んに引用して議会のあり方を否定。「一方的な曲解」と議会側は反論している。 (2009.12.1 中日新聞) |
河村市長は、右よりの問題発言も多いので、もろ手を挙げて賛成ということはできないけれど、
名古屋市議会も、この地方ではワースト1というほどひどすぎる。
名古屋市の今後の動きを注目したい。
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