今年最後の朝日新聞beの「悩みのるつぼ」の回答者は、
予想通り、上野千鶴子さん。
「セックスレスで枯れそうです」という「35歳・主婦」に、
上野さんの回答は、「トキメキや性欲は人生の醍醐味ですが」。
とってもおもしろいです。
この「悩みのるつぼ」は読者に好評なのですが、朝日の本紙でもないし、
webにもアップされないので紹介しますね。
〔悩みのるつぼ〕セックスレスで枯れそうです
(相談者 主婦 35歳)
結婚11年、小3の娘と幼稚園年少組の息子がいる35歳の母です。45歳の夫に、「なじるわけでも非難するわけでもないけれど、これからもセックスしないの?」と聞いたところ、「現状維持、父母でいよう」と言われました。
そもそも20代で娘を産んだ後からセックスレスでした。夫は子供は1人でいいといいました。何も知らない義母には「きょうだいがほしい」と言われ、私に何か原因があるように思われて悩みました。でも何とか夫を説得して息子を産みました。
以前、ある作家が貴紙に、男女関係で大切なものとして、「トキメキ」「性欲」「親睦(しんぼく)」のうち二つあれば良好である、と書かれていました。わたしには皆無です。相手との襲来も展望も考えられない日々です。
また、離婚してもよいと、夫には言われましたが、生活面が比較的安定し、子どもたちや家も大事だし、趣味の庭もあるので、環境は大事にしたいと思っています。
心では「私は母」と思っていても、友人や姉弟の結婚生活を見ていると心が乱れるのです。・・・・(以下略)・・・・
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(回答者) 社会学者 上野千鶴子
~トキメキや性欲は人生の醍醐味ですが
35歳ですか。これから半世紀以上、セックス抜きで生きるおつもりですか。
30代はエロス的な年齢です。
「枯れる」には早すぎます。作家の故森瑶子さんが『情事』でデビューしたのが37歳。「夏が終わろうとしていた」という印象的な出だしから始まるこの作品には、「セックスを反吐(へど)がでるまでやりぬいてみたい」という一節があります。
生活が安定し、家と家族があり、趣味のガーデニングもあるから離婚したくない・・・というあなたにとって、「結婚」は生活保障財なんですね。それに愛情と性的満足がついてくると考えるのは過剰な要求かもしれません。子どもの父と母であることは結婚生活を維持する十分な理由ですが、その「契約」のなかに、セックスの排他性が含まれるのは困ったものですね。
「トキメキ」「性欲」「親睦」の三つは結婚前にはあって、今はなくなったのでしょうか。それとも最初からなかったのでしょうか。夫がいつでも「離婚してよい」と思っているのは、夫にも「親睦」の気持ちがないってことですよね。昔のような関係(それがもしあったとして)を取り戻したいと思っても、いったん変わってしまった関係を元に戻すことは著しく困難です。もとからなかったのなら、はなから無理。
それなら結婚の契約からセックスをはずしてもらうよう交渉しましょう。「ルール違反」と言われないように。夫婦生活にはセックスに応じる義務が含まれていますから、相手がすでに「ルール違反」をしていることになりますので交渉しやすいでしょう。それでお互いが割り切れるなら、こういう「フランス風結婚」もあり、で。
でも、普通こういう相談は「トキメキ」の相手があらわれてから初めて現実的になるもの。あなたはたぶん「トキメキ」の経験や「性欲」にのめり込んだ経験がないのでしょうね。「他人が持っているもの」を羨んでいるだけではないでしょうか。ほんとうに彼らが夫婦生活に愛情や性的満足を得ているかどうかは、聞いてみないと分かりませんよ。
「トキメキ」や「性欲」はたしかに人生の醍醐味のひとつです。ただし、そのコストは高くつきます。その覚悟があるなら、今から人生を味わいつくそうと思ってもけっして遅くありません。
(題字・イラスト・きたむらさとし)
(2009.12.26 朝日新聞) |
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今年は、『男おひとりさま道』を書かれた上野さん。
週刊誌や月刊誌に引っ張りだこのようです。
最新刊の『女性セブン』と『VOGUE』にも記事が出ているので、
さっそく買ってきました。チラッとお見せします。
週刊誌は自分ではほとんど買わないし、
『VOGUE』を買うのは初めて。
母も上野さんファンなので、読み終わったら、病院に届けてあげましょう。
オマケは、今日掘ったヤマノイモ。
イチョウ芋かつくね芋系だと思うんだけど、2.6キロもありました。
たぶん、今年の新記録だ。
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