みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

【悩みのるつぼ】困った上司のエロ画像趣味:(回答者・上野千鶴子)「変な趣味より会社自体は大丈夫?」

2010-04-25 16:35:38 | ジェンダー/上野千鶴子
この週末はお天気がよくて、抜けるような青空。
お昼ごろ、赤ちゃん連れのお客さまがくるので、まどを開けて部屋のお掃除。

アメリカハナミズキが真っ白になってきました。


  
よく見えるように、枝がかぶさっている梅の剪定をしました。

  

つつじやシャガも咲きはじめて、庭には白い花が増えてきました。

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土曜日の朝日新聞beの【悩みのるつぼ】の回答者は、上野千鶴子さん。
上野さんの回答の展開がとてもおもしろいです。

 【悩みのるつぼ】
困った上司のエロ画像趣味
相談者 会社員40代

20010.4.24 朝日新聞be

 会社の上司の変な趣味に困っています。彼は50代で結婚もしていますが、エロ画像が大好きなのです。しかも、熟女の盗撮ものや無修整もの。
 自宅でなら構いませんが、会社で見ているのです。自席にパソコンがあるのに、わざわざ別室に入って仕事をしているふりをしながら見ていますが、外から丸見えです。私たちに見せつけるわけではありませんが、こっそり見ていることは社員全員が知っています。みんなが残業して頑張っているときでも、取引先との電話の最中にも、見ていることもあるようです。
 それを知った私たち社員は、やる気がなくなっています。つい最近知らされた私は大変ショックを受けました。それなりに尊敬もしていたので、会社に行く気もなくなるくらいのショックでした。みんな安い給料で頑張ってきたのにと、もう、軽蔑(けいべつ)の気持ちしかありません。
・・・・・(略)・・・・
 どうしたらやめさせられるでしょうか。このまま、知らないふりを続けて、あきらめるしか無いのでしょうか。

----------------------------------------------------
回答者 社会学者 上野千鶴子
変な趣味より会社自体は大丈夫?


 仕事は天命でもなければ生きがいでもありません。メシの種です。経営者が無能でも会社が倒産せず、上司があなたや他の部下にセクハラもパワハラもせず、同僚との関係も悪くなく、給料が安くても安定雇用があり、給与の遅配欠配もなく……働きつづけていられるなら、何の問題があるんですか?
 問題は給料袋にエロ画像が印刷してあるようなものですね。正確にいうと、あなたの上司のしていることは「環境型セクハラ」と言い、均等法違反です。れっきとした違法行為ですから告発すれば使用者には対応の義務が生じますが、とはいえ、相手が経営者ですから、あなたのほうがいづらくなるかもしれません。
 あなたの上司に限らず、たいがいの男はエロ趣味の持ち主です。それを「軽蔑」するならほとんどの男を軽蔑しなければなりません。尊敬できない上司のもとで働く悲哀は、どんな宮仕えにもつきもの。「こっそり」見ているなら当人も悪いとは自覚してるんですね。これがエロ画像でなくて、ホラーものやオカルト映像だったり、殺人現場を集めたスプラッター映像だったりしたら許せますか?
 それとも、就業時間中に見ていることが問題なのですか? それなら会社で見ないようにお願いするか(おうちで見られない事情があるのかもしれません)、あるいは見るときは別室に入ってドアを閉めて見るように要求するか。上司が別室にこもったら、やれやれ、と思えばよいだけです。見たくないものを見ないですむように、ゾーニング(仕切り分け)すればよいでしょう。
 とはいえ、問題は別のところにありそうですね。会社の経理と営業成績を点検してみましょう。経営者が働かなくても保つくらい業績がよいのか、それともこんなに無能な経営者のおかげで会社の将来が危ういのか。そちらを見極めるほうがもっと大事です。経営者の働きがないのに給料が安すぎるのなら、それはまた別問題。仕事の不満や労働条件は、上司の「変な趣味」以上に深刻な問題なはずでしょう。
 あなたの上司はほんとに「裸の王様」ですね。「みんな知ってますよ」と一言言えば、すむでしょうに。それが言えないほど、職場の風通しが悪いか、経営者が孤立しているのなら、危ないのは会社そのものです。
(題字・イラスト きたむらさとし)
20010.4.24 朝日新聞be


上野さんといえば、先日、東京に行ったときに、
紀伊国屋書店の『スクリプタ』に連載されてる【ニッポンのミソジニー】の、
「児童性虐待者のミソジニー」のコピーをいただいてきました。

 【ニッポンのミソジニー】 
第14回 児童性虐待者のミソジニー

『スクリプタ2010年春号』(紀伊国屋書店)  

「性欲と性行為と性関係とは、厳密に区別されなければならない。」(P41)

「児童性欲者は少数の特殊な人々ではない。いな、数の上では少数でも---実際には浮上しないだけで少数かどうかも分からない---彼らの経験は、けっして「特殊な経験」ではない。
 自分の欲望のために、同意を得ずに(すむ)無力な他者の身体を利用し、それに執着し、依存し、相手をコントロールしつづけようとし、その相手から自尊感情や他者への信頼や自己統制感などを奪い、あまつさえ相手がそれを望んでいると信じたがり、誘惑者に仕立てるという関係は、強姦やセクハラにも、DVにも当てはまる。それのみならず、そのまま異性愛の男女の間にもあてはまる。・・・・・彼らの性欲、性行為、性関係は、かぎりなく、「ふつー」の性関係に近い。「ふつー」の、というのは、「男性支配的な」という意味だ。」(P47)


あと、関連の、といえるかどうか分かりませんが、
ジェンダー関連の二冊、紹介します。

『同性愛と異性愛』
(風間 孝 (著), 河口 和也 (著) /岩波新書) 

  

『女性学 2009 Vol.17』(日本女性学会)
特集:今ジェンダーの視点から問い直す貧困と労働
 

  

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4月24日(土)のつぶやき

2010-04-25 00:39:57 | 花/美しいもの
12:05 from web
今日のブログは本の紹介。●『こんなとき私はどうしてきたか』中井久夫/『私の声が聞こえますか』マルコム・ゴールドスミス他 http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/a44ca95563d3d9687968ac5be7e34f7a
by midorinet002 on Twitter
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