みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

子どもの虐待―重層的な対策が必要だ/届かぬ子の叫び 昨年度、最多7万3000件

2014-08-06 21:07:11 | ほん/新聞/ニュース
きょうは、広島に原爆が投下されてから69年目の「原爆の日」です。

新聞やテレビでは原爆の日の特集が組まれていて、
わたしは先ほどまで、日本映画専門チャンネルで「父と暮らせば」を見ていました。

ところで、
2013年度の児童相談所の「子どもの虐待」の全国の認定数が
過去最多になったと4日に公表されました。

「児童相談所長が行った裁判所に対する親権停止の審判の申立ては16自治体で23事例」。
「父母のネグレクト」のほか、「父親からの性的虐待」「同居男性からの性的加害』などが例示され、
申立てされた親権停止の事例等も出てています。
厚労省は今回、虐待で亡くなった子どもの数と事件の検証の公表を見送理ましたが、後日公表するそうです。

昨日の新聞各紙が、社説や特集をくんでいましたので紹介します。

  社説:子どもの虐待―重層的な対策が必要だ
2014年8月5日 朝日新聞

 全国の児童相談所が2013年度に虐待として認定した件数(対応件数)が合計7万3765件で、過去最多となった。統計を取り始めた1990年度から23年連続で過去最多を更新している。

 統計を公表した厚生労働省は「虐待件数は高い水準にある。社会的関心が高まって、相談や通報が増えたことが大きな要因」と説明している。

 厚労省の説明通りなら、この数字は、現実をつかむ精度が上がった結果ととらえることができる。虐待の広がりには、暗然たる思いを抱く。まず、子どもを虐待から救うことを考えたい。

 虐待を早い段階で見つけることだ。そのためには、学校や児童相談所、市町村、医療機関など関係機関の緊密な連携が欠かせない。

 東京都西東京市の中学2年生が自殺したケースで、学校は生徒のあざに気づいていたが、児童相談所に伝えなかったという事態が起きている。

 4日に全国の児童相談所長らが集まった会議では、改めて関係機関が連携する重要性が強調された。「子どもの安全」を第一に考え、実質的な連携を深めてほしい。

 虐待に至る前に気づいて、予防することにもっと、力を注いではどうか。

 児童相談所が対応する虐待は親子間が全体の93%を占め、残りは祖父母やおじ・おば(2012年度統計)となっている。孤立した育児が虐待につながりかねない、と多くの専門家が見る。ならば、孤立を防ぐことを考えるべきだ。

 親が気軽に子育ての相談をする、「小さなSOS」を気兼ねなく出せる、そんな身近な集いの場を増やしてほしい。

 現在検討されている小学校就学前教育の無償化は、子育て支援の観点からも意味がある。低所得の世帯が通園しやすくなれば、幼稚園や保育所が相談所、行政からの支援を受ける「つなぎ役」になれるかもしれないからだ。

 乳幼児健診を受けていない子どもがいる、子育てに悩んでいる、などきめ細かく情報をすくいあげることも、虐待の予防につながるはずだ。

 虐待を親子間・家族間の問題に閉じ込めない視点も必要だろう。親の側を追い詰める社会になっていないか。就労を含め、生活が安定するような支援が届いているのだろうか。

 虐待を私たちの社会全体の問題とみて、幅広く対策を考えることが求められている。 


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  社説:児童虐待増加 家庭の密室化 防ぎたい
2014.8.5 北海道新聞
 
 全国で児童虐待が増え続けている。2013年度、児童相談所が受けた件数は7万件を超えた。過去最多だ。

 虐待死に至る悲惨な事件も後を絶たず、深刻な状況である。社会全体で危機感を共有したい。

 児童虐待は23年連続の増加だ。前年比1割増だった。件数増加について、厚生労働省は虐待自体の増加に加え、社会の意識の高まりから通報が増えたことが大きいと分析している。

 道内では、札幌市が微減の400件。同市を除く全道では前年比3割増の1700件だった。

 虐待増加の背景には、まず貧困がある。依然、歯止めのかからない雇用環境の悪化が大きい。

 同時に、核家族化の進行と地域社会の崩壊により、家庭が孤立化していることも指摘されている。

 離婚で母子家庭になり、貧困のストレスから子どもへの虐待も目立つという。

 見逃せないのは、心理的虐待の増加だ。両親間のドメスティックバイオレンス(DV)を目撃するなどしたため、子どもが心の傷を負うケースである。

 大人たちは、子どもが暴力的行為を間近にしたショックを真摯(しんし)に受け止めねばならない。

 密室内で繰り返される虐待だ。防ぐには関係機関ばかりでなく、地域の協力が必要だ。

 道内では、各市町村に官民による要保護児童対策地域協議会を設置。虐待の早期発見、児童の保護を目指している。今後も、地域の子どもたちへきめ細やかなまなざしを向けてほしい。

 こうした取り組みで対応できない場合は、全国207カ所(全道9カ所)の児童相談所が向き合うことになる。

 問題は、その態勢の手薄さである。相談を実際に扱う児童福祉司は13年4月時点で全国に2771人。10年前の1・6倍に増えたとはいえ、対応が追いつかないのが現状ではないか。

 虐待対応は、通報から48時間以内に子どもの安全確認をしなければならない。しかし、今のままでは初動に手が十分回らない事例もあるようだ。

 長崎県佐世保市の高1女子殺害事件では、事件1カ月前、少女を診断した精神科医から「人を殺しかねない」と、児童福祉司に相談があった。しかし、適切な対応がとれなかったとされる。

 児童虐待は、親から子に連鎖する可能性が高い。周囲の見守りで早急に断ち切らねばならない。


 児童虐待、7万件超 23年連続で過去最多更新 厚労省
2014年8月4日 朝日新聞

 全国の児童相談所(児相)が2013年度に対応した児童虐待の件数(速報値)は7万3765件で、前年度より7064件(10・6%)増えた。統計を取り始めた1990年度から、23年連続で過去最多を更新した。厚生労働省が4日に公表した。

 虐待の件数は、児相が18歳未満の子どもの被害情報を受け、虐待として対応したケースをまとめた数字だ。5年前の1・7倍、10年前と比べれば2・8倍に増えている。

 件数増加について厚労省は、虐待そのものが増えたことに加え、社会的意識の高まりで相談・通報が増えたことが大きな要因とみている。さらに昨年8月、虐待された児童だけでなく、それを目撃したきょうだいも心理的虐待を受けたと考えて対応するよう自治体に通知したことの影響も考えられるという。

 児童相談所長が虐待防止のため親権停止を家庭裁判所に申し立てられる制度があるが、13年度の申立件数は23件だった。前年度より4件減った。父親による性的虐待のほか、親が子どもの治療を拒んだケースなどがあった。

 例年は虐待件数と同時に明らかにしている。神奈川県厚木市で男児(死亡当時5歳)が白骨化した遺体で見つかるなど、深刻な虐待事件が相次いで発覚したことから、虐待死の検証や再発防止策の検討を念入りにしているため、と説明している。後日公表するという。(畑山敦子)


 (時時刻刻)虐待、届かぬ子の叫び 昨年度、最多7万3000件
2014年8月5日 朝日新聞

 児童虐待が過去最多を更新し、ついに7万件を超えた。子どもの発する「SOS」を見逃していないか。虐待で傷ついた幼い心のケアはできているか。なお課題は多く、現場の模索は続く。

 ■病院、兆候見落としがち
 「子どもが自宅でベッドから落ちて頭を打ち、けいれんしている」

 横浜市の横浜労災病院に夜中、こんな119番通報を受けて乳児が救急搬送されてきた。頭部に強い衝撃を受けて起きるとされる急性硬膜下血腫があった。眼底には網膜出血も確認された。首がすわっていない乳幼児が激しく揺さぶられることで起こる「乳幼児揺さぶられ症候群」でみられる症状だった。

 当直医から報告を受けた小児科の佐藤厚夫医師が翌日、家族に事情を聞いた。両親は虐待を否定した。だが症状から「疑いがある」と考え、児童相談所に通告した。乳児はその後、児相に一時保護されたという。

 児童虐待防止法は、虐待を受けたと思われる子どもを見つけたとき、児相への通告や相談を義務づける。近所の人や知人などからの相談も増えている。

 さらに同法では児童福祉に職務上関係がある人は虐待の早期発見に努めねばならないと規定する。教職員らと並び、医師も含まれる。特に重要な役割を担うのが小児医療の現場だ。だが「SOS」を見逃しかねない状況が最近の調査で明らかになった。

 横浜市内で小児救急拠点となる11医療機関の医師らが参加する「横浜市児童虐待防止医療ネットワーク」の調査によると、11~13年に虐待の疑いがある頭蓋(ずがい)内出血があった0~2歳未満児は、11医療機関で51人いた。このうち31人が、虐待の疑いがさらに濃い室内で起きていたが、児相に通告されたのは3割強の11人にとどまっていた。

 虐待の判断には、外傷の有無などを複数の検査で確認することが有効と言われる。だが51人のうち、網膜出血などを調べる眼科は26人(51%)が受診せず、骨折などを調べる「レントゲン検査」は21人(41%)が受けていなかった。

 調査をまとめた横浜労災病院の佐藤医師は「虐待したと自分から言う親はいないので、診断で判断するしかない。だが、医者は治療に専念して背景にある虐待の可能性を見落としがちだ。児童虐待に対応した経験が少ない医師もおり、研修も不十分で通告義務も浸透していない。現場のレベルアップや行政との連携が必要だ」と課題を指摘する。

 ■心のケア施設、地域格差
 課題は、早期発見という対策の入り口だけでなく、保護した後の出口部分にもある。

 虐待を受けた子を支えるには傷ついた心のケアが不可欠だ。その役割を担うのが専門施設である「情緒障害児短期治療施設」だ。

 仙台市の施設「小松島子どもの家」には、30人の子どもが暮らす。7月末に訪ねると、小学6年の少女(12)が、ふかしたジャガイモをつぶしてニョッキを作っていた。伏し目がちだが、時折、子ども同士でふざけて笑った。

 幼いとき両親が離婚し、少女を引き取った母親は家事をしなかった。児相がネグレクト(育児放棄)と判断し、少女は5年前の冬にここに来た。

 子どもの家の臨床心理士、手束恵さん(47)によると、当初は「何が食べたい?」と聞いても、「うーん」と言ったまま答えなかった。本心を隠し、大人の顔色をうかがうような態度は、虐待を受けた子に時折見られるという。施設で落ち着きを取り戻し、少しずつ自分の意見を言えるようになった。いま少女は「友達と一緒に中学に行きたい」と話す。

 情緒障害児短期治療施設は、もとは不登校の子が多い施設だったが、次第に虐待を受けた子どもの受け皿となった。全国の施設では約1300人の子どもが暮らす。全国情緒障害児短期治療施設協議会の調査(13年)では、施設で暮らす子の約7割が虐待を受けた経験があるという。

 児童養護施設よりカウンセリングなどをする臨床心理士や保育士らの配置が手厚い。小児科医や精神科医、看護師が子どもの健康管理や生活の助言もする。状況が安定し、家庭の受け入れ環境が整えば2、3年で親元に戻る仕組みだ。

 設置するのは、都道府県や指定市だ。虐待増加を受けて、厚生労働省は10年、14年度までに全都道府県に1カ所はつくることを念頭に、全国47カ所を目標に掲げた。ただ現時点では30道府県で38カ所にとどまり、地域差がある。財政的な負担に加え、専門職の確保が難しいことが背景にある。

 全国情緒障害児短期治療施設協議会副会長の高田治さん(53)は「子どもにじっくり向き合う施設の役割はますます重要になる。(国は)専門職員の育成や自治体が開設しやすい財政支援を進め、地域格差をなくすべきだ」と話す。
 (畑山敦子)
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 厚労省が児童虐待件数の統計を取り始めたのは1990年度から。この時、1101件だった件数は年々増え続け、4日に公表した2013年度の件数(速報値)は、前年度より7064件(10・6%)増えて7万3765件となった。

 厚労省は例年、虐待で亡くなった子どもの数と事件の検証も同時に公表している。だが今回は見送り、後日公表することにした。神奈川県厚木市で、所在不明だった男児(死亡当時5歳)が白骨化した遺体で見つかるなど、深刻な事件が相次いで発覚。これを受け、検証や再発防止策の検討に時間をかけているためという。 


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8月5日(火)のつぶやき

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