みどりの一期一会

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首相のヤジ―立法府と国民への侮辱/安保転換を問う 首相の姿勢/安保法案「説明不足」81%

2015-06-01 17:46:48 | ほん/新聞/ニュース
安全保障法制の審議がはじまっている。

この様子は連日テレビで流れているが、
民主党の辻元清美さんの特別委員会での質疑がはじまってしばらくしてから、
安倍首相から耳を疑うようなヤジが飛んだ。
テレビからもはっきりと「早く質問しろよ」と聞こえてきた。

辻元さんは一瞬、何を言われたか理解できないという感じで言葉を止めた。

議場が騒然となるなか、おち着いて対応した辻本さんの態度は立派だったけれど、
心中はらわたが煮えくりかえる思いだろうと、見ていて涙が出てきた。

法案を提案しているのは、安倍首相のほうで、
それを受けて議論して意思決定するのが、議員の仕事である。

そんなこともわからないほど傲慢になっている安倍には、
首相の資格はないと思う。

注意を受けて、形ばかりの「おわび」をしたけれど、
その後も、他の議員が問いただしているときも、
ヘラヘラ笑っていたりしゃべっていた。
この国の行方を左右する重大な法案の審議という認識もない。

直近の世論調査では、この法案に対しては、「説明不足」が81パーセント、
改憲については反対が賛成を上回っている。

野党は、安倍首相のヤジや暴言を看過して利妥協することなく、
内閣不信任案を提出して、安倍を辞任に追い込んでもらいたいものです。

  首相のヤジ―立法府と国民への侮辱 
2015年5月30日 朝日新聞

 安全保障法制を審議している衆院特別委員会で安倍首相が飛ばしたヤジについて、改めて取り上げたい。国会における品位という問題にとどまらず、首相の立法府に対する理解や敬意が決定的に欠けているという根深い問題だからだ。

 おとといの特別委員会でのこと。中東で機雷掃海をすれば日本がテロリストに狙われたり、自衛隊員に死傷者が出たりしないか。民主党の辻元清美氏が3分間ほど、そんな指摘を続けているとき、「早く質問しろよ」と声があがった。

 このヤジを飛ばしたのが、ほかならぬ安倍首相である。

 紛糾すると、首相は「延々と自説を述べて私に質問をしないので、早く質問をしたらどうだと言った」と釈明。「言葉が少し強かったとすれば、おわびを申し上げたい」と謝罪した。

 こんな言い訳で済まされる話ではない。首相自身の答弁が長いとの指摘を受け、委員長から「簡潔な答弁」を求められてもいた。しかも辻元氏の質問は、国民や自衛隊員の命にかかわる問題だ。その最中に国会議員や審議を軽んじるような言葉を言い放ったのである。

 国会論戦には、与野党の対決という側面もたしかにあるだろう。だが、国会は立法府として行政府と向き合う場でもある。行政府の長である首相は、みずからの内閣が提出した安保関連法案の中身を説明する責任がある。国会議員は、国民を代表して、それを問いただす役割を負っている。

 口頭試問を受ける受験生と面接官のようなもの――。首相と議員の関係を、政治学者の杉田敦・法政大教授はそう例えている。受験生が面接官にヤジを飛ばすことは許されない。

 安倍首相のヤジによって侮辱されたのは、国会そのものであり、国会議員を送り出した国民でもある。国会全体として首相に対し、改めて強い怒りを表明すべきだ。

 安倍首相は2月の衆院予算委員会でも「日教組!」「日教組どうするの、日教組!」と民主党の質問者にヤジを飛ばして問題になった。反省どころか、数の力を頼んだおごりも極まれりというほかない。

 国会審議の前に米議会で演説し、安保法制について「戦後初めての大改革です。この夏までに成就させます」と誓った首相である。異論に耳を傾ける気は毛頭ないのかもしれない。

 しかし、まさにその大改革が議論されているのである。首相が国会をないがしろにする姿は二度と見たくない。 


安保法案「説明不足」81% 反対が賛成上回る 
2015年5月31日 東京新聞

共同通信社が三十、三十一両日に実施した全国電話世論調査によると、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案への安倍政権の姿勢に関し「十分に説明しているとは思わない」との回答が81・4%に上った。「十分に説明」は14・2%だった。

 法案成立後、自衛隊が戦争に巻き込まれるリスクが「高くなる」は68・0%で、「変わらない」26・1%、「低くなる」2・6%を上回った。安倍晋三首相はリスク増を認めていないが、国民の根強い懸念を裏付けた形だ。

 安倍内閣の支持率は49・9%で、四月の前回調査に比べて2・8ポイント減った。不支持率は38・0%(前回34・9%)。

 安保法案そのものについては、47・6%が反対で、賛成35・4%を上回った。

 首相が意欲を示す改憲については、賛成が46・0%、反対は42・1%。今年夏に発表する戦後七十年の首相談話をめぐっては、54・5%が「植民地支配と侵略」への「反省とおわび」を盛り込むべきだとした。

 沖縄県知事が米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)での新基地建設に反対しているのに対し、移設作業を継続している政府の対応をどう思うかと聞いたところ、「作業を停止する」が49・6%、「作業を進める」は37・2%だった。

◆与党支持層も説明要求
 共同通信社の世論調査で、安保関連法案の政府説明に関し、自民党支持層の69・1%、公明党支持層の81・7%が「十分に説明しているとは思わない」と回答した。与党支持層の間でも、安倍首相の説明責任が果たされていないとの認識が高まっている実態が浮き彫りになった。

 「安倍内閣を支持する」と回答した層でも「十分に説明」は24%にとどまり、72%が説明を求めた。

 野党支持層では民主党が92・4%、維新の党は78・3%、共産党は91・2%が「十分に説明しているとは思わない」と答えた。

 法案成立後に自衛隊のリスクが「高くなる」と回答した人を支持政党別にみると、民主党、維新の党、共産党の各支持層で70%を超えた。自民党支持層でも57・7%に達した。一方、公明党支持層は、50・1%が「高くなる」と回答したのに対し、「変わらない」は46・8%だった。


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  社説:安保転換を問う 首相の姿勢
毎日新聞 2015年05月26日

◇決めつけ議論をやめよ
 安全保障関連法案の国会審議がきょうから始まる。自衛隊の海外での活動が飛躍的に拡大し、戦後日本の安保政策の大転換となる法案である。徹底した議論が必要だ。

 そこで注文したい。異論や慎重論に耳を傾けようとしない安倍晋三首相の姿勢をまず改めよ、ということだ。異論を口にするのは「敵」だとばかりに切り捨て、自分の発言は「言論の自由だ」といったような独善的な姿勢のままでは論議が深まるはずがないからだ。

 ◇レッテル貼りはどっち
 首相はよく「レッテル貼り」との言葉を使う。今回の法案を社民党の福島瑞穂氏が「戦争法案」と批判した途端に首相が「レッテルを貼って議論を矮小(わいしょう)化していくことは甘受できない」と反論したのは記憶に新しい。結局、取り下げたが、自民党は一時、福島氏の発言に対し、議事録修正を求める行動にまで出た。

 私たちも「戦争法案」と決めつけるつもりはない。だが、それでは政府が今回、新法を「国際平和支援法案」と命名し、既存10法の改正案を一括して「平和安全法制整備法案」と名付けたのはどうか。これも一方的なイメージを国民に植え付けようとしているだけではないか。

 これは今回の本質的な問題でもある。先の党首討論では民主党の岡田克也代表が自衛隊の危険はこれで増すのかどうか、再三ただしたが、首相は明確に答えようとせず、後に中谷元防衛相は「自衛隊員のリスクが増大することはない」と語った。

 首相は従来「日本が外国から攻撃を受けた際、米国の若い兵士が命を懸けて日本を守るのが今の日米関係だ」と語ってきた。自衛隊も命を懸ける、あるいはその姿勢を示すことが日米同盟を強固にし、ひいてはそれが戦争の抑止になると首相は考えているのだろう。

 だから「今度の法整備で確かに危険は増すが、それを上回る国益がある」と言うのならまだ分かる。都合よくプラス面ばかりを語るのではなく、リスクもきちんと説明し理解を求めるのが首相の責務のはずだ。にもかかわらず「抑止力が高まるから安全だ」と言うだけではあまりにも説得力に欠ける。その一方で「夏までに成立させる」と結論のみを急ぐ。これでは到底賛成できない。

 首相は従来とあまり変わらないとも強調しているようだ。ならばなぜ憲法解釈の変更にまで踏み切り、大幅に法制を作り直すのか。同時に首相や自民党は憲法9条を改正し国防軍を設ける目標は変えていない。そんな中で今回の法制をどう位置づけているのか。疑問点は数多くある。

 こんな一節を紹介したい。
 「正しいと信じたことはすべて国民のためになる、だから何としてでもやり抜くのだという考え方は、一つの選民意識であり、専制政治に通ずる危険がある」

 1960年6月19日、日米安保条約の改定が国会で自然承認されたのを受けて掲載した毎日新聞の社説の一部だ。当時の首相は安倍首相の祖父、岸信介氏である。改定に際し、強行採決などを繰り返した岸氏の姿勢を厳しく批判した社説である。

 ◇リスクも誠実に説明を
 安倍首相はこの安保改定をしきりと持ち出し、「戦争への巻き込まれ論は当時も言われたが、それが間違っていたのは歴史が証明している」と言う。祖父と同様、今は批判があっても後世、評価されると信じているのかもしれない。

 当時、改定により米国の戦争に巻き込まれるという議論があったのは事実だ。ただし先の社説では「新条約が現行条約より改正されている点の多いのは事実」と認めている。過激なデモには毎日新聞など新聞各社が批判し、自制を求めていた。

 あの頃も国民の間には白か黒かだけではない多様な意見があった。それを踏まえて、歴代の政権は憲法9条と日米安保とのバランスを慎重にとってきたのである。

 自衛隊の海外派遣が初めて具体的に国内で議論となったのは90年夏のイラクによるクウェート侵攻からだ。時の海部俊樹内閣は海外派遣に道を開く国連平和協力法案を直ちに国会に提出したが、急ごしらえで憲法との整合性などについて政府の答弁は迷走した。そこで自民党はこれでは世論の支持は得られないといち早く判断し、自ら廃案を決めた。

 後の国連平和維持活動(PKO)協力法も3国会にわたる長い審議を経て成立した。かつての自民党には異論に耳を澄ます慎重さと度量の広さがあった。

 55年前の毎日社説は「正しいと信じ、ためになると考えたら、まず国民を納得させる努力が必要」と書いている。安保政策は国民の十分な理解と納得のうえに成り立つものだ。無論、それは今も変わらない。

      ◇
 国会審議がスタートするのに合わせ、改めて今回の法制の問題点や国際状況、そして日本の将来像についてシリーズで考えていく。 


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