昨日の中日新聞生活面には、稲熊美樹さんの記事、
「<どうなるの?子育て支援>ニーズ高まる認定こども園」が載っていました。
「認定こども園」をたんに目新しい政策ではなく、
じっさいに子育て中の人たちのニーズに合った
使い勝手のよいものにしていくヒントになる内容です。
後半には、昨日に続いて、安保法制審議関連。
きょう届いた中日、朝日、毎日の新聞各紙の社説を紹介します。
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「<どうなるの?子育て支援>ニーズ高まる認定こども園」が載っていました。
「認定こども園」をたんに目新しい政策ではなく、
じっさいに子育て中の人たちのニーズに合った
使い勝手のよいものにしていくヒントになる内容です。
後半には、昨日に続いて、安保法制審議関連。
きょう届いた中日、朝日、毎日の新聞各紙の社説を紹介します。
<どうなるの?子育て支援> ニーズ高まる認定こども園 2015年6月5日 中日新聞 四月に始まった子ども・子育て支援新制度に合わせて、認定こども園がスタートした。保育所と幼稚園の機能を併せ持ち、保護者が働いていなくても入園できる。認定を受けた保育所と幼稚園は全国約二千八百カ所で、昨年度までに認定を受けていた数から倍増。子どもの減少のため、既存の保育所や幼稚園が対応を余儀なくされている。 「保育が必要な子だけでなく、地域の子どもたちすべてを受け入れたいと思った」。四月に保育所から認定こども園に移行した滝の水保育園(名古屋市緑区)の近藤寛園長は、移行の理由を語る。 一九八二年に周辺の宅地開発に先駆けて開園した。しかし近年、子育て家庭は減り、ほとんどの子が遠くから車で通ってくる。緑区全体や周辺の区では、保育を必要とする乳幼児が多いからだ。 保育所の場合、保育の必要度に応じて市がそれぞれの子の保育時間を認定し、入所先を決める。園の近所に住んでいても、保護者の労働時間が短く、必要度が他の子より低いとみなされれば、入所できない場合がある。 近藤園長は、地域の子どもが自分の園に通えない現実に頭を痛めていたといい、「地域に根ざした園でありたい」と移行を考えたという。同園は、認定こども園の四類型のうち、全体の七割を占める「幼保連携型」。ゼロ歳児から就学前までの保育と幼児教育を担う。 保護者のメリットは、保育所に通園する子どもの保護者が年度途中で仕事を辞めると、子どもは退園しなければならなくなるが、認定こども園であれば、そのまま同じ園に通い続けることができる。 入園手続きでは、保護者は園と直接契約を交わし、保育料も園に支払う。保育料は保護者の所得に応じた応能負担。保護者の収入に応じて授業料の一部が補助される幼稚園の就園奨励費はない。職員は、保育士と幼稚園教諭の両方の資格を持つ「保育教諭」だ。 幼稚園は調理室が必要ないが、幼保連携型では整備が義務づけられており、移行のハードルは高い。ゼロ~二歳児受け入れ義務はなく、待機児童の解消につながるか不透明だ。 幼稚園から幼保連携型に移行した「ゆうか幼稚園」(愛知県岩倉市)は四月に初めて、一、二歳児計二十人を受け入れた。調理室も新設し、新たに乳児の保育を担当する職員を採用した。地域では今後、少子化が予想され「園の存続に危機感があった」という。 かみいしづこどもの森(岐阜県大垣市)は、地域で唯一の幼稚園機能を果たそうと、保育所から移行した。これまで保護者は無理やり働くなどして保育所に子どもを入所させていたが、そうした無理を解消できたという。脇淵竜舟園長は「潜在的に幼稚園のニーズは感じてきた。子どもの数が減っているが、子どもたちに集団生活をさせてあげるためには、努力しないと」と話す。 <榊原博美・愛知学院大准教授(社会教育・保育学)の話>現状では認定こども園は単なる看板の掛け替え。教育を掲げるのなら、国民として幼児教育をどうしていくのか議論が必要だ。 <塩崎美穂・日本福祉大准教授(教育学)の話>単なる施設の一体化ではなく、幼稚園と保育所で積み上げてきた文化の多様性を包摂して維持していくような、本当の幼保一元化に向けて歩きだすしかない。 (稲熊美樹) |
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社説:安保法制審議 違憲でも押し通すのか 2015年6月6日 中日新聞 やはり憲法違反との疑いは免れない。集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法制である。安倍内閣は憲法学者の指摘を重く受け止め、「違憲法案」を強引に成立させることがあってはならない。 粋な人選か、それとも「墓穴」を掘ったのか。政権与党の自民、公明両党などが衆院憲法審査会の参考人として推薦した有識者が、政府提出の安全保障法制を憲法違反と断じる異例の展開である。 四日の同審査会で自公両党と次世代の党が推薦した長谷部恭男早稲田大教授が、集団的自衛権の行使を認めた昨年七月の憲法解釈変更に基づく安保法制について「従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつかず、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘した。 民主党推薦の小林節慶応大名誉教授と維新の党推薦の笹田栄司早稲田大教授も同様に違憲との見解を示した。妥当な指摘だろう。 憲法九条は、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇と武力の行使を放棄している。憲法で許される自衛権の行使は、日本を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権の行使はその範囲を超え、憲法上許されない。政府はそうした憲法解釈を堅持してきた。 長年の国会審議を通じて積み重ねてきた集団的自衛権の行使を違憲とする憲法解釈を、安倍内閣が一内閣の判断で変え、行使容認を反映した安保法制の成立を強引に図ることはやはり許されない。 ところが、安倍内閣は意に介していないようである。 菅義偉官房長官はきのうの記者会見で「現在の解釈は、従来の政府見解の枠内で合理的に導き出せる。違憲との指摘は当たらない」と強調し、中谷元・防衛相も衆院特別委員会で「憲法解釈(変更)は行政府の裁量の範囲内で、憲法違反にはならない」と述べた。 法律が憲法違反か否か、最終的に決定する権限を持つのは最高裁判所ではある。 しかし、著名な憲法学者がそろって、それも国権の最高機関である国会で、安保法制=違憲論を展開したことの意味は重い。 長谷部氏ら三氏以外にも、全国の憲法学者二百人近くが法案に反対する声明を出している。 政府は法案撤回に応じるか、せめて今国会成立は断念すべきだ。憲法学者の警告を無視し、国会での議論も尽くさず、「夏までに」という米国との約束を盾に、違憲法案の成立を急ぐべきではない。 |
社説:「違憲」法制―崩れゆく論議の土台 2015年6月6日 朝日新聞 およそ法たり得ないものが国会で論議されているという根本的な指摘に、政府と与党は耳を傾けるべきだ。 国会で審議が続く安全保障関連法案は憲法に違反する。集団的自衛権の行使を認めるという中身も、憲法改正をせずに事実上の改憲をしようとする手続きのいずれにおいても――。 衆院憲法審査会で憲法学者3人がそろって「憲法違反」との見解を示した。ほかの多くの憲法学者や日本弁護士連合会も相次いで声明を出している。 日本は立法、行政、司法が分かれ、互いに監視しあう三権分立をとる。しかしこの相互チェックは、その響きが与える印象ほど行き届いてはいない。 たとえば、違憲のおそれが強い法がうまれようとするとき、「憲法の番人」といわれる最高裁に出る幕はない。 ドイツなど一部の国には憲法裁判所があり、それぞれの法律が憲法に適合するか直接判断する。日本はそのしくみをとらず、裁判所に持ち込まれた個々の事件について判断する。 つまり、違憲のおそれがある法律については、それによってもたらされた結果について異議や救済を申し立てる裁判が起こされ、そこで初めて司法のチェックが入るのだ。 裁判になっても、訴えた人の権利が実質的に侵害されたとみなされなければ、違憲かどうかの本題に入る前に門前払いされることもある。司法チェックはかなりの時差と回り道を伴う。 今回の安保関連法案も、仮に国会で成立したら、司法判断が示されるのは、自衛隊員が死傷したり、自衛隊の行為で外国人が危害を受けたりして、訴訟になってからかもしれない。 だからこそ法を世に出す国会の責任は重い。国会は、みずからの立法行為が将来の司法による審判に本当に堪えうるものなのかどうか、入念に審査する必要がある。その責任が三権分立には織り込まれていると考えるべきだ。 専門家からの相次ぐ疑義の声を受けて、きのうの衆院特別委員会で、民主党議員は法案撤回を求めた。 内閣の提出した法案が、国会の場で次々と「違憲」の烙印(らくいん)を押されるのは異常事態と言うほかない。もはや論議の土台が崩れつつあるのではないか。 ところが、中谷防衛相ら政府側は「行政府による憲法解釈の裁量の範囲内」と言い切る。 根源的な問いかけを無視し、なにごともなかったかのように国会審議を続けるとしたら、法治国家の体をなさない。 |
社説:安保転換を問う 「違憲法案」見解 毎日新聞 2015年06月06日 ◇根本的な矛盾あらわに 集団的自衛権の行使は、憲法上「許されない」としてきた解釈を「許容される」へと逆転させる。こんな解釈改憲を認めれば、憲法の規範性は損なわれ、憲法に対する国民の信頼は失われかねない。安全保障関連法案がもつ根本的矛盾が改めて突きつけられたと言えよう。 衆院憲法審査会で、与野党の推薦により参考人として出席した憲法学者3人がそろって、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案は「憲法違反」との見解を示した。 とりわけ自民党が推薦した長谷部恭男・早稲田大教授までもが違憲と断じたことを、政府は重く受け止めるべきだ。長谷部氏は「従来の政府見解の基本的論理の枠内では説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と強い懸念を示した。 この機会に今一度、憲法と集団的自衛権の関係を整理しておきたい。 憲法9条は、戦争を放棄し、戦力を持たず、交戦権を認めないと定めている。ただ、憲法前文の平和的生存権と13条の幸福追求権から、自衛のための必要最小限度の武力行使は認められると解釈される。一方、日本が直接攻撃されていないのに、他国への攻撃に反撃する集団的自衛権の行使は、必要最小限度の範囲を超え、憲法上許されない−−。歴代政権はこのように解釈してきた。 ところが安倍政権は、自衛のための必要最小限度の武力行使は認められるという考え方は維持しつつ、安全保障環境が変わったため、その中に集団的自衛権の行使も一部、含まれると、解釈を変更した。 憲法学者からの「違憲」との指摘に対し、菅義偉官房長官は「憲法解釈として法的安定性や論理的整合性は確保されている。違憲という指摘はあたらない」と語った。中谷元防衛相も「行政府の憲法解釈の裁量の範囲内だ」と述べた。 だが、安全保障環境の変化という抽象的理由で結論を正反対に変える憲法解釈変更について、法的安定性は維持されていると強弁しても説得力はあるまい。 憲法審査会では、自衛隊による他国軍への後方支援も議論になった。 長谷部氏は、関連法案で後方支援の範囲が広がることについて「武力行使と一体化する恐れが極めて強い」と違憲の恐れを指摘した。 小林節・慶応大名誉教授も「後方支援は日本の特殊概念で、戦場に後ろから参戦するだけだ」と語った。 関連法案の根幹をなす集団的自衛権と後方支援の2分野で、重大な違憲の疑義が示された。与野党は、憲法との関係について、集中審議を開くなど徹底的に議論すべきだ。 |
最後まで読んでくださってありがとう
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