みどりの一期一会

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<空き家820万戸>過疎地の実家の管理、懸念(白井康彦)/空き家対策法 住宅文化を見直す契機

2015-06-04 18:35:20 | ほん/新聞/ニュース
留守中に雨が降ったので、
庭の木々は緑が濃くなったような気がします。

茂っていた雑草がきれいになくなっていて、
薪割の時に出たチップを敷いてもらってあったので、
お庭らしくなりました(嬉)。


矮性タイサンボクの大きなつぼみもほころんで、
いくつかは葉の間で開花しています。


夕日を浴びるバラとくちなしの花。




今朝の中日新聞生活面に、「空き家対策特別措置法」施行を受けて、
白井康彦さんのかかれた記事が載っていました。

山県市にも、北部の中山間地では空き家が増えていて、問題は切実です。
同じように、全国各地の過疎地で、特別措置法への対応が迫られるのでしょうね。
田舎には、都市の空き家とは別の問題があり、
その対策や法の運用も、同じというわけにはいかないと思います。

  <空き家820万戸> 過疎地の実家の管理、懸念

 先月二十六日に全面施行された空き家対策特別措置法。本紙生活部に「空き家所有者の負担が重くなる」と、長野県の山に囲まれた町に住む七十代後半の男性から電話があった。「近く住む家が空き家になる」という男性を小さな集落に訪ねた。

 人口五千人未満の山深い町。築四十年近い平屋建ての一軒家は、小高い坂の途中に立つ。「この家を相続する人は誰もいない」。一人で住む男性は言う。

 もともとは、男性の両親が住んでいた。男性は車で片道二時間ほどかかる別の地域で働いていたが、退職後、父親の死去もあってこの地に転居。父親の仕事を引き継いでいる。以前働いていた地域に建てた家には、妻が一人で住む。

 「長男は県内の遠い地域にマイホームを構えた。長女も嫁に行ったので戻ってこない」

 男性も、今の仕事を近いうちに辞め、元の家で妻と一緒に暮らすつもりだ。そうすると今の家は空き家に。定期的に通って管理しないと、家が荒れて特別措置法の「特定空き家」に指定される可能性もある。政府は先月、おおむね三度超の建物の傾斜、ごみの放置による悪臭の発生などを、特定空き家に指定する基準として示した。

 特定空き家になり、問題箇所の改善を勧告されると、敷地の固定資産税が六倍になることもある。「今は畑などを合わせても固定資産税は年間二万円しないが、六倍となれば大きな痛手」。解体すれば周囲に迷惑をかけることはなくなるが、解体費用は百万円ほどになりそう。「大幅に固定資産税が増えるのも、解体費用を捻出するのもどちらもきつい」

 男性宅周辺を歩くと、空き家と思われる建物が十軒ほど。ネコやイタチがわが物顔で出入りする家に、植物が生い茂り傷みが激しい家…。

 管理し続けるか、更地にするか。特定空き家指定を避ける選択肢はそう多くない。それだけに、空き家の所有者となる可能性がある場合は、早めに親族らと協議し、将来にわたる対応を考えておかないと、急に負担増を強いられることになりかねない。

◆実質はマイナスの財産
 空き家問題に詳しい不動産コンサルタント会社「オラガHSC」代表取締役の牧野知弘さん(55)=写真=は、活用できない空き家を「負動産」と呼び、「不動産は資産」との認識に待ったをかける。空き家問題をどう考えるか聞いた。

 -空き家の問題は、全国的に深刻さが増している。
 不動産の所有者には漠然と「流動性があるから大丈夫」と考えている人が多い。しかし、人口減少が進み、買い手や賃借人が見つかりにくい地域が増えている。空き家は以前は地方の問題だったが、今は大都市郊外の地域や東京二十三区内でも目立ち始めている。

 -「負動産」との言葉に込めた意味は。
 管理が大変な上、固定資産税を払わなくてはならない。解体にも二百万円以上の費用がかかるケースも。高齢の親の実家を「相続したくない」と子どもたちで押しつけ合うことも多い。こうした物件は資産とはいえない。実質的にはマイナスの財産だ。

 -特別措置法により、問題解決は進むか。
 周囲に危険を及ぼす可能性がある空き家を何とかしようという対症療法的な施策。今ある空き家だけでなく、大量に存在する「空き家予備軍」を含めて、多くの人が知恵を絞り対応を考える必要がある。
 (白井康彦) 


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 全国で増殖する「放置された空き家」 倒壊寸前の建物を「強制解体」するための新制度(弁護士ドットコム-2015/06/01) 

 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26 年法律第127 号)の概要

  社説:空き家対策法 住宅文化を見直す契機 
毎日新聞 2015年05月30日 

 空き家対策特別措置法が全面施行された。所有者の管理が行き届かず、倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家について、市町村が撤去命令を出せる権限を新たに定めた。
 空き家は全国に約820万戸あり、全住宅の7〜8戸に1戸の割合だ。今も増え続け、20年後には3戸に1戸になるとの予想もある。

 防災や防犯、生活環境などさまざまな面で空き家の増加は問題が大きい。老朽空き家の撤去はやむを得ない。同時に将来を見据え、法の施行を住宅文化を見直して空き家を減らす契機としたい。

 特措法は、放置され近隣の生活環境に悪影響を及ぼす空き家などを「特定空き家」と定義する。市町村は立ち入り調査し、撤去や修繕を所有者に指導、勧告、命令できる。勧告後は固定資産税の優遇措置が解除される。命令違反には過料が科せられ、強制的な解体もできる。

 特措法は空き家所有者に適切な対応を促す面では有効だ。ただし、空き家を減らすには、空き家の活用を進める施策が欠かせない。

 日本の住宅総数は6000万戸を超え、既に総世帯数を上回る。それでも年間100万戸の新築住宅が建てられる。住宅の建築戸数が景気判断の材料とされ、景気対策として建設が促進されてきたからだ。税制面などで新規住宅の購入を促す施策も建設を後押しした。

 だが、これから本格的な人口減少社会を迎える。新たな住宅を増やせば空き家も増え、街の衰退につながりかねない。中古住宅の流通を活発化させる方が望ましいだろう。

 日本の全住宅流通量に占める中古住宅の割合は約15%にすぎない。良質の住宅に手を入れて長く住み続ける欧米と比べ格段に少ない。国土交通省の審議会で、住宅政策の見直しについて議論が始まる。中古住宅の活性化策を示してほしい。

 市町村など自治体の知恵も試される。空き家を取り壊し、災害時の避難場所にしたり、移住者を呼び込む手段として活用したり、空き家率の比較的高い地方の都市でもさまざまな試行がされている。

 東京23区で唯一、将来の消滅可能性都市に挙げられた東京都豊島区は、シングルマザーや高齢者ら住宅が必要な人を空き家に呼び込む支援をしている。民間と協力してリノベーションと呼ばれる大規模改修で中古住宅をよみがえらせる取り組みも始めた。実際の物件の再利用計画を競わせる講座を開き、所有者と合意し実現に向けて動き出した事案もある。

 空き家の活用は、新たな街の魅力を開拓し、街を活性化することにつながるだけに、自治体は一層力を入れてもらいたい。 


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