みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

感激を忘れぬために 憲法公布70年/断熱カーテンつけました。キンリョウヘンの花芽つきました。

2016-11-04 21:19:05 | 花/美しいもの
寒くなってきたので、台所とのしきりにつけてあった遮光カーテンを洗って、
新しく買ってきた遮熱カーテンにかえました。

部屋のしきりに使っているるものと同額でしたが、
ちょっと品質のグレードが上がったとのこと。
薄いカーテン一枚で、勝手口の方からの冷気が遮断されたみたいです。

カーテンは、太い梁の裏側に沿って、
曲がるカーテンレールを設置して、そこにつけました。

台所側から見ると、こんな感じです。
  

11月になって最低気温も10度を切るようになってきてので、
キンリョウヘンの水やりも、暖かい日の午前に控え気味にしています。

最低気温5度を切ると室内に取り込むのですが、
それまでは、できるだけ日光に当てた方がよい花が咲くので、
ぎりぎりまで外で育てています。

そんな努力の甲斐あって、キンリョウヘンに花芽が付きました。

いまは明かな花芽がついているのは、
5鉢くらいですが、今年はたくさんの花芽が期待できそうです。


キンリョウヘンの花は、日本ミツバチを誘引するために必要不可欠なのですが、
開花鉢は、花芽一本でも3000円位と、とても高価です。

素人が確実に花を咲かせるのはむずかしいと言われていて、
花が咲く時期以外は、植え替え、水やり、施肥、陽当たり(遮光)、
置き場所など、ずっと気配りしながら鉢を管理しています。

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

ところで、
昨日11月3日は、日本国憲法が公布されて70年目の節目の日。
平和憲法がないがしろにされ、改憲されようとしている状況のなか、
あらためて、憲法の意味と意義をこころに刻む。

  社説:感激を忘れぬために 憲法公布70年 
2016年11月3日 中日新聞

 七十年前のきょう、日本国憲法が公布された。戦争犠牲者を思い、国内外に不戦と平和を宣言したのだ。その感激を忘れぬよう努めたいと思う。

 「今日は何といふ素晴らしい日であつたか」

 元首相の芦田均は憲法が公布された三日の夜、日記の冒頭にそう記した。「生(うま)れて今日位感激にひたつた日はない」と続く。

 その日は午後二時から東京の皇居前広場で祝賀大会が開かれていた。日記は描写する。

戦争犠牲者を忘れるな
 「秋晴(あきばれ)に推進されて数十万の民衆がこの広場に集つて来た。一尺でも式場に近附(づ)かうとして左に揺れ右に揺られつゝ群集は汗をふいてゐ(い)る」

 両陛下が馬車で二重橋を出ると群衆は帽子やハンカチを振った。楽隊が「君が代」を奏すると一同が唱和した。芦田は涙をこぼした。周囲の人も泣いていた。

 「陛下が演壇から下りられると群集は波うつて二重橋の方向へ崩れる。ワーッといふ声が流れる。熱狂だ。涙をふきふき見送つてゐる。群集は御馬車の後を二重橋の門近くへ押(おし)よせてゐる。何といふ感激であるだらう。私は生れて初めてこんな様相を見た」

 中部日本新聞(中日新聞)は翌日の朝刊一面に「憲法公布、感激裡(り)に挙式」、社会面に「都に鄙(ひな)に表情は明るい」と見出しを立てて報じている。

 芦田は憲法原案を審議した衆院小委員会の委員長であり、その年の八月二十四日には衆院本会議で次のように語っている。

 「戦争放棄の宣言は、数千万の犠牲を出した大戦争の体験から人々の望むところであり、世界平和への大道である」

 この憲法は多くの戦争犠牲者の上に成り立っていると同時に、当時の人々が強く平和を望んだ上に立ってもいる。それを忘却してはならない。

流血と無血二つの道
 終戦の一九四五年を中心として、コンパスを回すように歴史をさかのぼってみよう。

 ちょうど七十一年前にあたる一八七四年には台湾出兵があった。明治政府による最初の海外派兵だった。九四年からは日清戦争、一九〇四年からは日露戦争をした。ロシア革命を受けて、一八年からはシベリア出兵、二七年から三度にわたり中国への山東出兵…。

 三一年には満州事変を起こした。三七年からは泥沼の日中戦争へ、さらに四一年からは無謀な太平洋戦争へと突き進んだ。

 富国強兵策から「世界の一等国」になりつつ、結局は破滅の道をたどったのである。国内外での「流血の歴史」である。

 ひるがえってコンパスを四五年から二〇一六年の今日まで回してみれば、この七十一年間は「無血の歴史」である。根幹に平和主義の憲法があったのは疑いがない。

 先人たちは実に賢明であった。憲法の力で戦争を封じ、自由で平和な社会を築いたからだ。

 それを考えれば、今は大きな歴史の分岐点にある。歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の行使を解釈改憲によって認め、安全保障法制を数の力で押し切った。

 軍事的価値を重んずるかのような政権である。次に目指しているものは、憲法改正なのは明らかであろう。

 国民が求めていないのに、受け入れられやすい改憲名目を探す。この「お試し改憲」は目的がないという意味で動機が不純だ。

 「改憲のための改憲」は権力の乱用であるという指摘がある。

 今、われわれが見ているものは、専制主義的な権力の姿ではなかろうか。

 「憲法の番人」たる内閣法制局、日銀、公共放送たるNHKの人事…。民主制度に仕組まれたさまざまな歯止めを次々とつぶしてから進んできた。いくら党是といえど、戦後でこれほど憲法を敵視する政権はなかった。

 明治時代には自由民権運動があり、さまざまな民間の憲法私案がつくられた。その中に植木枝盛(えもり)という人物がいた。思想家であり、第一回衆院選挙で当選した政治家でもあった。「東洋大日本国国憲按(あん)」という憲法案を書いた。

世に良い政府はない
 人民主権や自由権、抵抗権などを求めた先進的な案である。彼には「世に良政府なる者なきの説」という演説原稿がある。

 人民が政府を信ずれば、政府はそれに付け込んで、何をするかわからない。世に良い政府などないと説いた。一八七七(明治十)年の言説として驚く。こんな一句で締めくくられる。

 「唯一の望みあり、あえて抵抗せざれども、疑の一字を胸間に存し、全く政府を信ずることなきのみ」

 「疑」の文字を胸に刻んで、今の政治を見つめよう。 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甘い!極早生みかん「日南の姫」実りました。柑橘類の収穫の時期を迎えました。

2016-11-03 08:45:12 | 有機農業/野菜&ハーブ
そろそろ早生ミカンが色づくころかな、と思って見に行ったら、
オレンジ色の実がたくさんついています。

茂った夏草を倒しながら、蜜柑の木にたどり着きました。
ざっと数えると、50個以上あるでしょうか。
ラベルを見ると、「日南の姫」(ひなのひめ)です。

日南の姫:早生みかん露地栽培 北関東の地で!!(NHKみんなの園芸) 
果肉早熟型だから完全に着色しない青きりでも甘い
寒さに比較的強い

 

ミカン類の基本情報(NHKみんなの園芸)

 日南の姫(ひなのひめ)
●品種の特徴
「日南1号」の枝代わり品種。作りやすく豊産性。
「日南1号」と比較し、樹勢は同じかやや強いです。減酸は10~15日程度、着色は一週間早く、9月20日には完全着色します。
この品種は早い時期からの収穫が魅力のひとつですが、もうひとつ重要な魅力が味です。
9月に色づくこの品種を11月まで収穫を我慢して樹上完熟させます。
すると、めちゃめちゃ甘い♪営利目的ではない家庭果樹の幸せな食べ方です。
糖度10~11度、1果120gくらい。早く熟する極早生みかんです。

花の香りは南国チックな、あまぁ~い香りです。いい匂いです!!

 

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

樹の南側の色づいて実を数個収穫。
まず一個試食してみました。
  
皮は薄くてむきやすく、じゅうのうも薄いです。
口に入れてみると甘い!
わずかに残るすっばさで、より味が濃く感じられます。

皮に青みが残っていても甘いので、
猿に食べられないうちに、と20個ほど収穫しました。



11月に収穫してすぐに食べられる蜜柑は貴重です。、
きれいに洗って、毎日順番に食べるのが楽しみ。
残りは、樹についたまま完熟させます。

これから収穫する柑橘類は、
まだ青いのて色づいたら順次とる予定です。

石地温州みかん
中生品種で、11月中・下旬に成熟する。浮き皮になりにくく、完熟するまで樹上に置けるため、非常に食味がよい。
 

じゃばら
  

花ゆず


種無しきんかん「ちびまる」


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月2日(水)のつぶやき

2016-11-03 01:08:26 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

配偶者控除 廃止見送り=中村かさね(生活報道部)/秋サケの中骨のホイル焼き

2016-11-02 18:53:28 | ほん/新聞/ニュース
北方のアピタにカレーうどんを食べがてら、
何かおいしい魚はないかと寄りました。

まぐろのお刺身などを見て回って、
店頭販売のお魚のなかに、鮮やかな赤色をした、
大きな秋鮭の中落ち(中骨部分)のアラが置いてありました。

売りものか聞いてみたら「200円」とのこと。
ズッシリと重い中骨には、おいしい身がまだたくさんついています。

ロースターで焼くと身が下に落ちてしまうので、
アルミホイルでくるんで、フライパンで焼きました。
  
油分も落ちなくて、ふっくらとおいしいです。

メバチマグロのお刺身も買ったのですが、
これだけで満腹になりました。

秋鮭を食べているときに、ちょうど
「その差ってなんですか?」というTV番組を見ていました。

いまが旬の秋鮭と銀鮭と紅鮭の違いは
「そもそも種類が違う」。

秋鮭
  
銀鮭
    
紅鮭
  
とれる海域も違い、油ののり方も違うとのこと。



一番あぶらがのっているのは、
銀鮭で、紅鮭、秋鮭の順。

秋鮭はさっぱりしていて、ホイル焼きがよいととのこと。
  
ちょうどホイル焼きを食べているところでした(笑)。

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

昨日の毎日新聞の【記者の目】に、
岐阜支局にいらっしゃった中村かさねさんの、
「配偶者控除 廃止見送り」の署名記事が出でいました。

中村さん記事を読んで共感しました。
以下に紹介させていただきます。

  【記者の目】配偶者控除 廃止見送り=中村かさね(生活報道部)
毎日新聞2016年11月1日
 
「働き方改革」に逆行
 性別による役割分担の意識の壁は、これほどまでに高く分厚いのだろうか。


 配偶者控除の廃止が、またも見送られた。「廃止」から一転、控除適用の年収を103万円から150万円程度に引き上げる方向で議論が進んでいる。

 私は3年前にこの「記者の目」で、女性活躍には「男性の家事・育児参加」とそれを可能にする「働き方」が必要だと訴えた。手始めとして、育児休業期間の一部を父親に割り当てる「パパ・クオータ制」の導入を提案した。

男女の役割分担固定にお墨付き
 今秋、政府は「ニッポン1億総活躍プラン」の目玉として働き方改革に本腰を入れ始め、「パパ・クオータ制」の導入もようやく厚生労働省が検討を始めている。求めたいスピード感には足りないが、着実に時代は変わりつつあると実感している。

 だからこそ、配偶者控除の廃止見送りには驚きと怒り、深い失望を感じている。配偶者控除はいわゆる「内助の功」に配慮し、専業主婦や夫の扶養内で働く妻を優遇する仕組みだ。この仕組みの適用を拡大することは、国の税制が「男は仕事、女は家庭」という男女の役割分担にお墨付きを与え、固定化することになるからだ。

 10月、見送りについて問われた加藤勝信1億総活躍担当相は「家庭における配偶者の貢献をどう評価すべきかとの議論もある」と言葉を濁した。「家庭における貢献」とは何だろうか。時間の長短はあるが、独身でも共働きでも、家事・育児は誰かがやっている。家庭内貢献を持ち出すなら、育児や介護に控除を設ければよい。年収で線引きする必要はないはずだ。

女性活躍の推進、国はかじ取りを
 そもそも、高度成長期の1961年にできた配偶者控除という制度は、すでに時代遅れで矛盾だらけの仕組みとなっている。まず、労働人口の確保が喫緊の課題になった中で、年収を抑えて働こうという方向へ女性を誘導する制度自体が大きな矛盾をはらんでいる。共働き世帯や単身世帯との公平性にも欠ける。

 企業が支給する配偶者手当から派生する問題の元凶にもなっている。専業主婦の妻がいる男性正社員に手当を支給することは、企業内の女性活躍とも矛盾する。家庭責任を引き受ける妻の存在は、夫に家庭を顧みずに働ける環境を与えることになる。男女の賃金格差や正規・非正規の賃金格差の助長にもつながるし、政府が進める働き方改革にも逆行する。

 女性の働き方について取材を続ける中で、見えてきたことがある。国と企業は、人口減少と少子高齢化という危機意識を共有し、女性活躍に活路を見いだしている。今春には女性活躍推進法も施行され、企業はこぞって女性が働きやすい制度設計や管理職登用に力を入れ出した。一方、「性別役割分担意識」の壁はあらゆる場面で強固に立ちはだかっている。この国の制度に、そして私たちの意識の底に今も根強く残る男女の役割意識こそが、女性活躍や働き方改革をめぐる流れの中で最大の障壁となるのではないかと懸念している。

 いくつか例を挙げたい。
 年収を配偶者控除や社会保険の扶養適用枠に抑えて働く女性を取材すると、「家庭に支障のない範囲で働きたい」という言葉をよく耳にする。女性自身が希望している場合もあれば、夫がそう要求している場合もある。「働いていても家庭責任は妻にある」という無意識の思い込みは、男女問わず誰にでもある。

 管理職クラスの女性も同じだ。取材で子どもの有無を尋ねると、子どもがいない場合の2回に1回は「すみません」という言葉が返ってくる。「仕事と育児を両立しながら昇進」というストーリーを美談として取り上げるメディアにも原因はあるが、同じ質問を男性にしても謝罪の言葉はまず出ない。

 保育園の待機児童問題に苦しむ母親への取材でも同じ違和感を持つ。「保育園が見つからなければ仕事を失ってしまう」と訴える0歳児の母親の多くは正社員として働いているが、夫と育休を交代して復職しようと考える人は過去に1人しかいなかった。厚労省は法定育休期間を1年半から2年に延長して一定期間を父親に割り当てることを検討しているが、よほど強力な取得促進策がなければ現実的には機能しないのではないか。

 残念ながら、「性別役割分担意識」の壁を取り払う奇策は思いつかない。海外のクオータ制のように、国がトップダウンで社会を変えようと思い切りかじを切る以外に方法はないと思う。そのためには政策決定の場に女性を大幅に増やし、役割意識を固定化する制度を撤廃することから始めたい。


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

11月1日(火)のつぶやき

2016-11-02 01:07:36 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<なくそう長時間労働>人間つぶす企業の論理(三浦耕喜)/煮豆、厚揚げ、おいしい大豆料理。

2016-11-01 20:51:02 | ほん/新聞/ニュース
この地方特産の粒が大きくて味のよい
「目黒大豆」で煮豆をつくりました。

まずは豆を洗って、沸騰したら火を止めて、
乾燥大豆をお湯に入れて、そのままふたをして待つこと45分。
これで豆は戻るので、あとは昆布と減塩の醤油で味付けをして、
圧力鍋で10分ほど煮ます。

圧力が抜けたら、ほどよく煮えています。
蓋を撮って5分ほど煮て水分を減らします。
この時、好みで蜂蜜かみりんを入れると、ほんのり甘みが付きます。

大量に入れた真昆布は、蕎麦屋さんでもらってきたもの。
  
イオンのローストチキンとキャベツの千切りでヘルシー夕食です。  


つれあいが好きなのは、お揚げをシンプルに焼いたもの。
  
フライパンで油をひかずに焼いて、
お味噌をかけて、サンショと一味をひと振り。
  
デザートに好物の洋ナシをオマケ(笑)。

応援クリック人気ブログランキングへ してね 

ところで、
昨日の中日新聞生活面には、「<なくそう長時間労働> 人間つぶす企業の論理」の記事。
ちょうどNHKを見ていたら、「和食 さと」が従業員に違法な時間外労働をさせた上に改ざんしたとして、
労働基準法違反容疑で大阪地検に書類送検されたことをやっていました。

企業が違法な長時間労働を偽装して、時間外手当を払わない問題は、
わたしが働いていた当時から、ちっとも変わっていないなぁと思います。

  <なくそう長時間労働> 人間つぶす企業の論理
2016年10月31日 中日新聞

 長時間労働が人間をつぶしている。広告大手電通の新入社員高橋まつりさん=当時(24)=が昨年十二月に過労自殺した問題は、あらためて長時間労働による負担がいかに大きいかを浮き彫りにした。政府も「働き方改革実現会議」で長時間労働を抑える議論に着手したが、長時間労働をよしとする風潮をどうなくすのか。一人一人の意識が問われている。

◆残業月200時間超、うつに
 百五、百十一、百十六…。名古屋市の男性(50)は「時間外労働時間」と書かれた月ごとの数字をたどりながら、発病四カ月前の欄で指を止めた。「二百六時間」。二百時間超を含む百時間以上の残業に五カ月以上従事した末、二〇一二年九月にうつ病と診断され、仕事を休んでいる。

 大手電機メーカーで三十年間勤務してきた。発病した当時は、ある企業のシステムづくりに参加。プロジェクト副マネジャーとして顧客対応やスケジュール管理に当たった。システムづくりは遅れ気味で、顧客からは仕様変更をたびたび求められた。「上司に人手を増やすよう求めたが、予算を理由に断られた」。増えた仕事は責任者の自分が担った。

 昼は顧客への説明やクレーム対応でつぶれる。課題をまとめる時間は夜しかない。午前零時まで働いても足りず、土日も仕事した。

 残業が常となっていることを背景に、会社は労働組合と、繁忙期には三カ月で四百時間までの残業を認める協定を結んでいた。このため上司が「百時間以上の残業は付けられない」と暗に減らした残業時間を申請するよう求めたため、男性は「午後九時前には終えたことにして、百時間以下になるようつじつまを合わせた」と言う。

 男性が労災申請すると、会社は「自己申告に基づいて管理していた」と主張したが、仕事で使うパソコンの起動と終了時刻が記録に残っていた。これを証拠に、労働基準監督署は残業時間を認定。一五年一月に労災として休業保障給付の支給が決定した。

 男性は「仕事が増えるのは仕方ないが、現場任せで会社は人の手当てなどまともに対応しなかった。長時間労働が続くことを異常と捉えて、チェックする姿勢がない」と断言する。

 長時間労働に甘いルールと、実態を把握しない会社。長時間労働が常態化している職場に共通する課題だ。

 政府は今月七日、過労死等防止対策推進法に基づく初めての「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。この中で、過労死ラインとされる月八十時間を超えて残業をした社員がいる企業が二割を超えているとの調査が明らかになった。

 業種別では情報通信業の44%が、「正社員の残業時間が、最も長かった月で八十時間超」と回答。学術研究・技術サービス業が40%、運輸業・郵便業が38%と続く。理由は「業務量が多い」「人員が不足」が多かった。健康を損なう長時間労働を前提として、業務が組まれていることをうかがわせている。

 だが調査は、任意のアンケートに基づくもの。対象となった企業は約一万社だが、回答は千七百社余りだ。回答率の低さに加えて、この男性のように労働者が残業として申告できなかった時間外労働は「サービス残業」扱いとなり、企業は把握しないことになる。調査は、現実の一部を表すものでしかない。

◆法に抜け穴、労組もジリ貧
 過労死やうつ病に追い詰めるほどの長時間労働が広がっているのはなぜか。背景には長時間労働が合法化される制度がある。

 労働基準法三二条では、使用者に対し「週四十時間を超えて労働させてはならない」「一日について八時間を超えて労働させてはならない」と定める。「ならない」とある以上、一日八時間、週四十時間は働く上限というのが大前提だ。

 だが、これを超える時間外労働を認めるのが三六条だ。使用者と労働者が協定を結び、労働基準監督署に届け出れば「協定で定めるところによって労働時間を延長し、休日に労働させることができる」としている。「三六(サブロク)協定」と呼ばれる。

 三六協定にも一応は上限がある。厚生労働省の「時間外労働の限度に関する基準」では、一般労働者の場合、時間外労働の上限は月四十五時間、年三百六十時間などと定められている。

 しかし、ここにも抜け穴がある。「臨時的・特別な事情」を想定して、「特別条項付き協定」を労使で結んでおけば、この上限を超えて働かせることができる。運輸関係会社の社員が、事故が起きれば徹夜で復旧させなくてはならない、というのが典型的な例だが、「納期が迫る」「大きなクレームに対処」など、通常業務にも広く認められているのが実態だ。

 組織率が二割を切って労働組合の力が弱くなっている中で、労使が協定を結んでチェックを図る手法にも限界がある。個人加盟労組によると、会社側が都合のいい従業員を労働者の過半数を代表する者にするよう働き掛ける場合もある。

 過労死問題に詳しい岩井羊一弁護士は「非正規雇用が増え、働く者の立場はますます弱くなっている。国は労使の力関係の現実を直視すべきだ」と話す。
 (三浦耕喜)

◆残業上限、罰則付き法規制を
 長時間労働を抑えるかぎは何か。政府の「働き方改革実現会議」に参加している白河桃子(とうこ)相模女子大客員教授に聞いた。

 -長時間労働の問題点は。
 労働時間が青天井となっている現在、独身者には婚活の時間がなく、結婚していても男性の育児参加は望めない。超少子化が進み、労働人口は減る一方だ。子育てや介護など制約の多い人たちの働きが評価されずに退職を余儀なくされれば、家計も縮小し、消費も減退する。一人一人の暮らしに力を付けなければ、国力も衰退していくのは明らかだ。

 長時間労働にふたをすることこそ、少子化対策、介護離職防止、女性の活躍、男性の家庭参加など、さまざまな改革をもたらすために効果的だ。

 -是正のポイントは。
 三六協定で定める残業時間の上限を法改正により罰則付きで規制することだ。各企業の自助努力では限界がある。企業の9割が国全体での取り組みを期待しているとの調査もある。介護、育児と仕事を両立させなければならない人が今後も増えると見込まれており、現在の働き方を改めなくてはならない。首相を議長とする会議が設置された以上、落胆することのない成果を期待したい。 


  さらば長時間労働…「残業しない・させない」仕事術 
2016年10月31日 読売新聞

特定社会保険労務士 大槻智之
 日本の企業社会で半ば常識とされてきた長時間労働が、見直しの時を迎えている。電通の新入社員だった女性の過労自殺が社会問題となり、残業時間に上限を設けるなどとする政府の「働き方改革」にも影響しそうだ。労働時間の短縮は実現するのか。特定社会保険労務士の大槻智之さんに、企業、労働者それぞれの課題を挙げてもらった。

「働き方改革」待ったなし
 「もはや、先送りは許されない」――。9月に開催された初の「働き方改革実現会議」で、安倍首相は長時間労働の是正などを中心とする改革について「大切なことはスピードと実行だ」と話し、さらに冒頭の言葉を付け加えました。首相の並々ならぬ意気込みとやる気がうかがえた瞬間でした。10月には、電通の新入社員だった24歳の女性が、長時間労働が原因で昨年、過労自殺したとして労災認定されました。過重労働に対する国民の関心は極めて高くなっており、その是正は「待ったなし」の状況なのです。

 政府の「働き方改革」の狙いは、長時間労働を是正し、ワーク・ライフ・バランスを実現することにより、女性や高齢者などの労働参加率を上げて、労働生産性を向上させることにあります。そして、その先に賃金の上昇や出生率の改善を見据えています。

 その思惑を簡単に言えば、「長時間労働を改めれば、みんなが健康になり、労働生産性が上がる。賃金も上がり、若者たちは経済的にも時間的にもゆとりを持つことができ、子育てがしやすい環境になるだろう。不足した分の労働力は、働きやすくなった女性や高齢者が補う。こうすれば、すべてがうまくいくはず」ということです。しかし、そんなに理想的にことは進むのでしょうか。職場の実態に照らして、考えてみたいと思います。

長時間労働は「非常識」に
 労働時間短縮に舵かじを切る企業は、近年、確実に増えてきているように感じています。

 労働基準監督署の徹底した指導のほか、最近で言えば、過重労働撲滅特別対策班(通称カトク)の創設、過労死等防止対策推進法の施行(2014年11月1日)、都道府県の労働局長による「違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表」などの公的な取り組みが影響しているようです。これに加え、インターネット上に躍る「ブラック企業」などの評判を、企業が無視できなくなったこともあるようです。厚生労働省が今年10月にまとめた「過労死等防止対策白書(過労死白書)」でも、労働者一人当たりの年間総実労働時間は、1990年の2064時間から2015年の1734時間へと減少していました。

 先述の「実現会議」が発足する直前の8月28日には、加藤勝信・働き方改革担当相がテレビ番組で「残業時間の上限規制の導入を検討する」と発言。大企業を中心に「とにかく残業をさせるな」といった意識は高まる一方で、長時間労働を当然とするような姿勢は、否が応でも変化せざるを得ない状況になっています。

「早く帰れ」と言われても…
 社員の側にも戸惑いが見られます。一連の動きは、企業が社員により高いスキルを求め、より厳しい評価を下す時代に突入することをも意味しているからです。

 「どうも当番制にしているらしいです」。ある家電メーカーの人事部長が打ち明けてくれました。この会社では最近、退社時刻を厳守するよう社員に求めているそうですが、ある営業部署では、その時間(午後6時)になると、「当番」の部員が他の部員たちのタイムカードもまとめて打刻しているというのです。つまり、退社時間を偽装して働き続けているわけです。その理由は、だれもが「営業成績を落としたくない」から。当番制は、退社時刻に営業先にいても困らないようにとの“苦肉の策”のようです。

長時間労働 五つのケース それにしてもなぜ、そんなに長い時間、働かねばならないのでしょうか。諸外国に比べて長いとされる日本人の労働時間。その原因を、以下の五つに分類してみました。

 (1)仕事の量が多過ぎる…職場が最初から長時間残業を想定して人員配置されているようなケースです。退職者や休職者の補充がうまくできていない場合も当てはまります。

 (2)オペレーションに無駄がある…効率化を図るべきところを放置し、必要のない作業を省かずにいるケースです。社内が「縦割り」になっている場合に発生しがちです。

 (3)社内環境に問題がある…「上司が残っていると帰れない」「帰っても暇なので残っている」など、残業の理由が純粋な職務によるものではない場合です。上司が「自分はこれで成功した」などと長時間労働を“信奉”している場合や、職場に独身の若い社員が多く、社員同士が友達感覚になりやすい場合などに見られます。

 (4)本人が勘違いしている…業務の量ではなく、自分の「持ち時間」に合わせて仕事をしているケースです。これではどんなに仕事を減らしても、労働時間に大きな変化は見られません。上司が無関心な場合などに発生しがちです。

 (5)仕事が好きでしようがない…早く帰るように促しても「好きで働いて何が悪いのか」と抵抗されるケースです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


最後まで読んでくださってありがとう
クリック してね
 

 記事は毎日アップしています。
明日もまた見に来てね
  



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月31日(月)のつぶやき

2016-11-01 01:07:39 | 花/美しいもの
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする