憲法

憲法改正について、改憲、護憲、加憲、論憲等、様々な議論がなされています。先日、ニュース２３で憲法について有識者が議論していました。その議論の中で、ある憲法学者が「私は、憲法９条も重要だが、憲法９９条が最も重要だと考えています」と話されていました。
日本国憲法 第99条は、日本国憲法第10章最高法規にある条文で、憲法尊重擁護の義務について規定しています。
「憲法第99条」
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」
ここにあるように、「憲法の尊重と擁護の義務」を誰よりも厳しく負わされているのは、「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員」です。すなわち、支配者の側、権力の側に立つ人々なのであって、国民全体ではなく、この条項に何よりもよく、憲法が国民の義務規定集として作られたのではなく、為政者の側が守るべき約束集として作られたのだという性格があらわれており、この憲法制定の趣旨を理解することが重要ですと述べていました。
為政者の側が、自分たちに法律の制定、改定、執行等の特権が与えられていることから、おごり高ぶりが生まれる心配があったからです。彼らが、憲法より自分たちの特権の方が上位にあるとかんちがいして、憲法を守ることを忘れてしまうだけでなく、自分たちが先頭に立って、それを破壊することすらしかねないと危惧されたからであるとも述べていました。
このような趣旨を考えると、現行憲法もまんざら悪いものではありません。改憲を主張する人は、憲法何条をどのように変更したいのか、それが憲法９９条の趣旨に合っているのかを良く考えることが必要であると思います。
国民投票法案の参議院通過が確実になり、憲法改正が現実の問題として目の前に現れてきています。改憲、護憲どちらの立場に立つにしても、慎重に考えてから結論を出したいものです。米国から押し付けられた憲法だから改正する等の説得力のない理由を持ち出して、憲法改正を主張することだけはしないことにしましょう。
憲法記念日に憲法の重要性を再認識しました。