米国法律事務所が主催する知財セミナーに出席してきました。
「KSR International対Teleflex,Inc.事件:特許の自明性についての最高裁の新たな基準」についてのセミナーです。最高裁判所が連邦巡回控訴裁判所の判決を破棄して、自明性の新たな基準を提示したと考えられる注目すべき事件です。
最高裁判所は、連邦巡回控訴裁判所が自明性の判断に用いた組み合わせの「教示、示唆または動機」のテスト(TSMテスト)を否定し、組み合わせ特許の自明性を判断する上で、結果が予測可能なものであるかどうかの重要性を強調しました。Graham事件の「広範な事実認定」を再確認したものであると言えます。
KSR事件判決は、特許権者に不利で、被疑侵害者に有利なものである点は確かです。この判決により、発行された特許に対して異議(再審査請求)を申したてる当事者が増加することが予想されます。
講師は、KSR事件判決の重要性は、4、5年後に初めて明らかになり、当面は、自明性の判断について混乱を生じさせるだろうと述べていました。
そうは言っても、実務家としては、5年も待てませんので、自明性の判断基準と対応策(特に、出願明細書の作成)を考える必要があります。
現時点で明確なのは、予測可能性が低い化学発明(特に、ライフサイエンス分野)については、KSR事件判決の影響は少なく、予測可能性の高い電気・機械分野が大きく影響を受けそうです。
したがって、電気・機械分野の発明は、明細書作成に際して、自明性で拒絶されないような工夫が必要です。例えば、Picture Claimを避ける等の工夫は必要です。
KSR事件判決が日本の進歩性判断に影響を及ぼすかは不明ですが、日本の進歩性判断基準も最近は厳しくなっていますので、日米ともに同じ方向に判断基準が移行しているとも言えます。
日本の進歩性判断基準の変化(動機の有無から阻害要件の有無への変化)については、別の機会に意見を述べたいと考えています。
「KSR International対Teleflex,Inc.事件:特許の自明性についての最高裁の新たな基準」についてのセミナーです。最高裁判所が連邦巡回控訴裁判所の判決を破棄して、自明性の新たな基準を提示したと考えられる注目すべき事件です。
最高裁判所は、連邦巡回控訴裁判所が自明性の判断に用いた組み合わせの「教示、示唆または動機」のテスト(TSMテスト)を否定し、組み合わせ特許の自明性を判断する上で、結果が予測可能なものであるかどうかの重要性を強調しました。Graham事件の「広範な事実認定」を再確認したものであると言えます。
KSR事件判決は、特許権者に不利で、被疑侵害者に有利なものである点は確かです。この判決により、発行された特許に対して異議(再審査請求)を申したてる当事者が増加することが予想されます。
講師は、KSR事件判決の重要性は、4、5年後に初めて明らかになり、当面は、自明性の判断について混乱を生じさせるだろうと述べていました。
そうは言っても、実務家としては、5年も待てませんので、自明性の判断基準と対応策(特に、出願明細書の作成)を考える必要があります。
現時点で明確なのは、予測可能性が低い化学発明(特に、ライフサイエンス分野)については、KSR事件判決の影響は少なく、予測可能性の高い電気・機械分野が大きく影響を受けそうです。
したがって、電気・機械分野の発明は、明細書作成に際して、自明性で拒絶されないような工夫が必要です。例えば、Picture Claimを避ける等の工夫は必要です。
KSR事件判決が日本の進歩性判断に影響を及ぼすかは不明ですが、日本の進歩性判断基準も最近は厳しくなっていますので、日米ともに同じ方向に判断基準が移行しているとも言えます。
日本の進歩性判断基準の変化(動機の有無から阻害要件の有無への変化)については、別の機会に意見を述べたいと考えています。