常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

紅辛夷

2014年04月17日 | 


散歩の途中にあるお宅の庭に木にピンクの花が咲いている。何の花か、図鑑やネットで調べても分からない。家の前にお婆さんが出て来られたので、思い切って尋ねてみた。「あ、あれは辛夷です。ん、西洋辛夷。」辛夷は山に咲く白い花と思い込んでいたので、意外な答えであった。ネットを見るとたしかに四方辛夷や紅辛夷という、ピンクの花の辛夷があった。

お婆さんは、「庭にほかにもいろんな花が咲いているから見ていきなさい」と、案内してくれた。ヒヤシンス、チューリップのほかに、紅辛夷の木がもう一本花を咲かせていた。「いま、雪割り草が咲いていますよ」と言いながら、さらに奥の庭を案内してくれる。見れば、小さな鉢にいろんな種類の雪割り草が可憐な花を咲かせている。「息子がね、いろんな種類の種を買ってきて育てているのよ」と、笑顔で話してくれた。



「やっぱりね。八重咲きのものは育てるのが難しいね。シンプルなもの方が強いみたい。辛夷も外から見る方がきれいでしょ。花は陽に向かって咲くのよ。」お婆さんは、私のたった一つの質問に、こんなにもたくさんの話で答えてくれた。満開の桜並木の下を歩きながら、心がふとあたたかくなった。

今日はしも匂ふがごとき春の空 福田 蓼汀
コメント
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