わが家ではサボテンの花が咲きかけたが、野山では木に新しい芽が吹き始めた。山菜で一番初めに賞味する木の芽は「あけびの芽」だ。湯がいてクルミをまぶして醤油で食べる。口に入れると春の苦味が広がるが、待ちどおしかった春の味である。一般には「木の芽」といえば山椒の新芽を言う。これを味噌と摺りあわせて、串にさした豆腐に塗って火に炙れば「木の芽田楽」が出来上がる。こちらは春の香りが楽しめる。
かへり来てのこる日ざしや木の芽和へ 藤田 汀砂
それにしても、春の山菜には独特の苦味やキドさがある。冬の間、体内に貯まった毒素を中和する役割があるようだ。子供たちはこの苦味を嫌って山菜を敬遠することが多いが、成人してくると何故かこの苦味やキドさが恋しくなる。あけびの芽は小さく、夕餉の卓にのせるには辛抱強い手間がいる。
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